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クーリングオフ

 更新頻度を減らしていくかもしれません。

僕が目を覚ましたのは、なぜか座った姿勢のままだった。

 目の前には三面鏡。見たこともない美幼女がフリルたっぷりでふわっふわな白い服を着て、メイドさんに髪をセッティングしてもらってるところだ。

 

 直前まで何してたっけ。

 確か……。

 そうだ、白虎さんの暖房兼シートベルトで空の特急飛行の旅に出たんだ。

 虎さん宅発、ヘルマさんのお城行きのヘルマさん便。

 

 そっか、無事に着いたんだ。

 あんな状況でよく眠れたな―、僕。

 それはさておき。


「あのぉ~? 僕どうしてこんなことに?」


 背後で髪にブラシをかけてくれているメイドさん(何かの獣人)に話しかけてみる。

 着替えた記憶ないんだよね。


「あら、目が覚めたのですね、『白竜』さま」

「ええ、覚めちまいましたですよ? 僕は着替えた記憶ないんだけど」

「ああ、それでしたら、意識のないまま私どもで湯あみをさせていただきました。それに伴い、お召し物も『白竜』さまに相応しいものをご用意させていただきましたので、こちらでお着替えを手伝わせていただきました。ご希望のお召し物が不明でしたので、こちらで選ばせていたただきましたが、なにか不足がありましたでしょうか?」

「ありまくりではありませんか。特に本人の同意とか!」


 寝てる間に裸に剥いて湯あみって……。

 確かに失禁しましたけれども。


「申し訳ありません! 眠っておられたので、許可の取りようもなく……主様の命に従わせていただいた次第です」

「主……ヘルマさんね」

「はい! 主様は嬉々として『白竜』さまの体を洗っておられました」

「…………なんですと?」


 聞けば、粗相をしてしまった上移動中に眠ってしまった僕を城に連れ帰ったヘルマさんは、とりあえず何はともあれ湯あみじゃ、と『黒竜』さん自らがお風呂に入れてくださったそうな。

 なんでも丹念にもみ洗いされていたとか。

 僕は洗濯ものですか。


 ヘルマさんみたいなかなりの美人さんに裸を見られたうえ、全身を洗われたとか恥ずかしすぎる!

 やめてください。

 恥ずかしすぎて死んでしまいますって。

 あー、でも肉体的には同性なんだっけ。

 ――なんか悔しい。


「さて、これで身だしなみは整え終わりました! 主様方にそのお姿を披露いたしましょう!」


 えー。このお姫さまかどこぞの貴族のお嬢さまみたいな恰好で? 

 何の罰ゲーム?

 質素でいいよ。ひらひらがふわふわしてて動きにくいんだよ……


 さぁ! 参りましょう!

 などとのたまうメイドさんに視線で訴えるも、大任を任された影響からかは知らないけど、めっちゃいい笑顔で移動を促してきた。

 

 移動中に外の風景を見たら、どうやら西洋建築の石造りのお城そのものっぽいね。

 城下町っぽいものもあるし、結構発展した町みたい。

 そしてよそ見なんてしてるとね。

 女物の服なんて着たことないから、スカート踏んづけてこけました。

 二回も!

 幸いなことにカーペットがもこもこでふわふわだったから痛くなかったけど。

 案内のメイドさん? 微笑ましいものを見るような慈愛の目で見ないでください。

 恥ずかしいです。


「主様ー! 『白竜』さまをお連れしましたー!」


 メイドさん、そこは大声出すだけじゃなくてノックとかした方がいいと思うんだ。

 僕の視線に嬉しそうな笑みを返すだけの空気読めないメイドさん。

 さて、謁見の間でも拝見させていただきますかーなんて気分で入室を果たすと、そこはただの談話室でした。


 ちょっぴり拍子抜け。


「おお! 目覚められたのだな『白竜』殿。」


 ソファーでくつろいでいたのは、全体的にあちこち黒い『魔王』さまこと『黒竜』のヘルマさん。

 その両脇には従者さんなのか、メイドさんと執事さんが控えていた。

 メイドさんの方は、栗色の髪を結いあげたキツそうな印象を受ける三角眼鏡のひとだ。

 執事さんは白髪をオールバックに撫でつけ、口髭までビシッと決めた、凛々しいジェントルメン。小父さまって呼びたくなるくらいダンディな雰囲気の、出来る人っぽい印象を受ける。

 虎さんは暖炉の前でごろりと横になって、あくびしてる。


「はい。お風呂と服、ありがとうです」

「気に入ってもらえたら嬉しいぞ。早速で悪いのじゃが、『白竜』殿に紹介したい者がおる」


 ヘルマさんが顎で指し示すと、執事さんが一歩前に進み出た。


「こやつの名は赤城(あかぎ)。先代の『白竜』殿の守護獣で、『白竜』殿の死後、妾が身柄を預かっておった。今代の『白竜』殿には遺産相続みたいなものじゃな。いらぬと申すならこちらで処分しておくが、どうされる?」

「処分って……どういう意味です」

「不要なものは捨てるか殺すか、じゃろう? 不思議なことではないぞ?」


 執事さんの方を見ても、ただ静かに佇んでるだけだ。

 今まさに自分の命が左右されかかってるようは到底見えない。

 にしても、当たり前のように殺そうとするなんてヘルマさん。

 『魔王』さまの称号は伊達じゃないんですねー。


 にしても赤城って……この世界にアンマッチなネーミングセンスだな。

 先代『白竜』さんのセンスなのかしらん?


「殺すなんてひどいこと言わないでくださいよ。他人の命を簡単に奪おうだなんてどうにかしてます! 赤城さんは僕の方で引き取らせてください」

「そうかそうか、それは良かった。これでやっと肩の荷が下りたというものじゃ。では、新たな主の元へ行くがよい、赤城」

「長い間お世話になりましたな、『黒竜』どの」


 流れるような所作でヘルマさんに礼をすると、赤城さんは僕の前で片膝をついた。


「ご紹介に預かりました赤城にございます。これから末永くお仕えさせていただきたく存じますぞ、新たな主よ」

「うん、僕からもよろしく……?」


 おもむろに僕の手を取り、指先に口づけ――るのではなく長い舌を絡めてきた!?


「幼女のちっちゃいおててペロペロ」

「ふわぁぉ!? 止めて放して近づかないで!!」


 前言撤回。

 殺しましょう。

 さあ白虎さん、出番ですよ!


 クーリングオフできなかったらヤるよ!

 執事さんのお名前は夜刀朔夜 さまからいただきました。

 ありがとうございます!



 日間74位になりましたです。

 びっくりですねー。(現実感なさ過ぎて他人事

 30000PVも突破してしまいましたし。


 何名かの方に評価までいただいてありがとうございます(〃∇〃)/

 ただ、文章の評価が高すぎるなーなどと、作者は内心でかなり焦っておりますですよ。自己評価は両方1ptですもん。文量も少ないしね!


 なかなか理想と現実が合流しないですねぇ(遠い目

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