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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
古き屋敷にてー蠱術家の輪廻ー
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蠱術の憑き物

ー五月ー

桜が満開になる春は終わりを告げた。

少しずつ日が長くなっていく。


そんなある日、辭は分家にある蔵の中にいた。

先祖代々からある蔵はもう築百年以上は経っていて、かなり古い。


キィィ…と(きし)んだ音を立てて、蔵の扉が開いた。

辭は蔵の中に足を踏み入れる。


中にはたくさんの古物や巻物があった。

それらの中には、どこからどう見ても何やら(いわ)く付きの日本人形まである。


「ここならありそうですね…」


そんなことを呟きながら、辭はゴソゴソと蔵の中を物色、基、捜索する。


実は薬草の種類が載った古本があると、分家にいるお手伝いさんから聞いたからだ。


中は思ったよりも暗くて探しにくい。

手探りしながらの古本探し。

すると、外から疾風の鳴き声が聞こえてきた。


いつものような元気な鳴き声ではなく、どこか…そう、悲鳴に近いような鳴き声だ。

何かあったのでしょうか…


古本探しを止めて、辭は蔵を飛び出し疾風の元へと向かう。


疾風がいる辭の部屋へと辿り着いた。

勢いよく襖を開けると、部屋は何者かに荒らされたようにめちゃくちゃだった。


視線を隅から隅まで張り巡らせ、部屋の中央にいる薄い黄色の物体へと目がいく。


「疾風…!!」


それは、傷だらけの疾風だった。

どの傷も深くなく致命傷ではないが、出血が多少多い。


早く止血しないと、いくら致命傷じゃなくても命に関わります…!


部屋の惨状の片付けは後にして、疾風の傷の治療をする。

すると、お稲荷さんが丁度お散歩から帰ってきました。


「ただい…まっ?!」


何だこりゃ!と部屋の状況を見て、驚くお稲荷さん。

そして私の元へと駆け寄ってきた。

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