3話 悪魔
「・・・・ん」
太陽の黄色い光が差し込んできてそれで僕は目を覚ました。
目覚ましが鳴っていない事から時間はまだ午前6時前という事が解る。
それにしても、随分と空腹だ・・何故だ。
そうか、昨日チャットをやった後そのまま寝てしまったのか・・・・。
昨日のチャットの奴は何だったんだ。
そんな事を考えながら僕は制服に着替える。
僕が通っている学校の制服は少し変わっていて、とても暗い色をしている。
黒いブレザーとネクタイ、ズボンに灰色のYシャツ・・・夜中に車に轢かれそうだ。
そんな事を考えながら黒いブレザーに腕を通していると上から声が聞こえた。
「おい、そこの人間。」
あわてて上を向くとそこには僕の制服にも劣らないような真っ黒なスーツを着ている人がいた。
顔はとても整っていて普通のアイドルなら裸足で逃げ出すだろう。
しかし、彼が自分の体の周りから醸し出している雰囲気はとてもこの世の物とは思えない程恐ろしかった。
「お、お前は誰だ!?」
驚きながらも必死に喋ろうとしている僕の姿が滑稽だったのだろうか、彼はニヤリと笑うとさっきまでへばりついていた天井を離れ僕のベットに腰を落ち着け僕に話しかけてきた。
「我輩が誰か?全く冷たい物だな昨日行くと散々話していただろう・・・」
「昨日?」
「ふむ・・あれは確かチャットと言うのだったな・・」
「もしかして、昨日のチャットの奴がお前なのか・・・・・・」
僕は愕然とした、あのやり取りは完璧に相手側の冗談と思っていたから本当に自宅まで来るとは想像もしなかった。
「人間ごときが我輩をお前と呼ぶとはな・・」
「お前だって人間だろう?」
「いいや、違うな」
「じゃあ、何だって言うんだ。死神か?」
「ふむ、惜しいな。」
「惜しい?」
「我輩は・・・」
彼は面白い悪戯を思いついた子供の様な悪い笑顔を浮かべると言った。
「悪魔だ」