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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
桜色の絨毯が広がる日本庭園にて
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庭園の妖怪4

「恐怖心、ですか?」

「あぁ、そうだ。

鎌鼬は辭が術師だと分かって、払われると思ったんだよ。

だから、あっちから襲いかかってきた。」

「……」


私が術師だからー

チクリと胸が痛んだ。


妖や霊達の中には、執拗(しつよう)に術師を嫌っているものがいることも確かだ。


「私は、悪意がない妖は払いませんよ。

そんなに鬼ではありません。」


辭はそう言って、珍しく両頬を膨らませた。

優しいと言われれば確かにそうなのだろう。


他の術師達から見たら、妖に情けをかけるなんて言語道断なのだろうが。


情けではないのです。

知りたいと思った。妖のことを、もっと。


相手が本当に善なのか悪なのか、それは関わって面と面で向かってみないと分からない。


かの言う私も、今までは他の術師達と同じ考えだっ。

妖は善であろうが悪であろうが皆払うべきなのだ、と。


今はそれが正しくないのではないかと、考えるようになった。


全てはお稲荷さんと出会ってから。

そして巫さんや侭さん、小鬼さん達の様な心優しい妖達に出会って、妖にも心があるということを知ったから。


だから、私は。

悪さをしない限り、悪意や殺意のない妖は払わないと決めたのだ。


妖だからといって全てが悪だというわけではない。

むやみやたらに払うのは宣戦布告なのだから。


戦になりかねない。

誰もそんなこと望んでなんかいないのに。


私はいつか、術師と妖が互いに手を取り合っていける日が来ればいいと思っている。

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