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妖御伽譚 上  作者: 鮎弓千景
西の都ー花の京都にてー
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お稲荷さん6

 だから、辭達のような者がこうして夜な夜な任を任される。

 屋根から地上へと降り立った辭は、数珠を構えて辺りを警戒する。


 昼間とは違い、夜は独特な雰囲気が出ているがそれだけではない。禍々しい気配を感じる。昼間行った時は何も感じなかった。人の気配に敏感なのか。


 どこに潜んでいるのだろうか。視界を隅々まで張り巡らせ、標的が隠れそうな所に意識を集中しては繰り返す。


「見つけましたよ……」


 標的は五重塔の二段目に隠れていた。無闇に近づいてまた別の所に逃げ隠れられても困る。


 (さて、どうしたものか)


 「降霊術を使用しましょう。向こうが妖ならば、こちらも妖を使役するまでです」


 力を使い、陣を書く。場所は五重塔の広場でいいだろう。

 北に玄武の玄、南に朱雀の朱、東に青龍の青、西に白虎の白を書き、北から南へ、南から東へ、東から西へ、西から北へと繋ぐ。

 これで陣は完成。辭は陣の北側に立つと、術を唱える。


 「これ即ち降霊の陣なり。

北の玄天上帝、南の神鳥、東の蒼龍、西の西方白虎……四神の力を我にあたえたまえ。我こそ楿の血筋のものなり。

妖と霊の媒介者、交霊者として命ずるー

私とともに生き、ともに戦いなさい。

媒介妖操霊術(ばいかいようそうれいじゅつ)ー」


 陣が光を放ち、突風が起こる。どんな者が現れるのだろうか。しかし、辭は気づかなかった。この陣には決定的に最後のある文字が欠けていたことに。

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