幼女の兄貴分
この部分をアンナ目線で書こうとして撃沈したため、フロイト目線で書いてみました。
――が、思ってたより口が回る奴でして、私のタイピング技術では、ほぼ二日かかりました…(´-ω-`)
自分は友達が多い方だ、とフロイトは思っている。
そもそも、この辺は騎士の人達と家族が暮らす場所だ。
両親とも騎士で、仕事の都合で家が子供だけになる時、ソイツらがその間、うちに泊まりに来る事もある。
少なくとも、うちは母ちゃんが家にいるから。
この辺のやつらが集まると、男子も女子も騎士ごっこみたいな動き回る遊びが多くて、その中でもオレは強い方だ。
そんなオレでも、手も足もでないヤツがいる。
「――という訳なんだが、一般的な家族の日常とはどういうものなんだ?ロイ」
コイツだ。
オレの家族もよく食べに行く、近くの定食屋の子供で、オレよりも2歳下の女子だ。
年下なのに、オモチャの剣をもって向かい合えば、オレの攻撃はサルみたいに動いてよけるし、打ち合えばゴリラみたいな力を出す。
……本当に女なんだろうか。
それに、むずかしい話し方はするし、時々考えてることも意味が分かんねぇ。
「イッパンテキナカゾクノニチジョー」ってなんだ。
アイツが何考えてるかはナゾだけど、ようはオレがいつもどう過ごしてるか気になるらしい。
だったら見せた方が早いと思って、オレはコイツを昼メシに誘った。
◇◆◇
「――はい、じゃあ手伝っとくれ」
「えー……」
アイツのおばさんと別れて家に帰ってきてすぐ、母ちゃんがオレに言ってきた。
当然、オレは動かない。だって面倒くさい。
なのに――
「――オイ!どこ行くんだよ!?」
「どこも何も、手伝ってくれと……」
コイツは「当たり前です」って顔で、キッチンに行こうとする。
「オマエに言ってねぇよ!母ちゃんはオレに言ったんだ!!」
「よく分かってるじゃないか。さ、持ってって」
……しまった!
オレはしぶしぶ、母ちゃんから皿を受けとる。
朝、公園に行くまえ、母ちゃんが昼メシをある程度準備してたおかげで、あんまりする事がない分、助かった。
――と、少し目をはなしたスキに、アイツは母ちゃんの所に行っていた。
「……私も何か手伝えないだろうか?」
母ちゃんの服を引っ張る。
いや、何でだよ。オマエ、「オキャクサマ」だろーが。座ってろよ。
けっきょくアイツは、母ちゃんからスプーンとフォークを渡されて、それを並べていた。
◇◆◇
「――ご馳走さまでした」
「はいよ。お宅の料理には負けるけどね」
……なんて言ってるけど、母ちゃんの料理もけっこううまい。
ただ、料理の種類は多くないけど。
うちがアイツの家の店に食べに行くのは、だいたい母ちゃんが晩メシのメニューで悩んだときだ。
「……ってオイ!どこ行くんだよ!?」
ちょっと前にもおんなじ事を言った気がする。
でも、アイツがまた勝手に動こうとするから、しかたない。
「食器を下げて洗おうかと……」
「オレでもやったことない!」
「アンタはそろそろ、下げるくらいしてほしいけどね」
「うっ……」
なぜか、母ちゃんの小言を聞くはめになってしまった。
「……あぁ、もう!」
オレはアイツの分もまとめて、食器をキッチンに持っていった。
◇◆◇
今日の晩メシは、アイツを送っていくついでに、アイツの家の店で食べることになった。
あの後、けっこう大変だった。
かくれんぼをすれば、屋根の上に上るし、おやつのホットケーキ作りでは卵を砕く。
何で殻にヒビいれようとして、卵が粉々になるんだよ。
まぁ、サルでゴリラなのは今さらだ。
一番問題なのは、自分のできることは自分一人でやってしまうことだ。
これだけ言えば良いことっぽいけど、コイツのはちょっと……こわい。
コイツは考えてることは分かりにくいけど、感情は以外と分かりやすい。
むずかしい事を考えてるときは、まゆ毛とまゆ毛の間にシワができるし、楽しそうなときは口のはじっこが上がる。
その「楽しそうなとき」は、オモチャの剣でオレをボコボコにしてるときだったりする。……ムカつく。
で、コイツが手伝いとかやってるときの顔は――何にもない。
女子によくある「いい子ぶってー」とか「お姉さんぶってー」みたいな、ほめられたいワケじゃないっぽい。
逆にオレや母ちゃんが、アイツの事で何かすると、「反省してます」みたいな顔をする。いや、何でだ。
「オマエ、ここはオレんちだけどさ、気ぃつかわなくていいんだぞ」
「……?私はいつも通りだぞ」
……マジか。
いやたしかに、意識して気ぃつかえるヤツが、屋根に上ったりはしないか。
じゃあ、本当にいつも通りなのか?
「私は気を遣っているように見えるのか?」
いや、つかってるだろ。
いつも通りってことは、自分の家でもおばさん達に何かしてもらったときに、「反省してます」みたいな顔してるってことだろ。
ついでに、ほめてもらっても「当然です」ってかんじの無表情なんだろう。
「私はそんなに顔に出るのか……」
思ったことをそのまま言ったら、しゃがんで頭を抱え込んでしまった。
……いや、気づけよ。今なんか体全体で感情表してるぞ。
「とりあえず、何かしてもらったら『ありがとう』な」
「……ちゃんと言ってるぞ」
「顔が言ってないんだよ!」
ほっぺを引っ張って、アイツの口のはしをあげてやる。
どうせ「メーワクかけた」とか考えてるんだろうけど、こっちとしては笑ってほしいもんだ。
「あと、手伝いとかするなら、母ちゃんにやってたみたいに許可とれ。『かわいかった』ってさ」
うちは、父ちゃん・兄ちゃん・オレと、母ちゃん以外が全員男だから、今日みたいに女子が家にくると、ちょっと母ちゃんの機嫌がよくなる。
「……分かった」
とか言てるけど、まゆ毛とまゆ毛の間にシワができている。
どうせまたワケ分かんないことを、コイツは難しく考えているんだろう――。
アンナちゃんのチートが、小出しに且つ地味に発揮されてると感じる今日この頃……(´・ω・`)
「基本的に、派手に動き回れるようになるのは、【恩寵】を賜ってからだからな」
つまり10歳か……。
それ三章予定なんですが、それまでに飽きられないか心配っす( ノД`)
「それは、そちらの手腕にかかっているのだろう」
手厳しい……