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彼女?……いいんじゃね別に  作者: 三トギン
プロローグ
2/6

回想と初邂逅

始業式を明日に控えた大学内はいつもより賑わっていた。俺はと言うと教授に呼び出され入学式の手伝いをしている。もちろん自分から進んでやるわけがなく修司が教授に余計な事を言って俺が駆り出された。


「おーい小鳥遊、このイスもそっちに並べてくれー」

「……はぁ~い」

「まぁそうふて腐れるな、ちゃんとバイト代は出してやる」

「バイト代はいいので帰ってもいいですか?」

「それは無理」

「……はぁ」


今は入学式の会場である第一体育館にパイプイスを並べている所で、時刻は午後5時。朝から準備に取りかかっていたのでかれこれ9時間ほどずっと手伝わされている。

今日は春休み最後の日。だから家でゆっくりしてようと思っていたのに……。


「そう気分を落とすな、大体準備も終わったみたいだしな」


まぁ俺がふて腐れた所で状況は変わらないし、体育館を見回すと他にも疲れてる人はたくさん居るし、あと少し頑張りますか。











それから30分程が経っただろうか。イスも並び終わり入学式の準備が終わった。


「皆さんお疲れ様でした!!皆さんのお陰で無事入学式の準備が整いました。明日の入学式も頑張りましょう!!」


入学式実行委員が労いの言葉と共に明日への意気込みを語る。

……元気だなぁあの人。

それじゃ終わったしさっさと帰ろうと体育館を出ようとしたところで教授に捕まった。


「おい小鳥遊、そんな顔をするな」

「教授何か俺に用ですか?」

「あぁほら約束どおりバイト代だ」

「……どうも」

「何だ今の間は?何か腑に落ちない点でも?」

「い、いやいや何でもないですよ?」


まさか本当にくれるとは思っていなかったので驚いた。


「俺も鬼じゃないからな」


そう言うと俺に封筒を渡して行ってしまった。

え、現金?いやそんな訳無いか……

ちょっとわくわくしながら封筒の中身を見ると映画のペアチケットが入っていた。

は?なんで?よく見ると封筒の中に紙切れが入っている。


『誰か(女子)誘って観に行けよby修司』


あの野郎……次会ったらただじゃおかねー……。はぁ……ちょっとでも期待した俺がバカだった……さっさと帰ろう……











大学を出て10分程、買い出しのために繁華街に来ていた。

日用品や食品を買い終わり時計を確認すると午後8時。

もうこんな時間か~なんて思いながらいつもどおり近道の裏路地に入ると修司みたいなチャラい男二人と高校生ぐらいの女の子がいた。

……めんどくさい事が起きませんように……。

俺が家に帰るためにはここを通過しなければいけない。なるべく気配を消して近づいていくと会話が耳に入ってくる。どうやら女の子をナンパしているようで女の子は断り続けている。女の子をチラッと見るとうちの大学のトートバッグを持っていた。このトートバッグは非売品で教科書を買った人しか貰えないのだ。

じゃあこの子は新入生か?そういえば今日は新入生のオリエンテーションがあったような……。可哀想にその帰りにナンパされたのか……まぁ断ってるし男達も諦めるだろ。

と思い横を通り過ぎると……


「あーもうめんどくせぇー……拐うか?」

「そっちの方が手っ取り早いだろ」


と言う会話が聞こえ次に女の子の悲鳴が聞こえた。

うわー……マジか……拐うとか引くわー……じゃなくて流石にこれは見過ごせないな。

嫌がる女の子の腕を掴もうと伸ばした男の手首を掴む。


「あ?誰だテメェ?」


うん、そうなるよね。でもうちの教授の方が100万倍恐いから全然平気だ。


「えーと……その子うちの大学の後輩なんで勘弁して貰えませんか?」


相手を刺激しないために取り敢えず下手に出る。


「あぁ?後輩?そんなん関係ねぇよ。俺らが遊びたいから連れてくの、分かる?」

「いやぁ~ちょっと……」

「おい、もうめんどーだからやっちまおうぜ」

「そーだなっ!!」


いきなり殴りかかってくるなんて、どんだけ単細胞なんだよ……。でもまぁ仕方ない、一発もらって正当防衛を成立させよう。でも痛いのは嫌だから衝撃を吸収してっと……

男の拳が俺の右頬にクリーンヒットするが男は手応えの無さに驚く。掴んでいた男の手首の関節を極めると男は膝から崩れ顔を痛みで歪める。それを見ていたもう一人も殴りかかってきたので前蹴り。男はふっ飛んで動かなくなった。

痛みで呻いている男の手首を解放して声をかける。


「あの~諦めてもらえます?」

「はっはい!!」


そう言うと倒れている男を抱えて足早に去っていった。

ふぅ~久々に体動かしたけど以外と覚えてるもんだな。さて帰るか。

と行こうとしたところで声をかけられる。


「あ、あの!!」


振り向くと女の子が。あぁすっかり忘れてた。


「た、助けていただきありがとうございます!!」

「あー気にしなくて良いですよ、それじゃ」


と向き直って歩こうとしたら服の袖を掴まれた。


「あのっ!!何かお礼をしたいんですけど……」

「いやぁ本当に大丈夫ですから……」

「……でも」


うわわ涙目になっちゃった!?どうしようどうすればいいの?助けてチャラえもん(修司)!!

……あ。


「じゃあこれを貰って下さい。俺は使う相手がいないんで」


そう言って女の子に封筒を渡す。


「……えっ!?」


女の子がポカーンとなっている間に俺は走って帰った。

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