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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
西の都ー花の京都にてー3
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夜道の訪問者7

 辭はそこまで見て、意識が遠退いた。


 「辭!」


 誰かが呼んでいる。辭はゆっくりと目を開けた。視界に映る白。


 「お、稲荷、さん?」

 「辭! 気がついたか! 良かった!」


 お稲荷さんが心配そうに辭を見ていた。ずっと付き添ってくれていたようだ。

 ハタハタとシッポを振りながら、辭のお腹の上へと登ってきた。


 「辭、倒れた時のこと覚えてるか?」


 辭は倒れた時のことを思い出した。確か懍に奇妙な噂を聞いて。

 それで真相を確かめにお稲荷さんと五条大橋に行って。


 そこで黒い霧と赤い光を見て、その後何故か急に体が重くなって。気がついたら地面に倒れていた。


 「はい、覚えてます……お稲荷さん、私はどうして倒れたのでしょうか」

 「辭がそいつの強力までの邪気を諸に喰らったからだ。だから、体が邪気に耐えられずぶっ倒れたってわけ」

 「なるほどです。ところでお稲荷さん」

 「何だ?」

 「人のお腹の上でくつろぐのはやめてください。苦しいです。あと、すごく重いです」


 胃が圧迫される。吐きそう。


 「何だよ、失礼だな」


 そんなことを言いながらも渋々と退いてくれる。何にせよ、病にかからなかっただけ不幸中の幸い。

 時計を見ると、日付が変わっていた。


 京都三日目が終わり、四日目に突入している。そんなことを思いながら、辭は考えた。今回の任は長くなりそうだと。


 「まだ夜明けじゃないから、もう少し寝てろよ」

 「お稲荷さんは寝ないのですか?」

 「俺も寝るから安心しろ」

 「分かりました……」


 辭はそう言うと、再び眠りに落ちていった。今度は何もなかった。

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