第8話
良く良く見ると、ハイピクシーの羽だけが揚羽蝶の様に綺麗な模様で、ピクシー達はと言えば、蜉蝣の様な半透明な翼だったり、小さな白い蝶の様な翼だった。
名前云々以前に、霰もない姿のままの彼女達。
何か服でも着させねば、落ち着いて話しもできない。
そこで、適当に着る物でも作ろうかとしたのだが、
羽が邪魔で普通の服では着られそうにない、、、
うーん、、、
Tシャツで背中側、肩甲骨までは普通で、背中中央を分けて三股に、腰部分のみ、中央を幅広くして、、、
と、
その広い部分はお腹側に引きだし、ボタンで止めれば、、、
「出来た!」
出来た服をピクシー達に配る。
不思議な物を見ながら興味あるのか、しげしげと手に取るピクシー達。
しかし一向に着る気配がない、、、
はっ!それはそうだろう?
服など着た事がないのだから。
「ハルシ、、、」
トコトコと歩み寄るハルシに、服の付け方を話し、ピクシー達に教える様に頼む。
キャイキャイ言いながら服に着替えるピクシー達。
内心で恥じらい位ないのか?
など思った所で、今までがありのままの姿でしかないのだから、
その辺を期待するのは酷と言うものか、、、
しばらくすると服を着て嬉しそうなピクシーが目の高さに飛んできた。
「ありがとう」
周りにいるピクシー達は嬉しそうに飛び回っているのだが、、、
何故だろうか、おしりがまる見えである。
!シャツしかなければ当然の話しで、気付かなかった私のせいだ。
と膝をつく私。
なんやかんやで、短パンの様な物や、スカートの様な物を作り出し
(勿論、創造だが)
それ等をみんなに配った。
何故だろうか。ハルシの目が、不審物を見る様なのは、、、
ピクシー達の短パンを何度も右手に握りしめる私を見れば当然の反応だと気付くのはいつの事になるのかは誰も知る事はない話しであった。
揚羽蝶の様なハイピクシーに尋ねる。
「個別に識別するような固有名とかはないのかな?」
うーん、と呟きながら、眉間に指をあて目を閉じる。
はっ!とした様な表情で一言。
「お名前ちょうだい!」
ジッとハルシを見る。
目が合うとそっぽを向き、吹けない口笛を吹きながら、
「ぴーぴー」
と声に出している。
そんなハルシを横目にしつつ、さらに尋ねる。
「名前を持つ人っていないの?」
「うん。聞いた事ないよ」
、、、仕方ない。問いに答えてくれたハイピクシーに
[ティタ]と名前を付けて、立ち去る事にした。
二人と一匹が歩いて行く。
他に誰もいないはずなのだが、、、
耳元で息切れしている声が聞こえる。
そちらを振り向けば一人のピクシーが羽音をさせずに傍らを飛んで着いて来ていた。
何か役にたてれば名前を貰えるんじゃないかと言う即物的な欲求所以だろうが、、、
なんて思考していると
「貴方達、面白そう♪普通にいたずらするより楽しそうだから一緒に行く!」
どうやら拒否権はないようだ。
何気なく歩き続けていると、またしても森。
そして何故だろうか湿地帯でもある。
蜥蜴人出て来るじゃないかと気が気ではない。
「ねぇねぇ、お腹空かないの?」
ピクシーに言われて気付く。
そういえば、兎はそこらの葉っぱ食べてるけど、私もハルシも何も口にしていない。
「ピクシーは何を食べるの?」
「お花」
秋口の森には木の実位ならありそうだが、、、
花か、、、
ピクシー達の居た場所を思い返すと納得しつつ花を探しはじめた。
小一時間探して見つかったのは結論だけ。
この時期のこの森にはないだろうと言う事。
しかしせっかく着いて来て楽しそうにしていたピクシーを帰らせるのは気が引けた。
花ねぇ、、、
右手をギュッと握り、そっと開く。
よし!
何かの種だ。
頭を抱える私。
「それ撒こうよ」
いつ収穫出来るんだかわからんが、ピクシーに何かしらの能力がある事を期待して撒いた。
ジッと見つめるピクシー。
何をするわけでもなく、ただ、ジッと見つめている。
「成長促進とか出来ないの?」
涙目のピクシーはこくり。と頷いた。
この種が何の種なのかわからない。いつ芽を出すのかも当然わからない。
涙目のピクシーがこちらをジッと見つめる。
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実り
開花
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早送りの映像の様に次々に芽吹き、そして花を咲かせた。
数種類の花が目前にあるのを
キラキラ輝く瞳で見つめるピクシー。
「食べて良いの?」
こくりと頷く私を見るなり、青い花の花びらを数枚手に取り、口に運んで行く。
!と、言うか、花?何か黄色い角張った石をいくつも付けた不思議な花?もあった。
「ピクシー、あの花は?」
「うーん、なんか魔力あるよ?」
一つ手に取ると、その花?にあった魔力は私に流れ込ん出来た。
「ハルシ、これは?」
「わかるはずないでしょ?」
プイっとそっぽを向くハルシ。
とりあえずピクシーの食料花と魔力花を持ち物にしまった。