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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
西の都ー花の京都にてー2
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小鬼達の悪戯14

 辭は押入れへと近づく。

 そして把手に手をかけお稲荷さんの方へと振り返る。


 「お稲荷さん、これは100%ですか?」

 「あぁ、100%だ!」

 「その自信たっぷりさが私の癪に障ります」

 「酷いっ……」

 「外れていたら、きつねうどんにしますね」

 「食べられる!」


 後ろでお稲荷さんがあー! やめてー! と情けない声を上げている中、辭は把手を引いた。

 押入れの中には何もなかった。でも、押入れの奥。

 奥には辭の探し物を持った小鬼達が隠れていた。


 「ありました」

 「あったか、良かった。ってちょっと待て! 何で札を構える?!」

 「いえ、ちょっと」

 「?」


 見事、辭達に見つかった小鬼達は今は押入れから出ていて、辭に手鏡を返し正座をしている。


 「お前達の仕業だったのか」

 「す、すみませんでした」

 「こいつ等も反省しているみたいだし。辭、許してやれよ」

 「そうですね。では許すかわりに」


 懐から札を数枚取り出す。


 「今すぐ滅しましょう」


 小鬼達がきゃー! わー! と悲鳴をあげお互いに身を寄せあっている。

 時雨達なら許すだろうが、辭は簡単には許さない。


 「こら! 札を構えるな!!」

 「チッ……」

 「すぐに直しなさい!」


 渋々お稲荷さんの言う通りに札を直すと、小鬼達から安堵の溜息が聞こえた。

 それを見て、辭はまたイラッときたので札を構える。小鬼達の悲鳴が響く。


 「だから! すぐに札を構えるな!」


 怒られたので直そうとしたら、お稲荷さんから札を取り上げられてしまった。


 「札を返してください、お稲荷さん」

 「いいや、これは俺が没収しておく。お前、許す気全くないだろう」

 「いいえ。何を言ってるんですか?とっくの昔に許してます」

 「嘘つけ! どうせまた札を構えるんだろうが!!」


 結局、札を没収された。許すまじお稲荷さん。

 その成り行きを見守っていた小鬼達は何かに気づいたようで。

 一斉に小鬼達が深々と土下座をしてきた。


 「本当に申し訳ございませんでしたー!」

 「まさか楿の次期当主様のものとは露知らず」

 「勝手に持ち出してしまい、辭様にご迷惑を!」

 「どうか、どうかお許しください!!」

 「辭様!」

 「お許しを! 我々ただ最後に、時雨殿と幸殿の驚く顔が見たくて」


 むむ、さすがにここまでされると許すしかなくなってしまう。

 それにさっきから横にいるお稲荷さんの目が痛い。


 「許します」


 辭がそういうと小鬼達は泣きながらお礼を言ってきた。

 でも、先程のフレーズが妙に引っかかる。そこで聞いてみることにした。


 「小鬼さん達」

 「はい、何でございましょう」

 「先程、最後と言いましたね。何故、最後なのですか?」

 「それは……」


 小鬼達は黙ってしまった。言いづらいことなのだろうか。

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