元気娘は御伽話の主人公を観察する 弐
今更ながら、シェスターは自分の事をシェスと呼びます。
「面倒臭さに気を取られ、前回書き忘れたんだな?」
うん…(´-ω-`)
――コレです!コレなのです、シェスが見たかったのは!!
できたツボの中にミツを入れた後、つぎからは二手に別れてお仕事することになりました。
シェスはアンナさんとのペアなのです。
二人になると、さすがにアンナさんも剣を抜きました。
フロイトさんよりも大きな剣を、アンナさんは片手で持って、部屋へと入っていきます。
「――一匹目」
二、三歩遅れただけなのに、シェスが部屋に入ると、アンナさんはもうアリさんのアゴに剣を差し込んでいました。
剣をそのまま上に払うのといっしょに、アンナさんもジャンプします。
「二匹目」
上からアンナさんが剣を振ると、その先にいたアリさんが胸から真っ二つに。
アレは風の魔法ですね。
「三、四、五匹目」
アンナさんが着地したところの近くにいた、アリさん達の首がサヨーナラ。
あっという間なのです。さすが主人公。
こっちにもアリさんが来たので、シェスも頑張ろーと思ったのに――。
「六匹目」
……何ででしょー?
アンナさんはシェスをだっこして、横にジャンプしてるのです。
「アンナマリア様は敵を前にしている時、常に微笑んでいらっしゃいますの。それはもう、美しくて美しくて――!」
近くで見ると、ホントにノーネ様のお話通り、アンナさんのお口の端っこが、ちょっと上がっていました。
でも何で、さっきのが六匹目だったんでしょー?
さっきのアリさんを見てみると、お尻の針に、別のアリさんのお顔が刺さってます。うへぇ……。
アンナさんはほとんど一撃で、アリさん達をやっつけていきます。
シェスの出番はなかったので、倒したアリさんの数を数えるのと、触角集めの係になりました。
もちろん、ちゃんと応援もしてます。
シェスはデキル女なのです。キリッ。
◇◆◇
「――しかし、分からんな」
「なにがですかー?」
二部屋目が終わって、ねぇね達とタグでお話したあと、ミツを集めながらアンナさんが呟きました。
「なぜ貴女達姉妹は、それほど私を気にする?」
「ふっふっふー。よくぞ きーて くれたのです」
「……どこかで聞いた様な台詞だな」
むむ。シェスの完全オリジナルのセリフを、すでに聞たことがあるなんて。
アンナさんは予知能力もあるんでしょーか。
たしかにアンナさんを意識はしてますけど、それは物語の主人公だからってだけじゃないのです。
シェスとねぇねの憧れは、ノーネ様です。
ノーネ様は綺麗で優しくて、教会で暮らすみんなの人気者なのです。
それだけじゃなく、どれだけ小さくても、ケガをすれば治してくれるし、「アンナマリア様成分」が足りなくなったら、傭兵さんとして働いて、教会暮らしでは貴重なお肉をとってきてくれます。
「アンナマリア様成分」が何かは分からないけど、シェス達もノーネ様を見習って、ときどきお肉をお届けしてるのです。
そんな綺麗で強くて優しいノーネ様が認める、綺麗で強くて優しいアンナマリア様――。
「――アンナさんは、グナーデのおやま くらい、たかくておーきい そんざいじゃないと こまるのです」
「それはまた壮大な……」
シェス達にとっても、ノーネ様は壮大なお方です。
そのノーネ様が、自分よりもスゴいと言ってるのです。
ショボかったら、シェスのパンチをお見舞いしてやります。
「まぁ、ご期待に添えるよう最善は尽くそう」
「シェスだけじゃなくて、ノーネさまをガッカリさせたら、しょーちしないのです」
シュシュッとパンチのポーズをしていたら、アンナさんはシェスの頭をポンポンして、部屋から出ていきました。
そのとき、ちょっと笑ってるのが見えたのです。
シェスは本気なのに。むむぅー…。
コレも今更かもですが、ノーネさんはちょっと性格に難ありな方です。
多分、三章中にはご本人も登場しますが、いつになるやら…。
なんたって、シェスターのターンがまだ続くのですから…!((ガクブル))




