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魔王と勇者による愛玩生活  作者: 槙村由紀
プロローグ
2/17

人間辞め(させられ)ました

 なんか思いついたので忘れないうちに。


 なんだろう。この喪失感は。

 身長百七十はあったはずなのに、どこからどう見ても五、六歳児。

 ガリガリに痩せこけたうえ、全身暴行の痕だらけで、青あざだらけ。

 鍛え抜いていないながらもそれなりにあった筋力はどこ吹く風。


 別人の体ですね。わかります。

 試しに手をにぎにぎしてみても、小さなもみじが思ったとおりに動きます。


<ほぅわぁあゎぁっ!?>


 どういうこと!? 黒い組織の者たちにアポト何とかって薬でも飲まされたのか?

 いやいやいや、ありえないし。

 まぁいい。怪我の具合を見るのが先だよね。

 そして体中をくまなく探っていて気付いた重大な事実に直面。

 女体化してました。


<女になってる!?>


 まったく理解が追い付かない。驚きすぎてもはや驚きゲージは品切れです。

 何言ってるのか自分でもよくわからん。

 あー、考えるのやめようかな。


 驚きの連続で、ぬぼーっとした顔になったまま、僕は手近な水たまりで姿を確認した。

 肩甲骨にかかるくらいに伸びたぼさぼさで汚れ放題な金髪、紫水晶を思わせる美しい瞳。

 整った顔立ちではあるも、全体的に汚れ放題なせいで、どうも愛らしさが半減している。

 これは――――将来かなりの美人さんになるのでは?

 磨けば光るはず!


 ほっぺに手を当ててほほ笑んでみた。


<かぁわいー!>


 やばい、これお持ち帰りしたくなるくらいかわいい。

 でも、それだけじゃなかった。

 左の二の腕には、今までどこにも見たことのないものがあった。


 真っ白な、やたら硬くて頑丈な鱗が生えていたのである。


 もう驚くのはやめよう。そう思っていた時期がありました。

 皮膚がゾウの肌見たいになったり、樹木のような腫瘍ができる病であればネットで見たことがある。

 でもこれは完全に鱗だ。爬虫類とか魚類とかにある、アレ。


 ショックで硬直していると、


<いてっ!?> 


 背中に何かが当たった。

 転がったものを見れば、あちこちとんがった今の自分の拳くらいの石だ。

 頭じゃなくてほんとによかった。

 周囲を見回すと、自分より大きな赤毛の男の子。十歳くらいだろうか。

 何の冗談か頭の上には立派なネコミミが生えている。

 汚物でも見る視線は攻撃的で、石を投げたのは彼なのだろう。

 まだ左手に同じような石をもう一つ握っている。


「まだこんな所に居やがったのかよ、失せろよ化け物!」


 言うが早いか、投じられた石は僕の脛に命中。

 少し切れてしまって、傷口から無色透明(・・・・)な血がにじみだす。

 

<どうやら人間型ではあっても人間ではないようですね、僕>


 本日何度目か忘れたくなるほどの驚きと喪失感に、頬を涙が伝った。

 まずい、書きたいこと書く前に手間がかかりすぎる!

 

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