年末になっても
日記みたいなものです。
軽く読んでもらえたらうれしいです。
【22:25】
時間的に深夜でもない。それでも人通りの途絶えた国道沿いのマンションの前でお客を降ろして、悩んでいるところだ。
「【22:25】か、もう最終バスもでてるか。」
首都圏とはいえ、ターミナル駅の近くか、チェーン店位しか店もやっていない。
「もう上がるか?」独り言を言ってしまう時点でオジサンなのはわかってしまうだろう。
個人タクシードライバー、53歳。
だいたい夕方からターミナル駅で客待ちして、東京からの最終電車が着く24:30位まで仕事をして帰るのが、日常だ。
最終バスはターミナル駅から北、東、南の方面に向かうバスの中で東方面に出ているバスのことだ。全ての路線でバスは23時頃にはなくなる。
そこからが稼ぎどきではあるんだが、なんとなく気がのらなかった。
帰宅する前に夜食でもとコンビニを目指して発進して少したって電話が鳴った。
「先輩、もう上がります?」
電話してきてのは地元の後輩だった。15も年が違うのだけど、地域の過疎化で自治会やら消防団やらいつも一緒に行動するので、なんとなく行動が読まれてる気がする。
「また、残業か?会社でいいのか?」
「あざっす、コンビニで待ちます!」
軽いけど慣れたやりとりをしつつ、向かい始める。
ヤツの会社は駅の反対側で10分ほどのところにあるスーパーだ。
県内に20店舗をかぞえるスーパーの本社兼新商品の開発をしているところだ。
まぁ、頑張ってる後輩だし、帰りだからいいんだけどね。
10分ほど走り、ついたコンビニの駐車場でレジ袋を下げてまっていた。
「いつも、すみません!」といいつつ、俺が吸ってるタバコを2つ差し出してきた。
回送で帰るので料金を取るつもりはないが後輩の気遣いなのでありがたくちょうだいする。
「年末ぽくないですよね、イルミネーションとかやり始めましたけど、」
「そうなんだよ!人がいなくてさ、何かさびしいよな。」
12月になっても景気って何?ってくらい売り上げが伸びないし、人通りもまばらだ。
もう23時を過ぎたら道路にも車はまばらであっという間に着いてしまう。信号の関係もあるけ30分くらいで最寄りの東方面に向かうバスのバス停に着いた。
「いつも、ありがたく!またお願いします!」
後輩はここからなら3分もあればつく。
俺はここから更に5分ほどでつく。
操車場まで、更に20分くらい。
最終バスもいったことだし、ここで簡単に日報を書いてしまおうと、室内灯をつけようと顔を上げたとき、更に下りを賃走してくる個人タクシーがいた。
頑張ってんなぁって感じでいたら、うちの組合の理事長のタクシーだった。もう80近いはずなのに元気なもんだよ。
さて、日報つけてあがろうかな。
地理的なこと、法令的な事など、厳密に取らないでください。
日常、ありがちな事を題材にしております。