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黒い竜

 

 

 結論から言うと、追試は受けられそうにないようです。

 現在、異世界の空を飛行中~。


 黒い竜の背中の上だよ! 


 テラテラした漆黒の鱗が視界いっぱいに広がっていて、空の旅を楽しむ余裕なんてないよ、もう。

 座席もリクライニングもシートベルトも背中上販売サービスもないよ。

 この世界のお金持ってないないから買えないけれども。

 民間の旅客機の快適さが判るね、まったく。


 贅沢は言わない。せめて風防がほしいです。

 だって背中の上って鱗と(たてがみ)だけで、掴まるところなんてないんだよ。(鬣を掴もうとしたら半ギレされかけたのでやめました)

 白虎さんが上から覆い被さってくれてるから、風圧で吹き飛ばずに済んでるだけなんだからね? 虎さんシートベルト、素敵。

 そんな白虎さんも、必死に爪を立ててしがみついてるようで、目に余裕の色は皆無です。


 なんでドラゴンの背中に乗ってるかというと、お城に強制招待されたのですよ。

 ことの発端は三十分ほど前にまでさかのぼる――――。




 黒い竜が飛び去った方角を真剣に警戒してた白虎さんが、内壁をぺたぺた叩いてた僕(もっと緊張感持とうよ)の襟首を咥えて奥へ移動。

 また、ぐぇってなったけどガン無視されました。

 一番奥に転がされ、さらに上から覆い被さるように丸くなった虎さんが僕の姿や匂いを隠してくれる。


<なにごとっ!? ねぇ、なにさ!?>


 不意打ちを食らった僕が息苦しくてじたばたしてると、しっぽでぺしって怒られた。

 そしてその解答は、またもや遠くから感じる圧倒的な存在感、もとい、威圧感から見えていないにもかかわらず解ってしまった。

 アレが近づいてくる気配。

 白虎さんグッジョブ!

 おとなしくしてますよ、はい。

 

 こっちに来るなよ~。

 通り過ぎてくれよ~。


 こういうこと考えるとダメなんだよね。

 はい、フラグです。


 すぐ近くでホバリングしてるのかね。

 まったく位置が変わらないなー、なんて考えてたら、入口のすぐ近くで、


 ズンッ!

 

 って降りちゃったよこんちきしょー。

 やばい。虎さんも心臓ばっくんばっくんいってる。


“そこにいるのは分かっている。出てくるがよいぞ”


 バレてる!? しかも話しかけてきたし。

 なんか頭の中に直接話しかけられた。

 テレパシーってやつですか。器用な奴め。


“いま何か失礼な思念がよぎったな”


 ひとの頭の中読めるんですか!?

 こわっ!

 余計なこと考えないようにしなくては。

 さて、どうやってこの場を乗り切るか……。

 

 出入り口は先ほど虎さんと一緒に入ってきた一か所のみ。

 そして出入り口の目の前で待ち構える黒い竜。

 脱出は不可能ですね、わかります。

 あれ、虎さんとの初遭遇より詰んでない?


“さっさと出てこぬか。ええい、往生際の悪い奴め。今から十数える間に出てこなければ、穴倉の中に『吐息(イジェミッシェ)』を放つぞ。いーち、にー、”


 制限時間きたーっ!?

 じたばたもがいて虎さんに出ようと催促。

 死んじゃうよ、あんな規格外のドラゴンさんの吐息(ブレス)って、僕のなんちゃって吐息(ブレス)とは比べるべくもないよ?

 虎の丸焼となんかよくわからないちびっこの丸焼出来るよ?

 消し炭すら残らない可能性もあるけどさ。

 ほら出るよ! どいて、どいてったら!


“なーな、はーち……やっと出てきおったか。どれ、顔を見せよ”


 虎さんに付き添われて、表に出た。

 白い毛並みを盾に、顔だけちょこっとだして様子窺い。

 一人じゃ怖いって。本能的な恐怖が先行しますって。


<ぼ、僕なんて食べても腹の足しにもならないぞ! わかってるのか!>


“威勢がいいな、今回の『白竜』殿は。なに、食らう気はない。そう怯えられると(わらわ)も傷つくぞ”


<そんなでかい図体のドラゴンに襲われれば誰だって怯えるに決まってるし! って、『白竜』……?>


 虎さんの方を見てみる。

 虎さん実は白竜だったりするの? 

 全体的に白いし、立派だし。


 そんな視線に気付いたのか、虎さんがでっかい汗玉を後頭部にたらして首をぶんぶん振って否定する。

 違うらしい。

 ……となると、僕ですか?


“ふむ――この姿が威圧してしまうというなら、少々待て” 


 黒い竜の全身をあの黒い燐光が包み隠し、その大きさがみるみる縮んで行く。

 人と同じくらいにまで燐光が小さくなると、空気にとけるように消えていった。

 残ったのは、一人の女性だ。


 褐色の肌に、妖艶な体をむちむちな水着じみた衣服で申し訳程度に被っている。

 腰まで伸ばされた黒髪はつややかで、瞳は燃えるような赤。

 こめかみからは金色の角が左右から外後頭隆起点(イニオン)に向かって生えており、人ではないと主張していた。


「この姿ならさほど怯えることもなかろうて。改めて名乗ろう。(わらわ)は『黒竜』のヘルマ。破壊と死をもたらす者にして、人間どもから『魔王』と呼ばれる存在である。そなたと対をなす存在であるぞ、『白竜』殿?」


 そう言って微笑んだ黒竜さんは、とても優しげでした。

 やっと魔王さまきたよ~っ!

 ながかった、ながかったよ。


 そして、魔王さまの名前は夜刀朔夜さまからいただきました。

 ありがとうございます!

 他のキャラの名前についてもいただいているので、登場次第改めて使用させていただきますね(〃∇〃) /


 本編とプロローグの境目が判らなくなってきました今日この頃。

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