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彼女?……いいんじゃね別に  作者: 三トギン
プロローグ
5/6

修羅場?

遅くなってしまいました…。

次は早めに…!!

俺こと小鳥遊景の朝は早い。

何故かと言うと一人暮らしだから。朝食を作り、昼食の弁当を用意し、掃除洗濯など家事をしなければいけない。日中は大学だし終わったらバイトがあるので朝早くに家事をするのが日課になったのだ。最初は早起きも家事も中々出来なかったが今ではもう主婦レベルだ。

そして何より俺の楽しみの一つである朝のコーヒー。これが格別に美味い。別に良い豆を使っている訳ではなく普通のインスタントなんだが、このコーヒーがまだ覚醒しきっていない頭と体を起こしてくれるのだ。

現在の時刻は7時。起きてから1時間程が経っている。洗濯などを済ませ今は弁当を作り終えた所で、次は朝食作りだ。昨日は和食だったので今日は洋食を作っている。20分程で完成した。

うんうん我ながらうまそうに出来た。そろそろ美咲を起こすか。と思っていると丁度美咲が起きてきた。


「おはよう、美咲」

「おはよう、お兄ちゃん……じゃなくて私お兄ちゃんのベッドで寝てなかった?」

「ああ夜中目が覚めたら美咲が布団の中に居たから美咲の部屋に返したけど」

「うぅ……そのままで良かったのに~」

「俺のベッドは一人用だから狭いだろ」

「お兄ちゃんとくっつけるから良いもん」

「そんなことより朝ごはん出来たから顔洗っといで」

「……は~い」


とぼとぼと洗面所に向かう美咲。全く何を落ち込んでいるんだか。

朝食を皿に盛り付けテーブルに運ぶ。今日の献立はオムレツ、サラダ、コーンスープ。

美咲が戻ってきて席につく。


「いただきます」

「いただきま~す」


うん今日も美味しく出来てる。美咲の口に合えば良いんだが……。

チラッと美咲を見るとオムレツを食べるところだった。


「あむ……っ!?」

「ど、どうした美咲!?」

「美味しい~!!」

「……え?」

「このオムレツふわふわのとろとろで超美味しい!!」

「……なんだ不味かったかのかと思ったわ」

「お兄ちゃんの料理は何でも美味しいよ♪」

「そりゃどーも」


急に目を見開くからびっくりしたわ……。

その後も美咲の『美味しい』を聞きながら食べ進めていった。











「おーいまだかー?」

「ちょっと待って~!!」


食事を終え身支度を整えて玄関で美咲を待っている。

美咲はうちの鍵を持っていないので俺が鍵を閉めなきゃいけない。美咲はいつも一緒にいれば必要無いって言ってたがやっぱ無いとな……今日帰りに合鍵作りに行くか。


「お待たせ~!!」

「おう。やっぱ合鍵無いと不便だから今日作って渡すわ」

「えー別にいいのに……」

「ほらぐちぐち言ってないで行くぞ」


家から俺達の通う大学までは20分程で着く。

通学路を二人で並んで歩いていると前方の電柱に見知った顔が。


「おはよう沙織」

「あっおはよう景くん……と美咲ちゃん?」

「お久し振りです、沙織さん!!」

「わ~久し振り~!!でもどうして美咲ちゃんが?」

「あぁ実は同じ大学に入学してたらしい」

「びっくりさせたくて言ってませんでした♪」

「そっか~じゃあまた3人で一緒に遊べるね~」


このほんわかしている子は俺の幼馴染みの平野沙織ひらのさおり

幼小中高とずっと一緒で大学までも一緒になった。沙織曰く『幼馴染みだから』とか何とか。……俺にはようわからん。

沙織も含め3人で大学へ向かう。


「そういえば美咲ちゃんも一人暮らししてるの?」

「一人じゃないですよお兄ちゃんと一緒です♪」

「へ~そうなんだ~……あれ?もう一回言ってもらえる?」

「お兄ちゃんと一緒に暮らしてます♪」

「えっ!?……け、景くん本当?」

「残念ながら」

「え~!?と、年頃の男女が一つ屋根の下で一緒に生活なんて……私なんてまだお泊まりもしたこと無いのに……」

「……お、おーい沙織ー?」

「……ということは美咲ちゃんも景くんを狙ってるって事?相当なブラコンだとは思ってたけど……あぁもう景くん恋愛に興味無いって言うから中々告白出来なかったのに……」

「……さ、沙織さーん?」

「一緒に暮らしてるって……それってど、同棲だよね……それに大学も同じだからほぼ1日中景くんと一緒……いいなぁ~……」

「……」


……俺の声が届かない。ついさっきまで普通だったのに。現に今も何かぶつぶつと呟いている。

美咲はというと沙織を見て勝ち誇った顔をしている。何で?

どうしたものかと考えながら歩いていると繁華街に入る道にまたまた見知った顔が。


「あっ!!け、景先輩おはようございます!!」

「あぁおはよう、西山さん」

「あ、あの……名前……」

「あぁごめんごめん……えっと……唯ちゃん?」

「……は、はい///」

「「誰っその子!?」」

「うわっ!?おいびっくりするだろ」

「そんなことより誰なの!!」

「そんな事って……後輩の西山唯ちゃんだけど」

「に、西山唯と言います!!」

「唯?……唯って昨日言ってた人?」

「そうそう合コンの」

「景くん合コンなんて行ってたの!?」

「あぁ修司に無理矢理な」

「また修司くんは余計な事を……」

「あの景先輩?」

「ん?」

「このお二人は……?」

「あぁこいつは従妹の美咲、でこっちは幼馴染みの沙織」

「……彼女さんでは無いんですよね?」

「彼女?うん全然」

「……知ってはいたけどこうきっぱり言われると……」

「仕方ないよ沙織さん、これがお兄ちゃんだから」

「?」


何故か溜め息を吐いている沙織と呆れ顔の美咲。


「彼女さんじゃ無いんですね?……良かったです……」

「ん?何か言った?」

「い、いえ何でもないです!!」


笑顔で誤魔化されてしまった。何て言ってたんだろ?


「景くん景くん」


沙織に小声で呼ばれる。


「なんだ?」

「何で名前で読んでるの?昨日会ったばっかの子でしょ?」

「いやそれが前にも会ってたっぽい」

「どゆこと?」

「ナンパされてた所を助けた」

「はぁ~それが原因か……」

「は?何だって?」

「……何でもない」

「?」


美咲と唯ちゃんはというといつの間にか楽しげに何か話している。同い年だし気が合うのかも知れない。

そこに沙織も加わって女子トークが始まった。

寂しいので輪に加わろうと近づくと沙織に睨まれる。

……めっちゃ怖いんだけど。

仕方ないから数メートル後ろをとぼとぼと付いていく俺。

……何これ超寂しい。

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