表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
西の都ー花の京都にてー2
35/133

小鬼達の悪戯19

 小鬼達が消えた後、時雨と幸は寂しそうにその場所を見つめていた。

 光の球体はまだそこにあり、フワフワと漂っていて、まるで蛍の様だった。


 「綺麗ね」

 「あぁ。本当に、綺麗だよ」


 六つの光の球体は二人の周りをグルリと浮かぶと、いつの間に開いていたのだろうか。

 窓から日の出が輝く空へと、飛び去っていった。


 「あ……」


 辭は二人に声をかけようとした。でも、声はかけられなかった。二人が涙を流していたから。


 お稲荷さんと辭は目を合わせると、静かにその部屋を後にした。


 (時雨さんも幸さんも強い人だから。私には弱い所を見られたくないと思うだろうから)


 襖を閉める際、二人はいつまでも小鬼達の飛び去っていった方向を見つめていた。

 自分の部屋の襖を閉めた途端、堪えていたものが一気に溢れてきた。


 涙が足元にいたお稲荷さんの頭にかかる。辭は静かにお稲荷さんを胸に抱いた。

 お稲荷さんは辭に大人しく抱かれていて、その優しさが胸に染みた。


 辭は朝日が真上に昇るまで、泣き疲れてお稲荷さんと一緒に眠っていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ