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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
西の都ー花の京都にてー3
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夜道の訪問者30

お稲荷さんの衝撃の言葉に驚いて白虎様と呼ばれる青年を見た。


身長は私より少し高いくらいだ。

顔立ちが可愛らしいから、年下に見えるけど、実際は私よりもかなり年上なのだろう。


「こんばんは。辭。」


私が警戒していると、青年はニコリと微笑んで挨拶をしてきた。


「こんばんは。白虎様。」

「まだ警戒しているの?

まぁ、この姿だからね?白虎なんて言われても信じられないのは無理もないよ。」

「そう、ですか。」

「ふふ、じゃあ特別サービスで、僕の本当の姿を見せてあげる。」


そう言った途端、青年の瞳が銀色に輝く。

次の瞬間、ものすごい突風が巻き起こり辺りは一瞬にして砂埃が起こった。


「……!」


結界を貼り、身を守る。

やがて砂埃が落ち着き、辺りが薄らと確認できるようになった。


感じるのは、最初に感じた異質な気。

けれどどうしてか、神々しい。


足元に視線を移すと、お稲荷さんは溜息をついている。

その後方では巫さんが私と同じように結界を貼っており、侭さんも中にいた。


「あれは……!」


辺りがしっかりと確認できるようになった辭が見たのはー

白銀の毛並みと同じ瞳の色を持つ、大きな虎がいた。


『どう?これが僕の本当の姿だよ。

びっくりしちゃった?』


昔、絵巻でみたことがある。

間違いない、このお方は本物の白虎様。


「いえ、お初にお目にかかれて光栄です。

先程のとんだご無礼をお許しください。

西方の白虎様ー」


深々と白虎に礼をした。

お稲荷さんは、ケッと悪態をついている。


「おい、白虎様よー。

変化するなら周りへの被害も考えろよな。」

『ごめんね。

全く、白狐は最初こそは敬語だったのに。

すぐに元に戻ってしまったね。』

「お、お稲荷さん!いくらなんでもその口調は……!」

『いいんだよ、辭。

いつもこんな感じだから。

この方が白狐らしいから、僕は慣れてるし大丈夫だよ。』


お稲荷さんを見ながらそう言った白虎様は、また人へと変化した。

今度は突風も砂埃も起きなかった。


「突然現れてごめんね。

許してくれるかな?」

「いえ!許すも何もないです!」


私が慌てたように返すと、白虎様はクスクスと笑う。


「今回は白狐からも報告を貰ってるよ。

随分無理なことをさせちゃったね。

辭、こいつを封印してくれてありがとう。

それから、花神も巫さんも。」


そう言って手元に持っている勾玉を見た。


「こいつはかなりの厄介者だったから。

いずれ僕達の誰かが封じるかなんかしなくちゃいけなかったんだけどね。

これは、僕達の方で責任もって預かるよ。」

「そうだったのですか。ではお願いします。

あの、白虎様…」

「どうしたの?辭。」

「花神は……侭さんは、巫さんはどうなるのですか?」


白虎様は、うーん……と顎に手を当てて考えている。


払われてしまうのだろうか。

折角お会いすることが出来たのに。


「それはね。

二人は僕達の元で、共に働いてもらうことに決定になったんだ。」

「「え?!」」


働くって。


「働くって、それは、その。

ペナルティでということでですか?」

「それもあるけど。

僕達が二人の力に目をつけたから、一緒に働いてもらおうってなっただけだよ。

こいつの引き取りと、二人の迎えを兼ねて、ここに来たってわけ。」


だから、安心して。とニコリと笑った白虎様。

私は安堵から溜息を零した。

良かった、本当に良かった。

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