4話 破壊
「あ、悪魔」
「そうだ、悪魔だ」
彼はもう一度笑うとそう言った。
悪魔・・・・僕はオカルトとかについては比較的無関心な方だが悪魔がこの世に存在するわけが無いという事位は一般常識として知っていた。
つまり、こいつが悪魔だというのは妄想かもしくは何かのイタズラだろう。
僕の家をどうやって知りどうやって来たのかは不明だがそれだけは確かだろう。
「嘘だな」
「何故そう思う?」
「悪魔なんて非科学的な物が存在するわけが無いというごく一般的な考えの元だよ」
「クククク、科学か・・・・じゃあ、そのお前の言う非科学的な物を見せてやろう」
彼はそう言うと僕にテレビを持ってこいと言ってきた。
僕の家にテレビは一台しかなくしかも下の階にあるので僕は自分の携帯のワンセグを使って見せてやった。
「ふむ、随分と画像が荒いな・・・」
「仕方が無いだろう携帯なんだから。通報されないだけありがたいと思いなよ」
僕がそう言うと彼はやれやれ仕方が無いなとでも言いたげに肩を竦めて溜息をついた。
ワンセグに繋ぐと出てきた番組はニュース番組だった。
女性のアナウンサーが色々な事件の情報を語っている。
彼はそれを見ると・・・・・
「では行くぞ、今からお前の常識を【破壊】してやる。」
そう言って彼は右手を携帯の画面の中に差し込んだ。
そうすると彼の右手はまるで底なし沼に嵌ったかの様に携帯の中をズブズブと侵入していった。
しかし、少しすると妙な事に気がついた。
彼の右手は手首のところまで入っている、それなのに携帯の裏から出てこない。
まるで、右手だけ異世界に行ってしまったかのように・・・。
「ふう、もういいか」
彼は右手を携帯の画面から引き抜くとニヤリと笑った。
そして、僕は驚愕した。
いや、手が携帯の中に入った事に驚いたわけじゃない、僕が驚いたのはさっきまでテレビの中でにこやかに笑顔を振りまいてた女子アナウンサーの顔が見事に潰れて大量の血液が飛び出ていたからだ・・・そしてその女子アナ無残に拉げた顔には人の手の跡の様な物がくっきりとめり込んでいた。
そして、僕が驚愕しているのを見て彼こと悪魔は自慢げに言うのだった。
「どうだ、非科学的だろう」 と・・・・・・・・・