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存在しないあなたへ

掲載日:2024/01/17

 あなたが生まれてからこの方

 

 私はあなたと"共に"おりました

 

 というのは、私はあなただからです

 

 それにしても私が後悔している事があります

 

 あなたをこの世に存在する存在にさせられてあげなかった事です

 

 この件については本当に申し訳なかった思います

 

 本当に申し訳ありませんでした(謝る)

 

 とはいえ、あなた自身もお気づきでしょうが

 

 仮にあなたがこの世に"存在"していたら

 

 あなたはきっとすぐに自殺していたでしょう

 

 あなたがこの世に自明の存在として

 

 人々が求めるような存在になっていたら

 

 あなたはすぐに自らを殺害していたでしょう

 

 ですから、私がとれたのは次善の手段でしかありませんでした

 

 すなわち、あなたを"不在"のままに置く事です

 

 それによってあなたは生き長らえた

 

 同時に、それによってあなたは"透明"になりました

 

 今になってみるとそれが良かったのか、悪かったのか

 

 どちらなのか、私にはわかりません

 

 存在しない"ゼロ"の人々が集塊になり

 

 それによって彼らの存在だけが存在しているように見せるというトリック

 

 この世界においてはどうやらそれだけが存在しているようです

 

 そんな人々をあなたが時々羨ましげに見ていたのを

 

 私は知っています

 

 とはいえ、あなたもご存知の通り

 

 あなたはあの人達の一部になるやいなや

 

 やっぱりすぐにでも自らを殺害したでしょう

 

 私は一体どうすればよかったのでしょうか?

 

 …きっと、どうする事もできなかったのだと思います

 

 あなたは存在しないという形において生き延び

 

 それを"存在"だと思おうとしていますが、それはやはり存在ではありません

 

 あなたがどう考えようとあなたはあなただし

 

 あなたはやっぱり世界の"無"である事は変わりません

 

 私達に最後に残されたのはただ祈る事だけです

 

 いつか祈りが遠い天に届いて

 

 あなたの非ー存在と人々の(非ー)存在が共に

 

 どこか違う世界に昇華されるのを願って

 

 ただ日々、祈る他ない

 

 そんな風に私には思われるのです

 

 

  (…それにしても密やかに聞こえるあの"声"は何だろう?…)

  

  (…人々と違うあの"声"は何だろう?…)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 純文学みたいな詩ですね。 [一言] エッセイ、読んでいます…たまにですが。
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