幼女の好物
アンナ嬢!評価とブックマーク登録がありましたぜ!
「それは一体何なんだ?」
……何なんですかね?
「自分の利用している機能を、理解していないのはどうなんだ」
手厳しい……
(ちゃんと調べました。評価&登録、ありがとうございます(*´ω`*))
騎士団勤めのフロイトの父と、騎士学校に通うフロイトの兄が、彼らの家に帰って来た。
彼らの仕度が調うのを待ち、五人でアンナの家である定食屋【ワンコの垂れ耳亭】へと向かう。
騎士団のお膝元であるこの辺りは、王都の中でも特に治安がいい。
しかし、私が一人でも帰れる事と、彼らが私の心配をする事、ついでに彼ら家族の夕食事情は、全くの別問題らしい。
フロイト達家族はいつもの様に、テーブル席でそれぞれに好きなものを注文している。
私もいつも通り、カウンター席の一番端で夕飯をとる。
我が家が家族で同じ食卓を囲むのは、朝食のみである。
意外かもしれないが、私は両親が働いている所を見ながら食べる昼食や夕食が好きだ。
口数少なく真剣に料理を作る父の姿も、その料理をそれぞれに提供しつつ店全体を見守っている母の姿も、月並みの言い方であるが格好いいのだ。
私は食べ終わったが、フロイト達家族は会話が弾んでいるのか、まだ食事は続いているようだ。
少々手持ち無沙汰なので、今日彼に教わった事の実践をしてみようと思う。
具体的には、母さまに手伝えることがないか聞いてみるのである。
思い返せば私は、両親には特に何も言わず、勝手に行動していた。
おそらく、これが良くなかったのだろう。
「可愛い」というものがどう関係するのかは、結局考えても分からなかったが……。
ひとまず、混雑のピークが過ぎ、一息ついている母さまの服の裾を少しだけ引っ張った。
「私も、何か手伝える事はあるだろうか……?」
母さまの目を見ると、驚きの色が浮かぶ。
こんな事はこれまで言わなかったのだから当然だろう。
母さまは少し考え、一枚のトレイを渡してくれた。
「これをフロイトくん達のテーブルまで運んでくれる?『今日のお礼です』って」
載せられていたのは、焼きたてのアップルパイ。勿論、父さまお手製である。
適度に酸味を残して砂糖煮された林檎と程よい甘さのカスタードクリームを、サクサクなパイが包む、【ワンコの垂れ耳亭】お勧めの一つだ。
私も大好きなこの一品を、彼らは丸々一ホール頂けるらしい。何とも羨ましい限りだ。
不意に頭に心地よい負荷が加わる。母さまの手のひらだ。
「心配しなくても、アンナちゃんの分も、ちゃんと用意してるからね」
フロイトにも言われたが、私の顔はそんなに分かりやすく感情が出ているのだろうか。
アンナマリアだった頃は、そうでもなかったと思うのだが……。
しかし、こればかりは仕方ない。
アンナマリアの頃から、私は甘味には目がないのである。
「行ってきます」
いつもより声が少し弾んでいるのを自覚しつつ、私はアップルパイを載せたトレイを運んだ――。
◇◆◇
「――失礼」
家族全員がほとんど食べ終わったくらいに、アイツがやってきた。
「今日のお礼だそうだ。私も色々参考になった。ありがとう」
母ちゃんが受けとって、テーブルの上においたのは、アイツのおじさんが作ったアップルパイ。
たしか、ここのオススメの1つだって、アイツが言ってた気がする。
オレはだいたい、デザートにプリンをもらってるから食べたことない。
母ちゃんも、家でぜったい作らないしな。
「またいつでも遊びにおいで」
「是非」
ペコッとあたまを下げてから、アイツはおばさんの所にもどっていった。
あっちはあっちで、アップルパイを食ってるらしい。
みた感じ、アイツの所もフツーの家族っぽいけど、けっきょくアイツは何をなやんでたんだ?
まぁ、「参考になった」とか言ってたし、たぶん大丈夫なんだと思う。
サルでゴリラで、たぶんオレよりもむずかしい事を知ってるアイツだけど、まぁ、これからもオレがメンドーをみてやろうとおもう。
「――はい、切れたよ」
もらったアップルパイはおいしくて、それからはデザートに、プリンとアップルパイを交代にたのむようになった――。
「アンナちゃんが!アンナちゃんの上目遣いが超絶カワイイ!!もう天使!!!!」
……落ち着け、アンナママ(´-ω-`)




