小鬼達の悪戯10
お稲荷さんはすっかり辭の肩が定位置に落ち着いたようだ。今も辭の肩に登っては欠伸をしながらリラックスしている。
(何だか私だけ妙に緊張しているみたいで、イラつく)
「お稲荷さん」
辭は肩に登っていた白を優しく抱き上げ、床へと降ろす。降ろされた白は不思議そうに見上げていて、その仕草が可愛い。
ポカンッ
右手で拳を握り、その白くてフワフワの頭にゲンコツを落としてあげた。
オマケに右手にはもしもの時の為にと、数珠をつけている。
ゴリッ……メリッ……見事にのめり込んだ。
「いってえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
お稲荷さんは足元で痛みに悶絶しているが、今は捨て置くことにしよう。
辭は床にゴロゴロ転がって痛がっているお稲荷さんを無視して、例の部屋の襖に手をかけた。
少しだけ、襖を少しだけ開ける。手にした蝋燭でそっと中を照らした。
「あ、いました」
中には時雨さんの言った通り、6匹の小鬼達が宴会を開いていた。
ワイワイガヤガヤ!
話に聞いた通り、すごく楽しそうにしている。
「お、楽しそうにやってんなぁ」
いつの間にか頭の上にはお稲荷さんがいて、中の様子を伺っている。こちらにはまるで気づかないよう。




