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戦乙女の帰還  作者: 鷺草
乙女の家族事情
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幼女は人間関係で悩む


赤子から一気に(?)成長しています。

赤子アンナちゃんは、前話から今話まで、どの様に過ごしてたんですか?


「寝て食べて寝てたな」


……でしょうね。(何で聞いちゃったんだろ……)





少し、私がアンナマリアだった頃の話をしようと思う。


赤子だったアンナマリアは、教会の前に捨て置かれていたらしい。

物心ついた頃には、同じように身寄りのない子供達と教会で暮らしていた。

教会では、三歳頃から徐々に身の回りの事を学び、神の力の一部を賜る【恩寵の儀】が行われる十歳になる頃には、独り立ちできるまでに育てられる。

アンナマリアも十歳で【戦の女神の愛し子】という恩寵を授かり、傭兵登録をして教会から巣立った。


その他、傭兵時代や騎士としての事は、またの機会に話すとして、何が言いたいのかというと――


――私は"親子"という人間関係の距離感を掴みかねていた。


まずは二歳前後で、ある程度言葉が話せるようになった頃。

両親の事を、父上・母上と呼んだら、二人して固まってしまった。

現在は(とう)さま・(かあ)さまと呼ぶことで妥協してもらっている。


ある程度体が思うように動かせるようになった三歳の頃、食後に自分の使った食器を洗おうとしたら、母さまに止められ、父さまと絵本を読むことになった。

接客で忙しそうだった時、店の裏庭に干してある洗濯物を取り込んでおいたら、「ありがとう」とは言ってもらえたが、その時の母さまの顔は、どこか寂しそうだったのは記憶に新しい。


私はアンナマリアだったと告げられれば、両親を心配させずに済む気がするが、中々そのタイミングが掴めない。


世間一般の家族とは、一体どのように日常を送っているものなのだろうか――。



◇◆◇



「――という訳なんだが、一般的な家族の日常とはどういうものなんだ?ロイ」

「……オマエがなに言ってんのか、分かんねー」


私達の遊び場である公園。

そこで私が相談した相手は、近所に住む二歳上の少年・フロイトだ。

彼の父親は騎士であり、よく家族揃って【ワンコの垂れ耳亭】に食べにきてくれる。


「つまり、ロイは普段、家族とどんな風に生活しているのかを聞きたい」

「いや、どんな風にって……」


余計に頭を抱えてしまったフロイト。

確かに、日常を言葉で説明するのは、少々難しい事なのかもしれない。


「……よし!」


私が謝罪の言葉を発するよりも先に、フロイトが動いた。


「今からオレんちに行くぞ!」


言葉の意味を理解出来ていない私の手を引き、フロイトは互いの母親達が談笑している所まで走り出した――。





……洗濯物取り込む三歳児って、どんなんっすか(-ω-`)


「なんかこう……頑張ったら取り込めたぞ。(皆様の想像にお任せします←)」


マジか…。ってか、子供姿でもその話し方なんですね。


「『すまない』『感謝する』『了解した』は禁止されたがな」


むしろそれ以外を許容する、ご両親の寛大さ。

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