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老執事と書いて、変態と読む

 長い舌をチロチロさせる執事(へんたい)を全力で警戒しながらその場を離脱。

 白虎さんの傍まで駆け寄り汚物(へんたい)から距離をとる。


 そういえばさっきさらっと聞き流してたけど、赤城とかいう変態は守護獣とか言ってたな。

 人型してても人間じゃないシリーズか貴様!

 僕が言うのも何なんですけどねー。


「ほっほっほ。すでに(えにし)は結ばれました故、どこに逃げようとも無駄ですぞ?」

「うわっ!? く、来るなよぉっ! 白虎さんお願い助けて、あのキモいの討伐して経験値にするんだ!」


 まんざらでもなさそうな白虎さんが、のそりと立ちあがって僕の前で盾になってくれる。

 ありがとう白虎さん、この恩は忘れないよ、絶対に!


「新米守護獣の分際でワシの野望を邪魔するのか、白猫(・・)よ?」

「グルルルルルルル…………」

「これこれ、やめよ。室内で暴れるでないぞ!」


 両者いつでもいけますな所で、ヘルマさんが制止をかける。

 

「止めないでヘルマさん。これは身の安全と貞操をかけた譲れない戦いなんだ!」

「そうじゃぞ! ワシの幼女、ワシだけの幼女なのじゃぞ!? 見た目十五歳以上の年増共に囲まれた地獄のような生活に訪れたたったひとつのオアシス! 絶対に逃すものかあぁあぁあぁッ!」

「何あれキモいっ!? こんなときで悪いけど白虎さんに名前を! 君は今からエーリーンだ。よし、やっちゃえ、エーリーン!」

「ガゥッ!!」

「ヤれると思ったか白猫め!」


 もうね、カオスです。

 高威力・高範囲攻撃しか持ってないヘルマさんは手を出すに出せず、案内してくれたメイドさんは壁に張り付いてガタガタ震えてるし。

 残った三角眼鏡のメイドさんは、いつの間にか姿が見えなくなっていた。

 主を置いて逃げたのか、あのひと?


 なわけありませんでした。

 顔面に爪を立てられてるのに平気そうな執事(へんたい)と、なんとか切り刻もうと爪や牙を突き立てようとするエーリーンの傍らにいつの間にかいて、


「少しは落ち着いてくださいませ」


 のひと言とともに、赤城の後頭部を掴んだと思ったら、細腕でそのままぶん回し(え? 人の体って片手で持って振りまわせるの?)、顔から床に叩きつけた。

 ズシンって衝撃が足の裏から伝わってくることを鑑みれば、僕なら致命傷足りうる一撃だ。

 

 よくヤりあってる二人の中に割って入って、赤城だけしとめられるねぇ。

 あのメイドさん何者?


「やっと静かになりましたか。それと、いつも申し上げていることですが、大半の女性に対して『年増』と呼ぶのはおやめなさい」


 三角眼鏡の真ん中を、中指でくいって上げると、眼鏡がキラーンって嫌な輝きを放った。

 たぶん、結構殺意こもってたはず。

 『年増』発言にキレたのか、この人?


「『白竜』さま、なにかおっしゃりたいことでも?」

「ぃ、いいえ、なにも! そう、なにもないですよー?」


 声を上ずらせながらも、首をぶんぶん振って否定しておく。

 いま、三角眼鏡がキラーンってしかけたよ、何かあれまずいよ?


 そしてピクリとも動かない変態。

 よし、死んだか! これで(僕の周りの)世界は平和になった。


 なんかやるせない感じのエーリーンを慰めつつ、悪の滅んだ世界を素直に喜んだ。

 三角眼鏡のメイドさんがそっとさしだしてきたおしぼりで丁寧に手を拭きながら、ヘルマさんに詰め寄る。


「いきなり変なものを押しつけないでください! 危うくヤられるかもしれないところだったじゃないか!!」

「だから(わらわ)も訊ねたじゃろうに。殺すか、と」

「まさかあの見た目で中身残念な老害だなんて思わないでしょ! 今思い出しても気持ち悪い。死体はそちらで処分しておいてくださいよ?!」

「それは無理じゃな。そやつ、まだ生きておるぞ?」

「へ?」


 振りかえると、残念な老害(へんたい)がむくりと立ち上がるところだった。


 あの一撃でまさかの無傷かよ!?

 幼女の

 「やっちゃえ、バーサ※※ー」

 のノリは一度やってみたかっただけなんです。

 それに合わせるためだけに虎の名前が決まった、なんてことはないと思うんですよ、ええ。


 鼎や赤城の正体については次かな~


 日間ランキング67位とかいう数字が見えたような気がしたけど気のせいだと思うんだ。

 そもそも一過性のもので、これからは打ち上げ花火のように消えてくはずなんだよ、きっと。

 そうだ、きっとそうに違いない。(現実逃避

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