宿敵?
保育士試験の勉強で中々進められませんでしたm(__)m
空き時間でコツコツやっていきます。
大学の門前にて。
「小鳥遊っ!!私と勝負しなさい!!」
「…………」
「おはよう渚ちゃん」
「おはよう沙織……ちょっと待ちなさい!?」
「おはよう早乙女、それじゃ」
「お、おはよう……じゃなくて!!」
「俺じゃなくて新入生に声かけろよ」
「新入生はもう勧誘したわよ、それに勧誘じゃなくて決闘よ」
「……尚更断るだろ」
もうこのやり取りも半年になるのか……。
美咲と唯ちゃんは事態がのみ込めずフリーズ中。
あ~……何の事かわからない人に説明すると、俺が入学したばかりの頃。修司と二人で部活やサークルの見学をしていた。
そして空手、柔道、剣道等がある道場(大学の敷地内)に見学に行ったとき……
『それではこれから道場破りチャレンジをしたいと思いまーす!!腕に自信のある方はどうぞご参加ください。部員から一本取ることが出来たら学食の割引券を進呈します!!』
『へ~面白い事やってんな』
『修司ちょっとカバン頼んだ』
『ん?景参加すんのか?』
『あぁ……学食の割引券学食の割引券学食の割引券……』
『お、おい……あんまやり過ぎるなよ』
その後の事は修司から聞いた話によると地獄だったらしい。俺は俺で学食の割引券を手に入れる為に必死でその時の事を覚えてはいなかったが、学食の割引券が大量に手に入ったのはよく覚えている。
その日を境に道場各部の先輩方、コーチからは熱烈な勧誘を半年間受けたが余裕が無いので断りやっと開放されたと思ったら次は早乙女が現れたと……
あれ?……よくよく考えてみたら何で早乙女は俺に決闘を挑んでくるんだ?今まであんま考えて無かったけど……
「なぁそもそも何で俺に決闘を挑むんだ?」
「えっ……えっとそれは……」
「俺が見学の時に割引券欲しさに暴走したから?」
「ま、まぁそれがきっかけだけど……それだけじゃ無くて……」
「えっ俺他に何かしたっけ?」
「何かっていうか……好きなタイプが……ゴニョゴニョ」
「……?」
全然聞き取れなかった。
「とにかく私と勝負したら全てが丸く収まるの!!」
「つってもなー……俺痛いの嫌だし、女の子をボコる趣味も無いし……」
「オッスー景!!今日も朝から大変だな~」
「おはよう修司、大変だと思ってるなら助けてくれよ」
「ん~俺が口出しするのもな~……まぁ少し位良いか、面白くなりそうだし」
「何か言ったか?」
「なんもー」
すると修司は早乙女に近づくと何かを耳打ちした。
途端に顔を真っ赤に染める早乙女。一体何を言ったんだ?
「な、何でその事を……」
「まぁ見てれば解るな、景以外。ちなみにあの時の言葉は俺から逃げる為に適当言ってただけだからな?」
「……う、嘘……」
「残念ながら本当」
真っ赤な顔から一転、今度は真っ青になった。……大丈夫だろうか?
「俺が言えるのはここまでかな~それじゃ頑張れ」
「…………」
話終わったのか修司が戻ってきた。
「何話してたんだ?」
「それは俺からは言えないな~(笑)」
「……とりあえず110番と」
「おいおいそりゃないだろ助けたのに!?」
とまぁ冗談はさておき、修司と話終わってから時間が止まっている早乙女に声をかける。
「おーい早乙女?」
「……あれは嘘だったの?」
「え?……何が?」
「……自分より強い子がタイプだって」
「……言ったような言わなかったような」
瞬間、目の前に拳が迫ってきた。
「危なっ!?」
「ちょっと何受け止めてんのよ!!」
「当たったら痛いからに決まってんだろ!?」
いきなりグーパンとか何考えてんだよ!!
てか事態悪化してないか?
「おい修司!!解決したんじゃないのか!?」
「俺はただ早乙女に真実を教えただけだが?」
「何だよ真実って……うおっ!?顎はやめろ顎は」
「早く手を離しなさい!!」
「……離しても殴らない?」
「殺す!!」
「絶っ対離さない!!」
殺すっつったぞ今!?
「『絶対離さない』……景も大胆な事言うようになったな」
「んな呑気な事言ってないで助けろよ!?」
「痴話喧嘩に首突っ込む気は無いぜ~(笑)」
そう言うと人混みに消えていく修司。気付けば沙織、美咲、唯ちゃんの姿も見当たらない……。
くっ……誰にも助けを求められない……。
「おい早乙女!!一旦落ち着こう、な?ほら深呼吸深呼吸」
「私はいたって冷静だからその手を離しなさい!!」
「俺だって離したいのは山々だけど……」
「おーい小鳥遊ー。朝からイチャイチャするのは勝手だがもうすぐ講義始まるぞー」
「朝霧先生おはようございます。あとこれはイチャイチャじゃないです」
「……イチャイチャ?……っ!?」
朝霧先生の言葉で我に返ったのか自分の状況を見てはっとする早乙女。
「いやどっからどー見てもイチャイチャしてんだろ?手なんか握っちゃって」
「……これには深い訳があるんです」
「訳ねぇ……まぁいいや講義遅れんなよ」
それ以上の詮索はせず行ってしまった。
早乙女はというと……
「…………」
自分の手を見つめて肩をプルプル震わせている。
「おーい早乙女?」
「……ふんっ!!」
「痛っ!?」
足の甲を踵で踏み抜かれた……。
その拍子に手が離れると早乙女は勢いよく走って行ってしまった。
なんだってんだよ一体?
周囲の注目を浴びながら一人門前で足を抑え蹲っていた。