↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
占いガール  作者: 暁
血液型占い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/41

過去の亡霊


「俺、買ってくるわ。倫は何飲む?」

「カフェオレ」

「了解。引き続き席取り頼むな」

何が席取りよ、店内へと小走りする渋沢先輩の背中に心の中で毒づく。


「千尋ちゃん、それ美味しそうだね」

ちまちまとクレープを食べてる千尋に向かって極上の笑みを浮かべる北本先輩。

その瞳に熱があるのを感じ取って、嫌な予感がした。

もしかして・・・千尋の事を好きになったとか言わないでしょうね。


「美味しいけど、あげませんよ」

私の心配をよそに千尋は安定の冷たい態度を見せる。

この子、大翔のせいで、イケメンを極度に嫌がるのよね。


「ええ~一口ぐらいちょうだい」

「嫌ですよ」

体ごと、北本先輩に横を向く千尋。


「ククク、相変わらず冷たいな」

「煩いです」

「生クリームついてるよ。ん、甘いね」

北本先輩は素早く千尋の口元に指を伸ばしてそれを拭うと、そのまま口にくわえた。

この行動にギョッとしたのは、千尋と私。


甘いね、じゃないわよ。

なに? このラブラブカップルぶり。

内情を知らない他人から見たら、恋人達が戯れてるような光景なんですけど。


「ち、千尋に手出ししないで。この子は簡単に遊んでいい子じゃないの」

我に返った私は慌ててそう忠告する。


「まだ、何もしてないよ。まだね? それに遊ぶつもりはないよ」

意味深にそう言うと微笑んだ北本先輩に、頭の中で警告音が鳴った。

まさか、こいつ、千尋に・・・そう考えて、ふっと気づく。

千尋がバイクにひかれそうになった日。

もしかして、北本先輩は千尋の素顔を見たんじゃないかってこと。

千尋は見られてないと思ってるけど、本当はそうじゃないのかも。

思い浮かんだ仮説に、ぞわぞわと何かが蠢いた。

前々から、千尋の事を気に入ってる節はあったけど、この子の素顔を見て、それが更に加速したのかも知れない。


なんてこと・・・なんてことよ。

こんな女ったらし、ダメに決まってる。

女遊びばっかりしてる男が、千尋一筋になるわけない。

大翔みたいに、浮気して裏切って千尋を傷付けるに決まってる。

握り締めた掌にじわりと嫌な汗が滲んできた。


ここは、早く退散するしかない。

急いで大きめのクレープを平らげていく。

千尋は、ちまちま食べ続けていたおかげで、もう少しで食べ終わりそうだ。


「そんなに急がなくてもいいよ」

北本先輩は苦笑いする。


「急ぐわよ。長居は無用だもの」

貴方達が現れたせいでね。

そう言いたいのを我慢して口の中のクレープを咀嚼する。


「そう言わずに楽しく会話しようぜ」

飲み物を勝手戻ってきた渋沢先輩が参戦してきた。


「どう考えても楽しくなるとは思えないけど」

この二人とお茶だなんて、落ち着かない。

周囲の視線も、かなり増えてきてるし。

女の子達の視線が突き刺さってるのよ。


「さっきまで紀伊ちゃんと二人で楽しかったのに」

千尋が残念そうに眉を下げる。

本当、その通りよ。


「俺とも楽しくしよ」

北本先輩が言うと別の意味に聞こえるのはなぜかしらね。


「楽しくなる要素がまったく掴めない」

千尋の歯に衣を着せない攻撃が出る。

この子、大人しそうに見えて、中々言うのよね。


「本当、千尋の言う通りよ」

隣に座った渋沢先輩を睨み付けた。


「まぁまぁ、落ち着いて。倫、カフェオレ」

ナハハと笑ったあと、渋沢先輩は買ってきたカフェオレを対面の北本先輩に差し出した。


「ありがと、慧。お金後で渡すよ」

「いいよ。これぐらい奢ってやる」

太っ腹な渋沢先輩。


「サンキュ」

「おう」

笑い合うイケメン二人に、周囲から吐息が漏れる。

本当、イライラするわね。

自分達が格好いいって分かってる奴らが、やたらと鼻につく。


「千尋ちゃん、今日はバイト休み?」

「はい」

「あれから危ない目にあってない?」

「・・・その節はありがとうございました」

千尋、今思い出したわね。


「いいよ。そう言えば改めてお礼するって言ってなかったっけ?」

悪い顔で笑った北本先輩。


「・・・あ」

千尋、それも忘れてたのね。


「ハハハ、忘れてたでしょ?」

北本先輩に見透かされるじゃないよ。


「わ、忘れてません」

動揺しすぎ、千尋。

目をキョロキョロさせて、可愛いけど、今は不味いよ。


「じゃ、一つ貸しにしとくね」

「今、今何か奢ります」

焦ってる千尋を助けるように、北本先輩に声をかけた。


「ここのクレープ美味しいですよ」と。


「今はクレープはいいかな。今度、何か思い付いたらお願いするよ」

悪い顔で笑った北本先輩。

この男、千尋に何を頼むつもりよ。


「いえ、今奢ります」

おぉ、千尋も強気だ。


「フフフ、頑固。でも、俺達もそう長居出来ないんだよね。これからバイトなんだ。ね、慧」

だったら、寄り道せずに行ってればいいのに。


「そ、バイト。何してるか、知りたい?」

私に聞いてこないでよ、知りたくなんてないから。


「渋沢先輩のバイト先に興味はないですよ」

「その冷たい瞳が最近堪んない」

変態がここにいますよ。

渋沢先輩に軽蔑した視線を向けた。


「変態・・・」

千尋がポロリと本音を漏らした。


「酷いなぁ、占いババちゃん」

「慧、千尋ちゃんをその名前で呼ぶなって言ったよね」

おどけた渋沢先輩に、北本先輩が射抜くような視線を向けた。


「はいはい。悪かったよ」

軽い口調でそう言って、両手を上げてヒラヒラさせた渋沢先輩。


「次はないからね」

低い声でそう言った北本先輩に背筋が寒くなった

なんだろう、この温度差。

まぁ、占いババの件に関しては北本先輩に賛成だけど。


「へ~い。お、そろそろ行くか」

渋沢先輩はスマホで時間を確認すると、飲み物の入ったプラスチック容器を手に持って立ち上がる。


「そうだね。千尋ちゃん、またね」

頷いた北本先輩も立ち上がると、千尋に微笑んだ。


「・・・・・」

千尋は無言で北本先輩を見上げる。

またなんて無いって思ってる顔だ。


「紀伊ちゃん、俺達この先のバーでウェイターやってるから気が向いたら来てよ」

「渋沢先輩、私達まだ未成年なのよ」

わざわざ行くわけないでしょ。


「心配しなくてもソフトドリンクもあるから」

「そんな問題じゃないから」

つっけんどんに返す。


「名刺置いてくから。いつでも来てよ」

渋沢先輩は胸ポケットから名刺を一枚取り出すとテーブルに置いた。


「いらないわよ」

と言ってるのに、歩き出した北本先輩を追い掛けて渋沢先輩は去っていく。

なんなのよ、あいつ。


「結局何しに来たんだろうね」

小さくなっていく二人の背中を見つめながら千尋が言う。


「本当、なんなのよ」

イライラした気持ちと、浮かんだ謎に私は大きな溜め息を漏らした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。