夜道の訪問者26
一向に焼けるような熱さも、痛みも襲って来ない。
恐る恐る目を開けると、そこには巫さんが結界を貼っていた。
その後ろで、侭さんが庇うように私の前に立っている。
「巫さん!侭さん!」
「お怪我はないですか?辭さん。」
巫さんがこちらに駆け寄ってきながら、聞いてくる。
私ははい、と返事をすると彼女を見た。
強い結界が貼られている…
鬼火は一瞬にして弾かれた。
「巫さん、ありがとうございます!」
「私も及ばずながら、辭さんに加勢いたします!」
私は数珠を構え、巫さんは術を唱える時に使う札を構える。
見据える先は、悪路神の火。
もう一度、青龍様の力をお借りして流水を使うか。
だが、相手が侭さんの力を吸い取っていたとしたら、弾かれる可能性も高い。
「一体どうしたら。」
悪路神の火の邪気が今までより一番強い。
これは、もう封印するしか方法が。
「ものすごい邪気だな。
辭、これはもう払うのは無理だ!」
お稲荷さんが叫ぶ。
侭さんも同じようなことを呟いている。
「私も、お二人と同じ意見です。
こんなに邪気が強いと、例え払えたとしても、時間が経てばまた復活してしまいます。
完全に払うのは無理です!」




