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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
桜色の絨毯が広がる日本庭園にて
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庭園の妖怪2

こうやって、白虎様は時々私の元を訪れては好意を寄せてくれる。


懐かれるのは全然嫌ではないのでいいのだが。


「んー?

おい、女たらしの白虎!

お前辭に何抱きついてやがる!」


あ、お稲荷さん覚醒しました。

女たらしって、それは失礼では。


私が困惑している中、二人の口論はますますヒートアップ。


「失礼だなぁ、白狐。

僕がいつ辭以外の子を(たぶら)かしたって言うの?

いつだって、僕は辭一筋だから。

そう言う白狐こそ、人のこと言えるの?」

「俺だって!

お、俺だって、辭一筋だ!!

他の女よりも、断然辭だ!

かっこいい俺に辭は惚れてるんだよ!」

「好きなんだね、辭のこと。」

「す、好きさ!好きで何が悪っ……?!」


ニヤニヤと笑う白虎様。

天然黒(ピュアブラック)って怖い。


「それよりも、お稲荷さん。

誰が誰に惚れてると?キチガイ過ぎますよ。

ナルシストなのもいい加減にしてください。そういうのはウザイです。

今すぐリリースしますよ?」


最終的には、いつもお稲荷さんが白虎様の口車に乗せられて負ける。

お稲荷さんはというと、まさかの展開に硬直しているよう。


「でも、……私も好きですよ。」

「「え。」」

「お稲荷さんと白虎様のこと。

もちろん他の会ったことはないですが、三神の方達のことも好きです。」


二人をそっと抱きしめながら辭が笑顔でそう言うと、二人は顔を赤くして目を逸らした。


“皆さんのことが、大事なのです。

でもそれと同じくらい大好きなのです。”


「矛盾、していますか?」


二人ともフルフルと首が取れそうなくらいに振りまくっている。


三人でほのぼのとしていると清浄だった辺りの空気が、一気に(よど)んだ。

思わず三人で気配を辿り、庭園へと視線を移した。


おかしい。

ここには結界が貼っているから、妖や霊が入り込めることなんてない。


と、なれば。

相当の強者であることだ。


警戒しながら庭園の隅から隅へと視線を張り巡らしていると、庭園の中心部で突如竜巻が起こった。


それは次の瞬間には辭達に向かって一斉に襲いかかる。

素早く結界を貼ったものの、体中に鋭い切り傷ができた。


これは。一瞬にして竜巻は消え失せた。


「大丈夫か?!辭!」

「はい。切り傷は受けましたが。

白虎様はお怪我はないですか?」

「ないよ。

辭はその様子じゃ痛みはないんだ。」

「全く痛くないです。」

「へぇ、なるほどな。」

「白狐も気づいた?

この竜巻の正体が何か。」

「そりゃな。

辭、それは鎌鼬(かまいたち)の仕業だ。」

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