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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
西の都ー花の京都にてー3
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夜道の訪問者5

 橋を渡ると、そこには美しい女の人がいた。黒髪のロングに白い肌、淡いピンク色の花柄の着物を着ていて一目で引きつけられる。


 顔は近づいても近づいても不思議なことに見えない。唇から上が影のように隠れている。見られたくないのか? それとも、今は見せたくない?


 「こらこら、喧嘩はダメよ」


 その形のいい唇から発せられる声は清らかで凛としていて綺麗だった。

 雰囲気だけでも分かる。この人は優しい心の持ち主なんだって。


 「巫様」


 小さく、けれどもはっきりとした声がどこからか聞こえてきた。

 バッと反射的に辺りを見渡す。妖の気配。


 すると、彼女達のすぐ背後にある家の物陰から灰色の着物を纏った男の人が覗いていた。この人、妖。


 「巫様」


 男の人は再び女性の名を呼んだ。愛しそうに、切なそうに……


 するとそれが聞こえたのか、はたまた伝わったのか、巫様と呼ばれる女性は振り返った。


 これは恐らく辭の憶測だが。

 女性には男の人の姿はーー見えていないと、思う。


 女性は男の人のいる方向を見つめていたが、すぐに子供達へと向き直った。


 やがて、夕暮れになり女性も、子供達もそれぞれ家へと帰っていく。

 辭は巫様の後をつけることにした。物陰に隠れつつ尾行する。

 本当は姿なんて見えていないので、堂々と尾行すればいい。


 一応、念のために。物陰からつけることにした。巫様は神社へと入っていく。

 辭も後を追って神社へと入った。


 そこで辭が目にしたのは、巫様が妖を払っているところだった。

 巫様は、辭達と同じ術師だったのだ。


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