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手の中に残るもの  作者: シロアリ
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第1話

 時は、シールド魔法が開発され、それぞれの国が鎖国状態になることで勝者なく第二次魔法大戦が終結してから早2年が過ぎた1205年。


 しかし、ここカルマでは日々戦争用の魔法の研究や、科学による戦略兵器などの開発が日々行われている。


 鎖国状態になることで戦争は終わったが、同時に周辺諸国の情報も全くといっていいほど入って来ず、どこかでシールドを破壊可能な兵器もしくは魔法が開発されているかもしてないと、恐れ、未だに戦争時の緊張状態は続いている。


「戦争は技術を進歩させる」誰が言い始めたのかわからないそんな言葉、確かに人は身に危険を感じた状態で助かるために行動する時最高のひらめきや努力の継続ができるのかもしれない。


 実際私、ティオ・フィーベルは、この2年で100年分ほどの魔法技術を進歩させてしまったと思う。


 なぜなら、今私の目の前にある魔法構築の設計図が思い通りの効果を示せばあの何年も続いた魔法大戦を終わらせたシールドを打ち破ることができるのだから。


 研究室の一角にある魔法実験室にて私の作り出した魔法の検証が開始された。


「発動準備完了!発動まで3、2、1、発動!」


 小型のシールドに向けて魔法が打ち込まれると、ドライアイスが昇華するように半透明の幕がなくなっていき大きな穴が空いた。


「シールドの消滅を確認!」


 研究室が割れんばかりの歓声に包まれた、この時ばかりは私も近くにいる研究者達と抱き合い喜び叫んだ。


 これで周辺諸国の侵略を恐れて眠る日がなくなる、責められたとしても対抗する手段を手に入れたのだから。


 そして数日後、国のトップから賞賛が届き、情報がテレビなどによって国民に広く知らされた。


 それと同時に今まで規制されていた情報が公開された。


 周辺諸国との国交がないとされていたがトップ同士の情報交換は行われており、和平条約も結ばれていた。


 そう、完璧に戦争は終わっており、戦争兵器や魔法の開発、研究はどの国も行なっておらず、ましてやシールドを破壊するためのものなど、作っても戦争の原因にしかならないと、強く規制することを条約で明文化されていたらしい。


「あぁ、私たちは国に騙されていたのか」


 研究者の1人が魂を吐き出すかのように吐いたその一言は皆の気持ちを代弁していた。


 研究者は戦争が終結する前から軍事機密保持のため一つの施設に閉じ込められながらひたすらに研究をさせられていた。


 中には家族と、離れてきているものもいた、皆家族や友人、また自分の命を守るためにひたすら2年前に消えた敵に対抗するための魔法の研究をしていた。


 それが、逆に戦争の再開の手助けをしているとは知らず。


「こんな場所にこれ以上いてたまるか!」


 施設長のゴルゾ・バッファルの声が聞こえたのを皮切りに研究所から脱出するため皆荷物をまとめ始めた。


 私も同様に荷物をまとめ、一階のいつも会議をする広い部屋に集まる。


「みんな、ここに集まる奴らはここを脱出するということでいいんだな?」


 皆すぐさま首を縦に振った


「じゃあ脱出経路を確認する、まず前提として、ここにいる全員が助かる確率はゼロだ、そのことはわかっているな?」


 また、皆首肯する。


 それもそのはず、私たちに先ほどの情報を与えたのは国であり、私たちの利用価値はパーフォレイトマジックの完成によりそこまで高くなくなった。


 なのでここで、これからも戦争になっても国に忠誠を捧げられるやつかを(ふるい)にかけるために情報を与えたのだろう。


 よって、これから脱走することは国は予期しているだろうことは予想に難くない。


「では、まず三つのグループに分ける。そして、一つはここの施設にある私たちが開発したアーマーと銃器を装備して正面突破をしてもらう、二つ目は裏の山に通じる地下通路を通り逃げる、三つ目はジェット機による逃亡だ。」


 アーマーと銃器はそこまで多くないことから、裏から逃げるものに与えることが困難であり、ジェット機はシールドの影響で上空を飛べないことから安全とは言えない。やはり完全防備で正面突破の方が生存確率はまだ高いかもしれない。


「では、入り口に向かって右から3列に地上、地下、空中と別れてくれ」


 比較的若いものが地上部隊、高齢が地下、機械操作に長けているものが空中と、ある程度均等に別れた。


「では今から20分後の3時40分に決行、どんなことがあっても振り返らず自分の選んだ逃げ方で逃げ延びろ!」


 まずはここから生き延びることを第一目標にした。



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