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マッチ売りの少女「もしもマッチを買ってくれく人がいたら」

冬の童話祭に参加表明するの忘れてました。

それは、とても寒い冬の夜。雪は振り続け地面一帯は真っ白になっていた。

そんな日に一人の少女がマッチを売っていた。

 

「マッチは入りませんか? お願いします! どなたか買って頂けませんか?」

 

靴が無く服はボロボロ、少女はどう見ても寒さに耐えられるような服装では無かった。それでも少女はマッチをどうしても売らなくてはならなかった。

なぜなら、お金を稼がないと父親に打たれてさしまうからだ。少女は必死に通行人に声をかけ続けた。しかし誰一人買ってくれる人は現れなかった。

 

「はぁ、はぁ、寒い……」

 

少女は手足の感覚が無くなり寒さに耐えるのが限界だった。

そして少女は売り物のマッチに手を出した。

 

「これを使えば少しは温まるかしら……」

 

少女は一本のマッチに火をつけ少しでも温まろうとした。しかし火はすぐに消えてしまう。


「こんなことをしても売り物のマッチが、減っていくだけ。それじゃあ結局マッチは売れないでパパに叱られてしまうわ」

 

しかしマッチは売れる気配もなくただ体力だけが消耗していく。

 

「もう、どうせ売るれないなら私が使っても一緒だよね……」

 

そうして少女は一本また一本とマッチに火をつける。それでも体は温かくならない、少女は消えていくマッチの火を見つめながら思った。

どうして私がこんな辛い思いをしないといけないのかと。

父は家で酒を飲んで暴れだし、機嫌が悪ければすぐに暴力。とても酷い父親だった。


「私……何やってるんだろう……もう疲れた……」

 

何もかもが無意味に思えた。誰のためにマッチを売っているかも分からない。家に帰っても居場所なんてない。

そんなことで自分は幸せになんてなれるのだろうか。

 

「ここで寝てしまおう……」

 

少女は路地裏の壁に背中を任せ、そのまま壁と背中をズルズルと擦らせながら腰を落とした。

 

「寒い……」

 

少女の周りには静けさと振り続ける雪だけが残った。

 

 

 

 

「……さん……お嬢さん!」

 

少女の意識がすーっと遠のく寸前に声がかかる。

 

「あなたは……?」

 

「ああ、良かった」

 

少女の前にいたのはとても心配そうな顔をした。身なりの整った背の高い男性だった。

 

「お嬢様さん、私に一つマッチを下さい」

 

「え、あ、えっと」

 

突然のことに少女は慌てていると男は突然衣服を差し出してきた。

 

「すまないね、今は財布は持ち合わせて居なかったようだ。とりあえずコートと手袋と靴で我慢して貰っていいかい? お金は後で払おう」

 

「え、でも!」

 

その男性から渡された衣服はどれも新品でサイズも子供用のものだった。

きっとこのマッチを全て売ったとしても買うことは出来ないだろう。

 

「これじゃあ、全く釣り合わないわ。これは受けとれません」

 

「ははは、すまないね、少しカッコつけすぎたかな。こんな寒い中そんな格好じゃ死んでしまうよ。いいからとにかくこれを着なさい」

 

男性に言われるがまま少女は渡されたコート着た。

 

「温かい……」

 

「それは良かった。実はねここの大通りを通りかかった時にねお嬢さんが寒さで今にも倒れそうなのにマッチを売っているところ見かけてね。早く助けてあげたかったんだが、私の家までは遠くてね。急いで店で買ったんだよ」

 

「でもどうして……」

 

「ただ、助けてあげたくてね」

 

その時、少女は頭の中が真っ白になった。

マッチを売っていた時、誰一人少女を心配してくれる人なんていなかった。

なのにこの男性は当然のように少女に手を差し伸べた。


「このままだと風邪を引いてしまう。私の家に来るといい」

 

少女は言われるがまま男性について行った。

 

 

 

 

 

「どうかな体は温まったかい? スープも用意したからこれも飲むといい」

 

少女は男性の家の暖炉で温まっていた。

 

「あ、ありがとうございます。ここまでしてもらって、どうやってお礼をしたらいいか……」

 

「ああ、お礼なんてしなくても大丈夫だよ」

 

「で、でも!」

 

「私はね、お嬢さんが思っているほどいい人では無いからね」

 

「そんなことありません!」

 

「私はあの大通りでお嬢さんを見た時、本当はお嬢さんの事は見て見ぬ振りを使用としたんだよ。でもそのあと私の中に罪悪感が残った。それが嫌でお嬢さんを助けたんだ。だからただの自己満足なんだよ」

 

「で、でも」

 

「それに特別私がいい人という訳じゃないと思うよ。きっとお嬢さんを見た時助けてあげたいと思っている人もいたと思う、でも皆この不景気の中じゃ人助けをしている余裕がないんだよ。私が偶然お金持ちだった、ただそれだけだ」

 

「それでもあなたは私の恩人です!」

 

「そうか、ならしっかり生きるんだ。そして大きくなったら、また会いに来てくれればそれでいい」

 

「そんなことでいいんですか?」

 

「ああ、私にとっては助けてあげたという優越感させ感じられればいい。私はそんな奴なんだ、だから恩なんて感じななくていい」

 

「分かりました! 必ず大きくなってまた会いにきます!」

 

「とりあえず、体がちゃんと温まるまでゆっくりしていくといい」 

 

「ありがとうございます」

 

「そう言えばマッチ代を私忘れてたね」

 

「これ以上頂けません! 服だっていただいたのに」

 

「気にしなくていい、これも私の自己満足だ」

 

「ありがとうございます、必ずこのご恩はお返しにきます」

 

「そんなお礼なんていいよ」

 

「いいえ、これは私がそうしたいからです! ただの自己満足です」

 

「はははは、そうか、なら待っているよ」

 

そうしてしばらくした後家に帰った。

 

十年後

 

「小さい頃に助けてもらった、マッチ売りです。あの時の恩を返しに来ました!」

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