小鬼達の悪戯17
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時刻は午前一時。
宿の振り子時計が鳴る。今日が小鬼達の最後の宴会。
辭は今、例の部屋の前にいる。肩にはお稲荷さんも。
襖に手をかけて開けると、小鬼達はすでに集まっていた。どうやら、辭達が最後のようだ。
部屋の中央へと足を進める。小鬼達が座布団を持ってきてくれた。それに腰を降ろす。
すると、タンタンタンッと太鼓の音が聞こえた。
それを合図に小鬼達は、酌にお酒を注ぎ盛り上がっている。辭にはお茶を手渡された。
お稲荷さんは小鬼達と一緒になって騒いでいる。
「さぁさ、辭様。お茶をどうぞ」
「ありがとうございます」
小鬼達にお茶を注いでもらいながら、一緒に騒ぐ。本来なら、こういうお祭り騒ぎは好きではないのだが。
たまにはこういうのも悪くない。
小鬼達にとって、これが最後の楽しい思い出になるのなら……
辭達は時間を忘れて宴会を楽しんだ。
「皆さん、とてもいい笑顔なのです」
騒いでいる小鬼達とお稲荷さんを見ながら、辭はそう呟いた。
時雨達も、こんな気持ちで小鬼さん達を見ていたのだろうか。
まるで我が子を見守るかのような、そんな優しい眼差しで見ていたのだろうか?




