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魔王と勇者による愛玩生活  作者: 槙村由紀
プロローグ
6/17

朝ごはん仕切りなおし

 なんと2000PV突破!

 ありがとうございます、光栄です。

 施行錯誤の結果、ただ息を吹きかけるのではなく、お腹の底から吐きだす必要があると判りました。

 なんかお腹の奥でぐるぐるしたあと、思いっきり息を細く長く吐くことで火炎放射ができました。

 だいたい三~五秒は吹けるけれど、なんとも規模の小さいこと。

 最大でも幼女の掌くらいの火が出るだけ。


 心配してた口の中や唇のやけどはしませんでした。

 さすがファンタジー。自分の火じゃ火傷しないのかね。

 白虎さんは初めの方こそびっくりしてたようですが、何度も試してるうちに慣れてしまったようで。

 今は二人でたき火を囲みながら、適当な枝に刺したお肉を焼いてるところです。

 もちろん、枝に毒がないかを慎重に見定めたよ、ほんと。

 夾竹桃の枝なんて使ったら死ねるからね。


 どうやって切り分けたかって?

 なんと、虎さんが気を利かせて切ってくれたのですよ!

 あの爪、剃刀みたいな恐ろしい切れ味ですね。

 一撃貰ったら幼女なんて死ねますよ、うん。


 そして人生初めての鹿肉。

 実食!


<…………>


 なんかやたら硬くて筋っぽくて、獣くさい。

 なかなか飲み込めないし。途中で味無くなるし。

 まぁ、血抜きとかしてないですもんね。

 仕留めたの虎さんだし。


 塩や胡椒で味を調えても厳しいなぁ。香辛料も欲しい。

 幸いなことに、身体が小さい分食事量も少なく済んだので、あんまり食べなくても大丈夫でした。

 鶏や豚や牛のような上質なお肉に慣れた現代日本人にとっては、鹿肉は食べにくいことが解りましたよ。


 なんと贅沢なっ!? って思うでしょう? 

 でも、血抜きされてない鹿肉って、食べるの結構大変なんですよ、これ。 

 僕の知らないことではあったが、猟師さんの間では食えたもんじゃないと言われてるそうです。

 イノシシ(別名ヤマクジラともいう)よりは臭みが少ないそうですが、あれは……。


<今後のことを考えたら、適度に小分けにして燻製にしたほうがいいのかなぁ>


 なんてぼんやり考えてたら、なにかいやな予感とでも言うしかない、妙な感覚が。

 本能なんだろうか。白虎と遭遇した時とは比べ物にならないくらいの威圧感が、遠くから向かってくるのが判った。

 白虎の方を振り返れば、前足で捕獲された後、もふもふなお腹の下にかくまわれちゃいました。

 もふもふ越しに、かなり緊張した心拍が伝わってくる。

 虎さんほどの強者ですら怯えるなんてどんな相手なのか、これは実際に見ておかないと!


 虎さんの体の下からちょっぴりだけ頭を出して、空を見上げると、遠くに黒い点が見えた。

 鳥や飛行機じゃない。

 ぐんぐん近づいてくるソレは、だんだん姿が判ってくる。


<あれは……ドラゴン!?>


 三対六枚の黒翼を有した、文字どおりの竜。西洋の黒い竜だ。

 大きさは目測で、白虎さん十頭分は堅いから、四十メートルはあろうか。

 いかにもな凶悪そうな顔にとげとげした鱗。

 翼竜(ワイバーン)とかいうのもいるのかもしれないが、あれはそれの上位番だろう。


 確かにあれが相手なら、白虎さんが怯えるのも納得。

 もし戯れにでも襲われたらひとたまりもありませんって!


 幸いなことに、ドラゴンは頭上を通過しただけで、こちらにちょっかいを出すことなく、飛んで行きました。

 黒い燐光の尾を引いて飛ぶ姿は、勇壮。

 何事もなくてよかった、なんて落ち着いていたら、白虎さんが立ち上がった。

 へばりついてた僕は無様に転げ落ちる。


 火の後始末すらさせてもらえず、白虎さんはおもむろに僕の襟首を咥えて走り出した。

 方角は、先ほどの竜の進行方向とは逆。

 

<ぐぇっ! 首が締まるって。しかも酔いそう……>


 ぶらぶら揺れながら、白虎さんに連れられて全力離脱しましたとさ。

 そしたら遠くの方で、ズンって地響きが……っ!?


 さっきの黒竜か。

 途中で何度か咥え直しをされながらも、僕はおとなしく白虎さんに運送してもらいました。

 背中に乗せてくれた方が様になったのに、なんて考えたけど、たぶん落ちただろうな。

 

 だって白虎さんの全力疾走って、友人のバイクの後部座席に乗った時より速いよ、これ。

 魔法でもあるのかな。やたらめったら速い。

 虎ってこんなに速く走れたんだ。


 おまけに走ってるから上下運動も多少ある。

 木立を飛び越え、斜面を駆け降り、岩棚を跳んで。

 背中に乗ってたら力尽きて途中で落ちてますねー、これ。

 白虎さんの判断力ぱないなー。


 しばらくすると、山の陰、ほんとに言われなければわからないような隠れた場所にある、白虎さんが余裕で通れるほら穴に到着。

 ここが白虎さんの寝床らしい。


<おじゃましまーす>


 白虎さんに下ろしてもらってからお宅拝見。

 何の変哲もないほら穴。

 雨風をしのげる程度のよくある巣穴だね。

 ところどころに、得体のしれない生き物の骨が転がってるけど、気にしないようにしよう。


 僕がお宅拝見に執心している間中、白虎さんは遠くの方を警戒してひげをピクピクさせてた。

 やっぱり強者っているんだね。上には上がいる、と。

 追試は遠いなぁ……。

 はーい、名前の意見が何もなかったのでテキトーに名づけることにしました。

 作者のネーミングセンスが問われます(ヲイ

 次話以降に出るかな~


 魔王さまは? あれ?

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