夜道の訪問者4
ー五条大橋ー
看板にはそう書かれていた。何かのジョーク?
いや、でもそんなはずは。先程まで辭は夜の橋にいたのに。
何で今昼間なのだろうか? どうして世界がセピア色なのだろう。
すっかり混乱していた。何が起こっているのか理解が出来ない。
「巫様ー!」
混乱している辭の耳に子供達の声が聞こえた。その声に導かれるように視線を向ける。
橋の向こう側に女性がいた。子供達がその女性の周りに集まって、楽しそうに遊んでいる。
辭は近づいた彼女達に。服装は皆着物で、足には草履を履いている。
彼女と子供達の後ろに並んでいる家。たくさんの蔵。
そこでやっと辭は世界がセピア色なのに納得がいくこととなる。
なるほど、どうやらここは江戸時代末期のようだ。
所々西洋の服装をした方々が見受けられるので、明治に入りかけという所か。
では、辭は今過去にタイムスリップしているということ。
困ったことになった。人知れず頭を抱える。おそらく時代的に考え、鎖国も終わり江戸幕府の最後の将軍、徳川慶喜が大政奉還を行ったはず。
時間が経てば自然と現代へと引き戻されるはずだ。辭は、とりあえず子供達の方へ足を運んでみることにした。
運んでみることにしたのはいいのだが、些かこの格好では目立ちすぎるのでは? と、装束を見てみる。
もう少し騒がれてもいいと思うが。
何故か誰も騒ぎ立てない。まるで、自分が見えてないような。
前方から人が歩いてくる。少しずつ自分との距離が縮まっていく。
後、三m。
スルッ……
(え? 今、通り抜けた?)
その人は何もなかったかのように、私を通り抜けた。思わずその人に躍り出てみるも。
スルッ……
また通り抜けた。この時代では辭は霊みたいな存在のようだ。
それならそれで助かりはするが。考えていても仕方ないので、子供達の元へと向かう。




