魔法と科学 ②
さらに、サクラは自らの知識を活かし、魔法を使った新しい農業システムの開発に乗り出した。彼女は魔法を使って土壌改良し、作物に必要なエネルギーを供給するための魔法炉を設計した。この炉は、エーテルを集めて高効率なエネルギー源を生み出し、それを農作物の成長を助けるために利用するものだった。
「これなら、作物に必要な栄養素を効率的に供給できるわ」。サクラはその魔法炉を完成させると、カインに見せた。「しかも、これを使えば、農業に必要な労働力の削減にも繋がるの」
カインは目を見張った。「これはすごい!こんな技術、今まで誰も考えたことがなかった」
サクラは、魔法の力を活かしながらも、現代科学の知識を使って実際に効果的な農業システムを構築した。これにより、作物の成長速度は飛躍的に向上し、収穫量も大幅に増えた。彼女の発明は、あっという間に周囲の注目を集め、農業改革に一石を投じることになった。
「これで、飢餓の問題が解決できるかもしれない」。サクラはその成果に手ごたえを感じながら、胸の中で確信を深めていった。
次に、サクラはエネルギー問題にも取り組むことにした。異世界では、魔法によるエネルギー供給が行われていたが、まだその効率性には限界があった。サクラは、エーテルを使った新しいエネルギー源を開発し、魔法と現代科学の力を融合させた発電システムを作り上げることを決めた。
そのシステムは、エーテルを集めてそれをエネルギーに変換するもので、従来の魔法発電よりも遥かに効率的だった。サクラはその発電システムを試験運転してみた。数分後、装置は安定して稼働を始め、周囲の街灯が次々に灯り始めた。
「これは…本当にできた!」サクラは目を輝かせながら、システムの成功に歓喜の声を上げた。
カインも驚きの表情を浮かべながら言った。「こんなに効率的な魔法発電は、誰も考えたことがなかった。君の発明が、世界を変えるかもしれない」
サクラはその言葉を深く受け止めながらも、次の課題を心に決めていた。それは、この新しい技術をどのように社会に広め、どのようにしてこの世界の人々の生活を改善するかということだった。
そして、彼女はさらに踏み込み、教育改革を思い立つ。この世界には、魔法に特化した教育しか存在せず、一般的な学問を学ぶ機会がほとんどなかった。サクラは、魔法と科学を融合させた新しい教育システムを導入する必要があると考えた。
「はたしてこんなもので社会が変わるのか」。民主化リーダーだったリーザは当初、サクラの新しいアイデアに懐疑的だった。庶民の出の彼女は、貴族に虐げられた経験から改革に強い信念を持っていたが、サクラが提案する農業改革やエネルギー開発が本当に実現可能なのか疑問を抱いていた。
しかし、サクラと共に学んでいくうちに、リーザは次第にその考え方を受け入れるようになる。「この改革が実現すれば、世界を変えられる」。リーザはしばしばそう思いながら、新しい技術を実践し始めた。農業の生産性を上げ、貧困層の生活を改善する方法が次々と生まれていった。リーザのリーダーシップの下、庶民たちも自ら学び、改革の一翼を担うようになった。