2話 遭遇
よろしく
僕は昔から虐められやすかった。
その原因が、僕の捻くれた性格と普通の男子より整った容姿にあるという事は自覚している。
だから僕に友達という存在ができた事は一度も無いし欲しいと思ったことも無い。
こんな退屈な世界で満足している奴等なんていない方がいい。
そして、そんな事を考えている内に自宅に着く。
これも、いつも通りだ。
僕はドアを開け家の中に入るが誰もいない。
両親は共働きで忙しく妹は部活だ。
僕は学校の鞄を持ったまま階段を昇り自分の部屋に入る。
自分で言うのも何だが僕の部屋はとてもシンプルだ。
窓際にベットが1つと左端に机とパソコンそれが全てだ。
僕は自分の椅子に座ると小さな溜息をつく。
「ふぅ」
退屈で仕方が無いので仕方なく学校の宿題をやる。
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カリカリカリカリ・・・・・・・
さっきまで五月蝿く鳴っていた鉛筆の音が止む。
学校の宿題が終わったのだ。
僕は教科書を丁寧に鞄の中に押し込むと目の前にあるパソコンの電源を入れる。
殆どの娯楽に興味を示した事が無い僕だが唯一の楽しみがこれ、殺人サイト観賞だ。
特に好きなのが【虐殺クラブ】という皆が自分の考えた殺人方法を書き込むサイトだ。
一日に100人位来ている事から結構な人気がある事が伺える。
だが、今日はいつもと違った。
いや、【虐殺クラブ】がいつもと違うというわけじゃない。
【虐殺クラブ】の下に新しいサイトができていたのだ。
題名は【悪】という実に簡潔な物だった。
僕は何故か解らないがそれに強く挽かれた。
気になってそれをクリックしてみると出てきたのは【名前入力】という血で書いたかの様な真っ赤な字だった。
僕は良いあだ名が思いつかなかったので【幽一】と入力する。
そうすると真っ黒なチャット場が出てきた。
幾ら待っても文字が出てこないので僕は【誰か居ないのか?】と入力した。
そうするとそれから数秒後にまた真っ赤な字で【汝何を欲す】と出てきた。
チャット内
【汝何を欲す?】
【僕?僕は力が欲しい。何でも壊す強大な力が。】
【本当に欲しいか?】
【ああ】
【覚悟は有るか?全てを捨てる覚悟が。】
【当然だ。】
【了承した。ならば明日そちらに行く待っていろ】
ブツンッ
そして、チャットは切れた。
なんだ今のは?
僕は多大な疑問を感じながらそれ以上考えようとしなかった。
それは恐らく僕が、あの電子世界での短いやり取りの中で奴に少なからず恐怖心を抱いたからだろう。
その時、僕はまだ知らなかったあのチャットという電子世界での偶然の出会いが自分の・・世界の日常を跡形も無く壊すものに成ろうとは・・・・・・・・・・・・