表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦乙女の帰還  作者: 鷺草
乙女の再出発
36/44

乙女はパーティーを解散する


アリさん編は終わるけど、三章まだまだ続く問題…。





「――これが、今回の依頼の成果だ」

「絞り取れるだけ取ってやった感が、エゲツねぇ……」


【ツンフト】本部長ゼルドナに、事の顛末と戦利品の報告を行う。

私達が持ち帰ったのは、ビーネン蟻の左触角が四〇二本と女王蟻の襟巻き、ビーネン蟻の蜜を入れた即席ハニーポットが五つ。

そしてシャーフベーアの毛と肉である。


「単純計算で一人百匹ほど。こんなものだろう」

「いや、コッチな」


ゼルドナが指し示したのはビーネン蟻の蜜である。この男は、何を言っているのだ。


「新人時代にビーネン蟻の討伐に行った時、同行していた某先輩殿が己の【恩寵】で、何の苦もなく蜜を集めて悦に浸っている場に居合わせてな。今回はそれを参考にしてみただけだ」

「お前、随分昔の事を根に持ちやがって……」


一般的なビーネン蟻の蜜を採取する方法は、蜜が蓄えられている壁を削って剥がし、その後巣の欠片等の不純物を取り除くのであるが、これがかなりの仕事量だ。

当時のアンナマリアもこの方法に則って地道に壁を削っていたのだが、当時Bランクの某先輩殿は、自分の持ち場の蜜のみをささっと回収し、終わればこちらを応援しつつ、ただ眺めているだけだった。

シェスターとは異なり、何の効果も無くただ呑気な声が届くだけだったので、余計に質が悪い。


「まぁ今回は場所が場所だけに、早期討伐が主な依頼内容だったから、取り敢えずお疲れさん」


今回ビーネン蟻が巣を作っていたのは、プランツェの花畑と呼ばれる、王都からの日帰りで行けると人気の観光地の外れだった。

色とりどりの花が咲き誇る季節に差し掛かり、まさにこれからがシーズンといった所で、今回の件が発覚した。

土地の管理者としては、一刻も早い解決が望ましかったのだろう。


「――で、その依頼人からビーネン蟻の蜜を卸値よりは高値で買い取るって話が来てるが、どうする?」

「断る!!」

「売るわ!」

「売ります」


私とフランメ、フロイトの三人はそれぞれ即答した。当然、買取りを拒否したのが私である

一方、シェスターは少々悩んだ様子だった。


「……ねぇねが うるなら、シェスのは とっておきます。アリさんのミツ、うまうまでした」


どうやら、私が戯れにシェスターの口に放り込んだ蜜が効いていたらしい。

姉妹共通の財布であるなら、中々に賢い判断だと思う。


フランメとフロイトの分に加え、残ったハニーポット一つも買い取ってもらい、その分は四人で分配した。

シャーフベーアの毛も【ツンフト】の提携店に卸してから四等分したが、肉は私の分だけ現物支給だ。

分配は公正を期すためにも、本部長ゼルドナに丸投げである。


以上の卸売り素材の分に加えて、元々の依頼であるビーネン蟻討伐の報酬の四分の一を受け取り、今回のパーティーは解散の運びとなった。


フランメに絡まれた時はどうなるかと思ったが、懐的にも胃袋的にも、非常に充実する結果となった。


◇◆◇


「――とゆーワケで、シャーフベーアを まえにしても、アンナさんはずっと カエルさんを にらんでる ヘビさんみたいな かおでしたよー」

「ぐぬぬ……」


ねぇねの名前なまえりてるおうちばんごはんをべながら、今日(きょー)依頼中(いらいちゅー)のアンナさんについて、ねぇねに報告(ほーこく)しています。


アンナさんはなにか、勘違かんちがいしていたがします。


たしかにシェスの【元気娘げんきむすめ】は、つかれを解消(かいしょー)させるけど、アンナさんがミツをあつめてるあいだに、みんなは結構(けっこー)休憩(きゅーけい)してました。

休憩(きゅーけい)なしのうえに、ずっとなにかの魔法マホー使つかってたのは、アンナさんだけです。

そんなにばしたら普通フツーは、元気げんき回復かいふくきません。

シェスもスゴいけど、アンナさんは異常(いじょー)だったのです。


それと、シェスはちょっとだけ、アンナさんにだまってたことがあります。


シェスたちがアンナさんを意識いしきする理由りゆう

物語ものがたり主人公しゅじんこーだからと、本当(ほんとー)にノーネさま以上(いじょー)壮大(そーだい)なのかチェックするからのほかに、もうひと理由りゆうがあります。


「――えぇい!今に見てなさい、アンナ!!このフランメが必ず、貴女に泣き目を見せてあげるわっ!そして、"落ち込んだアンナマリア様を慰める"という大役を、ノーネ様に献上するのよー!!」


ねぇねが、つくえをダァーン!ってしながらがって宣言せんげんします。


ノーネさまは、いろんなアンナマリアさまのおはなしをしてくれましたが、たまーに、ちょっとかなしそうなかおうのです。


「アンナマリア様からはお褒め頂く時や慰めて頂く時に、何度か頭を撫でて頂いたものですが、その逆は経験ありませんの。やはり覚悟を決めて頭を撫でに行けば良かったのでしょうか……いいえ!そんな大それた事!!でも……」


――と。


まよっているあいだにアンナマリアさまくなってしまったみたいですが、あのころどーすればかったのか、いまでもなやんでいます。


でも、アンナマリアさまはアンナさんとして復活ふっかつしたのです。

ノーネさまは、今度こんどこそまよってないで、おもいっきりアンナさんのあたまをナデナデしにけばーとおもうのです。


「ふっふっふー。ねぇね、がんばりましょー」

「当然よ!全てはノーネ様のためにっ!!」

「おー」


そう。シェスたちたたかいは、まだはじまったばかりなのです。

もうすぐノーネさまが、グナーデの教会きょうかいからかえってくるハズです。


シェスたちはそれまでに、アンナさんの弱点しゃくてんかならつけてやるのです。

そして、ノーネさま至福しふく時間じかんをプレゼントするのです!!キリッ!





フランメ・シェスター姉妹の戦いはこれからだ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ