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せつない恋の思い出  作者: オレンジタイフーン


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1/1

せつない恋の思い出

 

私の心に刻み込まれた過去の傷痕を赤裸々に告白しようと思う。

 

 

それは…私が、小学4年生の時の事だった。

 

 

私には…とっても大好きな子がいた。

 

それは…私にとって本当の意味での初恋だったのかも知れない。

 

その好きになった子は、同じクラスのユリちゃん〔仮名〕と言う名前だった。

 

ある時から、彼女はイジメにあっていたのであった。 

 

その理不尽な理由は、特に無かった。

 

強いて挙げるのならば、物静かで口数少なく、おとなしい性格が不幸にも、からかいやイジメを増長させたのかも知れない。


何日か同じ服で登校したことがあり、それをクサイとか言い出したクラスメイトのせいかも知れない。

 

無鉄砲な正義感からなのか…


彼女を想う一途な気持ちからなのか…


私は…彼女を《助けたい!守りたい!》って思いながら…


彼女を囲む、イジメの輪の中へ…


無意識のうちに大声で叫んでいたのだった!

 

「やめろォォォッ!!

 

おまえらに、ユリをイジメる資格なんてあるのかよ!

 

ユリをイジメるヤツらは、俺が、許さないからな!」 

 

大して、親しくも無い彼女を守りたい一心で後先を考えずに行動していた私だった。


両手を広げて彼女の盾になろうとして必死になっていた。

 

160センチという大きな身体の小学生だったので…


ケンカはしたくなかったのか、すぐに、そいつらは逃げていった。


「あ、あの…ありがとう…」


「大丈夫、オレ、柔道やってるから…」

 

なんか意味のわからない返しをしてたような気がする。



その事がキッカケで、彼女へのイジメは、呆気なく終わりを告げ、私も彼女と親しくなっていったのだった。

 

 

私は、何かが有るたびに、小学生にしては、珍しいくらいにユリちゃんと会話していたのだった。

 

 

何故なら、私も彼女も友達が少なかったから。

 

 

話す内容など、たわいもない有りふれたモノ。 

 

時折見せる、はにかんだ笑顔が見たくて、私は冗談を言っては笑わせてみたりもしていた。


読書が好きで一緒に図書室にも通った。


 

しかし、平穏で、心穏やかに、安息な日々など、そうそう長くは続かないモノなのである。

 

今度は、明らかに、仕返し的なイジメが…

 

私に対しての執拗なイジメが始まったのである。

 

 

私に対して直接、暴力で、かかってくるヤツはいなかった。

 

 

例えば、仮にいたとしても叩きのめしていたからである。

 

しかし、いつしか、学年全部〔4クラスの100人くらい〕でイジメの為だけの徒党を組む様になったのだった。

 

 

現実には、いくら強くても漫画の主人公みたいにはいかないのである、体力には限界があるのだから暴力以外のイジメは、甘んじて受け入れる事にした。

 

きっと、それを甘んじて受け入れなければ、拒絶すれば、大好きな大切なユリちゃんに危害を加えようしていたのは明白だったから。 

 


中学になっても陰険なクラス単位での無視やシカトや幼稚な暴言や陰口等の愚行は続いたが、気にしなかった相手にしなかった。

 

 

私には、いつも笑顔で微笑んでくれる大好きなユリちゃんが、いるから大丈夫だった。

 

大丈夫なハズだった。

 

しかし、不幸は皮肉にも連鎖するモノだった。

 

今度は…ようやく出来たユリちゃんの友達が生け贄にされたのだった。


中学の図書委員どうしの友達。


彼女の知らない本の話をしてくれる友達。


とびっきりの笑顔で報告してくれたのに…

 


彼女は私に嬉しそうな表情で、こう話していた。

 

給食などで席を繋げて、食べたり、女の子同士の話などが出来たこと。 

 

せっかく、出来た友達がイジメのターゲットに絶好の標的にされたのだった。 

 

徒党を組んでヤツらは、こう言って脅迫してきたそうだ!

 

 

その内容を短く要約すると「友達をイジメられたくなかったら、私に会うな!絶交しろ!」だそうだ。

 


私は放課後、彼女に伝えたい事が有るからと体育館の裏にある花壇に呼び出された。

 

 

普段から、おとなしく小さな声で、ポソポソと話す気が弱い感じの彼女が、涙を蓄めて震えながら、さらに小さな声で私に話した。

 

 

それが彼女に導き出せる精一杯の言葉だった。

 

 

夕暮れに煌めく、花壇の幾つもの花々が余計に残酷だった気がする。

 

 

彼女の何時に無く、凛とした声が哀しかった。

 

 

「ごめんなさい。

 

あなたに会うな…って言われたの。

 

もう…イジメられたくないの。

 

ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」 

 

心の中で思っている事の半分も言えないうちに、彼女は、私の前で、さめざめと泣き崩れた!

 

 

そんな事、言いたくなかった、彼女は懺悔にも似た苦痛に満ちた涙で濡れていた。

 

 

当時はアイツら全部と戦ってまもってやるからと言えなかった私。

 

 

私は、自分の、不甲斐なさを噛み締めていたのだった。

 

 

だけれど、そんな表情を少しも見せずに精一杯、強がりながら、私は、ニコリと微笑んで、こう言ったのだった、しかし、こんな惨めな言葉しか出てこなかった。

 

「だ、大丈夫だよ!

 

ユリちゃんが、泣くのは見たくないから…

 

俺が、アイツらからイジメられる盾になってあげるから、だから、学校にいる時には、無視して良いから。 


話さなくても、良いからさ。」

 

 

しばらくの間は、母親同士が友達だった事も有り、学校以外でも、チョクチョク会って、たわいもない話や子供らしい遊びに華を咲かせていたりもしたが、誰かに、密かに尾行されていたらしく、再び、同じように脅されてからは、本当に会えなくなってしまったのだった。

 

 

イジメの詳細〔かなり、幼稚で、ヘドが出る様な事〕を書けば、キリが、無いので敢えて止めておくが、中学時代の先生に言われて痛烈にショックだった事がある。

 

 

今でもトラウマで、多少の対人恐怖症的なトコロは残る。

 

 

自分のイジメは、なんとか我慢できたが、大好きなユリちゃんの死にたいとまで追い詰めた悲しみと生きることの不安からの痛切な涙を目の当たりにした時には、我慢できずに、担任の先生に訴えたのだったが、先生の返答は、こうだった。


 

「ハァ~、何をふざけた事を言ってるんだ!

 

そんなのオレの知ったこっちゃないね。

 

オマエや誰かが、イジメられようが、オマエの責任だろ!知らねぇよ!面倒臭せぇ!」

 

あきれた、呆れ返った!

 


それから卒業まで、学校中から先生を含めて無視され、イジメられ続けた。 

 

どうしてだろう、何故なのだろうか、彼女への淡い恋心も、いつしか、消えていた。

 

閉じ込めただけかも知れない、幾重にも鍵をかけて。 

 


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