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手の中に残るもの  作者: シロアリ
3/5

第2話

なろう読むのが好きなのでおすすめのものがありましたら感想で題名を書いて送ってくださると嬉しいです。

 秒針が12を通過した瞬間に静かに脱出作戦が開始された。


 私は銃弾を5発ほどであれば衝撃すらもほとんど通さないシールドに近い構造のアーマーと新しく作ることに成功したパーフォレイトマジックを付与した弾丸を詰められた自動小銃を構えて正門を出ていった。


 正門には誰もおらず疑問に思った瞬間、裏の山で大きな爆発音が響き渡り火柱が登り、発車したジェット機が多量のロケット型のミサイルにより撃墜された。


 政府は正門から出てくることを想定から外し、地上は地下通路のみを使い裏山からこっそり逃げるのみだと踏み、空中はジェット機のみを狙い撃ちする予定だったのだろう。


 施設長はもしかしたら、このことがあり得ると考えたから、若いものが正面突破という体力がいる選択肢を出し、若いものを救おうとしたのかもしれない。


 今は、流してくれたと考えないと助けに裏山まで行ってしまいたくなる。


 爆発を聞いてからしばらく歩き続け、待ち伏せの可能性がある町を避け、故郷まで歩き続け、行き先が違うものは別れそして2、3日野宿と移動を続け、日が真上に来る頃にやっと地元に帰ってくることができた。


 私がいた町は、比較的小さく、村に近い感じで住人が皆家族のようなところだ。


 以前ならば人が広場などにいて少し騒がしいぐらいだったはずだが、今はシンと静まり返っていた、しかし歩いていると視線は感じる。


 実家に着き、ドアをノックする、しかし返事はなく、ノブをひねると鍵が開いており中へ入ると誰もおらず、ドアの淵を見ると何か引っ張り出されるのを必死に抵抗したように爪の引っ掻いた跡がある。


 嫌な予感がしながら、家に上がる、リビングには家族で食事ができるように大きな机が置いてあり、その周りにはテレビや本棚、掃除機など雑多なものが乱雑に統一感無く置かれていてる。


 そこまでは、私が住んでいた時と大して変わらなかった、しかしそんな日常の中にひとつ異常な光景があり、特に際立って見えた。


 それは明らかに食べかけのシチューが二つ対面する形で置いてあるのである。


 私の家族は食事が終わるまでほとんど席を立たない、ましてや外出などしないのである。


 私は、急いで外に飛び出し隣の家を訪ねた。


 するとすぐに返事とともに、見慣れた恰幅のいいおばさんが出てきた。


「帰ってきたのかい、もう、遅いよ」


 普段は優しかったおばさんが、今回は蔑むような目で私を見ていた、一瞬ただ見た目が同じの他人ではないかと疑うほど、前と態度が違うのである。


「先ほど帰ったのですが、私の父と母を見ませんでしたか?」


「今日の朝方、憲兵が、あんたが軍事機密漏洩をし、その後逃亡したとして親族共々捉えるって大声で言って連れていったよ」


「え、、、」


 一瞬何を言われたのかがわからなくなった、確かに犯罪者が逃亡した場合その家族を捉えるのはこの国では普通である、しかしそれが自分の家族に適用されたと聞いても、すぐにはその事実を受け止められなかった。


「あんた魔法研究所に就職できてすごく優秀だと思っていたのに、蓋を開けてみれば、戦争の再開のために兵器開発して、挙げ句の果てに、そのあんたがこの国を売ったんだ!どれだけ他人に迷惑をかけるんだい!いい加減にしてくれ!」


 叫ぶと同時にドアを勢いよく閉めらた。


「出て行け!売国奴!」


「戦争が好きならどこか遠くでやってくれ、私たちを巻き込まないでくれよ!」


 その叫び声を聞いた周りの住人が窓越しに睨み、また罵声を浴びせてきた。


 今まで優しさを向けてくれていた住民から向けられる憎悪に耐えきれず家に帰った。


 すると、それからすぐに家のドアをけ破る音とともに憲兵が乗り込んできて、項垂れている私はひっ捕まえられ外の広場まで引きづられていった。


 多分、先ほど私に罵声を浴びせてきただれかが通報したのだろう。


「この者、ティオ・フィーベルは軍事機密漏洩および逃走の罪により、銃殺刑に処す!」


 罪状を言われおばさんが言っていたことがなんと無くわかった。軍事機密漏洩か、確かにこれだけ聞くと、売国奴だな。


 自分がこれから死ぬと分かると、今ではもうどうでもいいはずのことをぐちゃぐちゃな頭の中で考えてしまう。


 私はただ恐怖せずに眠りたくて、自分の大切な人を守りたくて研究していただけなのに…


 私は生き延びたかったんだ…


 私は家族を守りたかったんだ…


 その結果、周りには罵られ、切り捨てられ、私の手の中には何も残らなかった。


 もしもう一度チャンスがあるなら、この手の中に何か残すことができるのかな、、


 銃声とともに意識が遠のき、思考が停止した。


 ティオ・フィーベル 21歳 1205年 夏 軍事機密漏洩および逃走の罪により銃殺刑で死亡

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