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彼女?……いいんじゃね別に  作者: 三トギン
プロローグ
1/6

合コン

「なぁ~景も合コン来てくれよ~」

「あのなぁ何度も行ってるだろ……俺は興味無いから他を当たってくれ」

「そこを何とか!!一生のお願い!!」


4月中旬の大学の帰り道。何度も俺を合コンに誘う修司。そしてひたすら断り続ける俺こと小鳥遊景。講義も終わり日も沈みかけているのでさぁ帰ろうと思った所で修司に呼び止められ今に至る。


「はぁ……何でそこまで俺を誘うんだよ?」

「何でって景はモテるだろ?で、俺もモテる。2人揃えば威力倍増だろ」

「何だよ威力倍増って……それに修司はともかく俺はモテないから威力半減だ」

「出たー景のモテない発言!!全国のモテない男子に謝れモテ男!!」

「話が脱線してるし俺は本当にモテないからな?」

「くっ……まぁ今はモテるモテないはどうでもいい。だが合コンには来てもらうぞ景!!」

「だから行かねぇって行ってるだろ……何回目だこのやり取り」

「往生際の悪い奴め仕方がない……とっておきの情報をくれてやる。今回俺が厳選して選んだ新入生ちゃん5人……この内3人は『この人も来るよ♪』って景の写真見せたら『ぜひ参加します!!』って言ってくれたんだぞ!!」

「……修司、骨折と脱臼どっちがいい?特別に選ばせてやる」

「お、おいおいちょっと待て一旦落ち着こうぜ?……右腕を解放しろ!?」

「あ?何だよ左腕がいいのか?そういや修司は右利きだったな」

「左もダメだぞ!?」

「わがままな奴だな女子に嫌われるぞ?」

「……本当?」

「冗談だ、だからその絶望顔を止めてくれ」

「……じゃあ合コン来てくれるか?」

「はぁ~……しょうがないから行ってやるよ」

「うおぉぉサンキュー景!!俺は信じてたぜ!!」

「ただし二次会は行かないからな?」

「あぁそこは俺が何とかするから大丈夫だ。いやーギリギリまで粘って正解だったぜ」

「そういえば合コンって何時からで男は何人なんだ?」

「19時に駅前集合で男は俺と景だけだぞ」

「俺用事を思い出したからやっぱりパスだわ、それじゃ楽しんで来い」ガシッ

「おいおい景それはもう無しだぜ?」

「修司よこの借りはいつか絶対返すからな」

「まぁまぁそう怒るなよこの機会に彼女でも作ったらどうだ?」

「作らねーし作れねーよ」

「景はそう思ってても新入生ちゃん達は違うと思うぜ?おっともうこんな時間か急ぐぞ景」

「……はぁ」


もう行くって言っちまったし抵抗しても時間の無駄か……。そう思い修司に引きずられる形で駅前へと向かう俺。











十数分後駅前に到着。日も完全に沈み今は帰宅する学生やらサリーマンやらで駅前には結構な人がいた。


「新入生の子達もういるのか?」

「ん、今連絡してる」


流石と言うか何と言うかちゃんと連絡先を聞いている修司。


「あっちの広場に集まってるって。何か一人遅れてて急いでこっち向かってきてるらしいわ」

「店とかって決めてあんのか?」

「当たり前だろ俺を誰だと思ってんだ?」

「チャラ男の女好きだろ」

「その通りだ」

「即答もどうかと思うが特にそのどや顔うぜぇー」

「女性はこの顔でイチコロなのさ」

「あっそ」


くだらない会話をしてると目的の広場に到着した。

結構混んでるなー、こりゃ見つけるのが面倒そうだ。なんて思ってると背中に何かがぶつかった。


「あぅぅ……」


振り返ると高校生ぐらいか?よくわからんがそのくらいの女の子がおでこを手で押さえて立っていた。


「大丈夫ですか?」

「す、すみませんすみません!!急いでいたもので本当にごめんなさい!!」


声をかけるとめっちゃ謝られた……。何か俺が悪い事したみたいな気持ちになってくる……。


「そんなに謝らなくていいですよ、全然平気ですから。それよりおでこ大丈夫ですか?」

「あっはい!!ちょっとびっくりしただけなん……で……!?」


顔を上げて俺の顔を見たとたん女の子の表情が驚愕の色に染まった。

あ……もしかして怖がられてる?女の子も小さいが俺も身長はある方なのでかなり見下ろす形になってる。

どうしよう……。このままってのも色々とヤバイしな、主に周りの視線が。とりあえず声かけてみよう。


「あの~どうかしました?」

「たっ、たっ、たか、たたた」

「……あの本当に大丈夫ですか?」


めっちゃテンパってるんですけど……。えーどうすればいいの?と困惑していると


「小鳥遊先輩ですよね!!」

「え?……あぁはい。小鳥遊ですけど何処かでお会いしましたっけ?」

「あっ……覚えてないですか?」


不安そうな顔になる女の子。

う~んと……駄目だ全然出てこない。俺の事を先輩って呼んでたから後輩なんだろうけど俺に後輩の知り合いは居ないし、大体女子の知り合い自体少ないし……。


「えーと……ごめんなさい覚えてないです……」

「あ、謝らないでください!!覚えてないのも無理ないですから……。でもお会いできて良かったです!!」


そう言って笑顔になる女の子。俺は何がなんだかちんぷんかんぷんなのだが……。


「おーい、景。どうしたー?」


すると丁度女の子達を引き連れた修司がやって来た。


「あぁ修司、俺もよく分からんのだが……」

「なんだそりゃ?……あり?唯ちゃんじゃん?」

「あっ瀬戸先輩!!すみません遅れてしまって」

「ん?二人は知り合いなのか?」

「一人遅れるって言ってたろ?その子の事だよ。名前は唯ちゃん」

「はじめまして!!……ではないんですけど、西山唯と言います」

「あ、俺は小鳥遊景です」

「まぁまぁ立ち話もなんだからとりあえず行こーぜ」


全員が揃ったので修司が予約した店へと向かう。

何か周りの視線が集中しているような気がするが……気のせいか?











お洒落なダイニングバーへと到着。ダイニングバーって何だ?まぁいいか。

店内も結構人は居るものの落ち着いた雰囲気で居心地が良さそうだ。

堀炬燵の個室に案内され片方に俺と修司、もう片方に女の子達が向き合うように座る。ドリンク(お酒じゃない)と適当にみんなで食べれるものを頼んだ。


「よーしじゃあ自己紹介しよう!!まずは俺からだな。もうみんな知ってるとは思うがこの合コンの企画者にして教育学科2年の瀬戸修司だ。好きなものは合コンと女の子。嫌いなものは勉強。みんな教育学科だから何か分からない事があったら俺に相談してねー。じゃあ次!!景いいぞ」

「はいはい……えーと修司と同じく教育学科2年の小鳥遊景です。で、好きなものは動物全般、嫌いなものは面倒な事です。まぁ大学でも会うことがあると思うんで気軽に声かけてください」

「はいはいはーい!!」

「修司うるさい」

「好きな女の子のタイプは何ですか?(笑)」


……こいつマジ腹立つ。


「じゃあ次の人どうぞー」

「おい景質問に答えろよ、みんな興味津々だぞ」

「そんな訳ねぇ

「知りたいです!!」


西山さんに勢いよく遮られてしまった……。


「えーと……」

「……」

「……料理が上手な人です」


この辺なら当たり障りないだろ。


「料理ですね!!料理は自信ありますよ」


何故か胸を張る西山さん。料理得意なんだ。


「ちっ逃げやがって」

「うっせ」


全く余計な事しやがって……。その後は全員の自己紹介が終わり料理とドリンクが運ばれ乾杯となった。

それからは修司が話をふってみんなで雑談したり新入生ということで大学生活について聞かれたりしていた。

そして合コン開始から約一時間が経過した頃。


「じゃあそろそろ席替えでもするか、みんな自由に移動してよし!!」

「は?なにそれ?」

「ん~?気になる人がいたらもっと近くで色々話したいだろ?だから」

「いやいやいや知らねぇよ」

「細かいことは気にすんな。景はそのまま座っとけばいいから」


そう言い残すと女の子側の席へと移動を始める修司。そして入れ代わるように西山さんが隣に座った。マジで?


「やっと二人でお話できますね?」

「え?……あぁそう……だね……」

「あの日の事……まだちゃんとしたお礼が出来ていなかったので……小鳥遊先輩改めてあの時は助けていただきありがとうございました」


そう言うとペコリと頭をさげる西山さん。はて、あの時?

俺が頭の上に?を浮かべているのを察したのか


「……私は今でもはっきりと覚えていますよ?」


少し照れくさそうに笑うと『あの日』の事を話してくれた。

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