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戦乙女の帰還  作者: 鷺草
乙女の再出発
43/44

兄貴分の後悔


チマチマ書いていく→寝落ち→起きたら編集中のページが閉じている→ぬあぁぁぁぁぁ!!!!????


……そんな挫折を乗り越えての、都合よく使われているフロイト氏のターンです。





……何で俺は今、馬車に乗ってるんだろう。


いや別に、記憶喪失とかって訳じゃない。

俺が言いたいのは、「今日は寝て過ごすつもりだったのに、何で母ちゃんが勝手に、俺の仕事を取ってきたのか」って事だ。

そりゃ俺もその場に居たから、成り行きは分かってるけど……。


俺が商人護衛の依頼をこなしてから、数日ぶりに家に帰ったら、ちょうど【遠征騎士団】に所属してる兄ちゃんも帰ってた。

父ちゃんも早めの時間に帰ってきて、ウチは久々に晩飯時に家族全員が揃った。


「折角だから【ワンコの垂れ耳亭】に食事に行こう」って話になったのが、俺の休みが狂うキッカケになるなんて、思いもしなかった。


「あらあら、いらっしゃいませー。えぇっと、お席は……」

「ワンッ!(あそこ空いてますよー)」

「あら、ありがとうございます。では、こちらのお席にどうぞー」


俺が【ワンコの垂れ耳亭】に来たのは、二週間ぶり位だったけど、新しい店員が増えていた。

綺麗な女の人とゴツい男の人だと思っていたら、男の人じゃなくて神様――しかも美の女神様――だってアイツに言われた。……マジか。


この店、神様多すぎるだろ。


大体、何で神様が接客してんだよ。

そりゃもちろん、アイツや新しい店員のリープリヒさんが店側の人間だからだろうけど、神様っていうのはこの国の王様――今は女王様――達に【恩寵】を与えてきた愛の女神様みたいに、愛し子を見守っている存在じゃないのか。


これでも実は、女王様や愛の女神様には会ったことがある。


一年ちょっと前に、俺の【恩寵】に関する謁見の場が用意されて、父ちゃんに付き添ってもらってお城に行った。

俺はこれでも、【守護神の申し子】だからな。

女王様や女神様は、昔読んでた物語に出てくる、主人公の導き役のイメージそのままだった。

「気高い」って、こういう人達に使うんだなーって、実感した。


それが俺の、神様に対する第一印象。

でもこれは、1ヶ月位前に覆された。


「はい、お待たせ。熱いから気をつけてってさ」


俺達のテーブルに料理を運んできたのは、最高神のレギリオさん。……て言っても、見た目は俺より小っさい男子だ。

初めて会った時、アイツの親戚か何かだと思ったくらいだし。


「でもってコッチが、ご注文のビールになりまぁす!それでは、ごゆっくりー」


レギリオさんに続いて、父ちゃんのビールを持ってきたのが戦の女神のクリーナさん。

レギリオさんもクリーナさんも、アイツに愛し子の【恩寵】を与えてる神様だ。

いや、何でアイツはちゃっかり二つも【恩寵】を――しかも一番強いやつを――もらってるんだよ。


「それについては、どこから話したものか……」


とか言っていたから、詳しくは聞いていない。女の話は長くなるのが普通だから。

とりあえず、アイツが二人の神様の愛し子って発覚して、色々スッキリした。


どうりで三歳の女子に、昔の俺はボッコボコにされてたわけだ。


これは地味に俺のトラウマだったりする。

でもまぁ、アイツが思ってた以上に常識はずれの力を持ってたんだから仕方ない。

むしろ、よく俺生きてたな……。


クリーナさんもレギリオさんもタメ口で話すから、俺が持っていた神様の第一印象は、もう粉々になっている。

たぶん、愛の女神様が特別だったんだ。さすが、王様達に【恩寵】を与えてきた神様。


そんな二人の神様の愛し子なアイツだけど、今日は眉間にシワが寄っている。アイツが何か考えてるサインだ。

それに気付いたのは俺だけじゃなくて母ちゃんもで、声をかけたのも母ちゃんだった。


アイツはポケットから、一枚の紙を取り出した。


書かれていたのは【ツンフト】に寄せられた依頼内容の写しで、ぶっちゃけ報酬がショボい。

これたぶん、受ける人が居なくて最終的に本部長が駆り出されるパターンになるやつだ。


「――で、これに同行してくれる人物を探している」

「はぁ!?」


まさか受ける人がいるとは思わなかった。

報酬がショボいのもあるけど、討伐依頼の場所が魔水晶の鉱山の中になっている。

何も考えずに魔法なんか使えば、暴走する危険だってある。だから、魔水晶を採るのは全部手作業だって聞いたことがある。

「鉱山の中だから魔法使わないでください」なんて言っても、魔獣が聞いてくれるワケない。


「ワンッ!」

「『失敬な!わっちはちゃんと配慮しますよ』……だそうだ」

「あ……そう」


何でかヴァイスに文句を言われた。

確かに魔獣のタグを付けてるけど、ヴァイスは魔法使えないはずだ。何をどう配慮すんだよ。


「まぁ、ヴァイスは例外でもだな、普通の魔獣は聞いてくれないだろ。しかも、こんな報酬だとほとんど儲けゼロじゃん」

「あぁ、その報酬は断ろうと思ってる」

「オイ!?」


【ツンフト】では、報酬を貰わないで依頼を行うのは禁止されている。

そんな事すれば、「あの依頼は無料だったのに……」みたいな事言われて、タダ働きの原因になりかねないからだ。

昔から俺より難しい事を色々知ってたコイツが、こんな傭兵の初歩を知らないはずがない。


「【ツンフト】が仕入れている鉱山都市ほど大規模ではないが、小さいながら魔水晶の鉱山があり、地元の工房で加工して王都で販売しているのが、この村だ」

「それで?」

「討伐完了の暁には、この工房を自由に使わせてもらえないか交渉しようと思う」

「それって、つまり……」

「平たく言ってしまえば、『オリジナルのアクセサリーを作らせてもらう』というのが報酬だ」

「はぁ!?」


そりゃ一緒に行く奴が見付からないはずだ。傭兵には女もいるけど、圧倒的に男が多い。

魔水晶使ってるから、一応は魔道具になるんだろうけど、わざわざ自分で作る意味が分からない。

小さい魔水晶のついたアクセサリーなんか、その辺でけっこう売っている。


だから俺もパス……しようと思ったのに、母ちゃんが先に口を開いた。


「じゃあ、うちのフロイト連れてけばいいよ。この子、明日は暇してるって言ってたしね」

「え゛……」


俺は暇だなんて言ってない。「明日は一日中寝る」とは言ったけど、暇だからじゃなくて疲れたからだ。

あの商人のクソジジィ、人を全方位守る盾の魔道具程度にしか見てなかった。

報酬は相場より少し多かったけど、もうあのジジィの依頼は受けねぇ。本部長にもそう言っておいた。


ジジィにムカついてる間に、俺が着いて行く方に話が流れ始めていた。


「いや、俺も行かないからな。……その目、気持ち悪いからやめ――いてぇっ!」


隣から、母ちゃんのゲンコツが落ちてきた。

何か企んでる感じの目が、本当に気持ち悪かったんだから、しょうがないだろ。


アイツもアイツで、クリーナさんと「難しい戦法」とか「首を鷲掴み」とか話してるから、たぶん何かの思惑アリだったんだろうし。

つーか、絶対するなよ。俺は首を死ぬ気で守るからな。


でもそのせいか、俺の家族がアイツの味方になってしまっている。

「か弱い女の子一人で行かせる訳には」って兄ちゃんや父ちゃんは言うけど、二人の神様の愛し子のアイツが、か弱いわけがない。


たぶん俺は今、【ツンフト】の本部長と同じ境遇に立たされている。

この状況で本部長は断ったのか。凄いな。


俺は……無理だった。


「……俺の取り分は?アクセサリー作りとか、興味ないんだけど」


自分でも、声が不機嫌なのが分かる。だって俺の休日プランが台無しだからな。


「クラノートフロッシュの素材一式――と言っても、外殻だけだが。本部長殿に確認したところ、大きさにもよるが状態が良いものだと、元の報酬の二倍程で卸せるそうだ」


コイツはすでに、良い状態で外殻を手にする気でいる。

まぁ確かに、前に一緒に依頼で行った時に倒してたシャーフベーアも、生きてる内に毛を刈り取ってたらしいし。

肉だって、余計な傷が無かった上にきっちり部位ごとに解体されてるって、卸したお店の【ボブ尻尾のキジ猫亭】の人も喜んでたし、素材を綺麗に残して魔獣を殺すのは、コイツの得意分野なんだと思う。


そんだけ器用なのに、何で料理はあんなに下手なんだろう。

この話は、アイツには禁句だから聞かないけど。


まぁ、素材全部くれるって言うなら、一緒に行ってやっても良いかもしれない。

それに、昔決めたしな。コイツの面倒を見てやるって。


「……分かった、行くよ」

「本当か!?」


俺が承諾したら、アイツは急いで厨房の方に戻って行った。

おばさんを連れて戻ってきたと思ったら、そのおばさんにお礼と「アンナちゃんをよろしくね」って言われた。


たぶん、コイツ一人で十分な気がするけど……。


◇◆◇


――そんなこんなで受けた依頼の村は、本当に小さい村だった。

鉱山が無かったら、この村自体無かっただろうな。

今夜の宿になる村長さんの家で、アイツは報酬の交渉をした。


もちろん変更は大歓迎されて、討伐が終われば【大きな熊のニャン工房】を貸してもらえる事になった。

ついでにイヤリングのパーツやらブローチのピンやら、工房に置いてあるその辺の物も、自由に使って良いらしい。

まぁ、俺は作らないから関係ないけど。


とりあえず、討伐は明日の仕事だ。

何もする事ない気がするけど、とりあえず明日に備えて寝ることにした――。





「今更だけど、この国の店の名前って変わってるよなー」


「何をおっしゃる!?うちは祖母が【大きな熊のニャンニャン】の作者で、絵本の中でニャンニャンとワンワンの熊兄弟が互いのペンダントを作るシーンの舞台となった工房ですよ!いわば聖地です!!」


「あ、そうなんですねー……(そもそも熊の名前がニャンニャンとワンワンって……)」



フロイト少年、気圧される(´ω`)


ちなみにお察しかもしれませんが、「()きな()ニャンニャン(猫の鳴き声)」はパンダ風のキャラです。

ニャンニャンはともかく、ワンワンに深い意味はありません。完全にテキトーです。

ニャンニャンの愉快な仲間達には、チュンチュン・ガーガー・メェメェ等の派生種がいます。


以上、どうでも良い裏設定でした(*´ω`*)


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