元気娘は御伽話の主人公を観察する 壱
全部ひらがなカタカナだと見にくかったので、漢字にふりがな振って、彼女っぽさをアピールしております。
そりゃぁもう、面倒臭いの何のって…(´Д`)
「大きな熊のニャンニャン」、「マッチョ界の淑女」、「青頭巾ちゃう?」――。
――この国で大人気の絵本の名前なのです。
教会にも、いろんなおとぎ話の絵本がありましたが、一番人気のお話は、絵本になっていませんでした。
「――さぁ、今日は何のお話にしましょうか」
『アンナマリアさまー!!』
「……もう!いつのアンナマリア様についてのお話にするか悩んでますのよ!!」
教会で暮らすシェスター達が一番好きなお話は、ノーネ様の語るアンナマリア様の物語でした。
ノーネ様は、小さい頃に事故でご両親とお別れしてから、シェス達と同じ様に教会で暮らすことになったそうです。
そこで出会ったのが、アンナマリア様。
全部話すのは長くて面倒だからしませんが、綺麗で強くて優しくて――他にもいろんな褒め言葉を使って語られていました。
フランメと同じ様に、シェスも傭兵さんになってから二年経ったある日。
お世話になっていた教会に、依頼で余ったお肉のおすそ分けに行ったら、ものすごくバタバタでした。
なんとビックリ!十年前に亡くなったお話のなかの主人公、アンナマリア様が復・活!!……わーぉ。
残念ながら、すでにアンナマリア様はお城に行っていて、ノーネ様はお仕事で北にあるグナーデの聖都にいてお留守。
シェス達も次の日から、遠くへお泊まりの依頼。
三人とも、アンナマリア様に会う事はできませんでした。しょぼーん……。
◇◆◇
シェス達が王都に戻ってくると、傭兵さんの間では、アンナマリア様だと思われる女の子で話題沸騰中でした。
「本部長に恫喝されても、めげずに歩み寄る健気な子」――。
さすがアンナマリア様。ノーネ様のお話通り、お優しーのです。
「――断る」
「な、何でよ!?」
……前言撤回なのです。
アンナマリア様のせいで、ねぇねが泣きそうです。
――かと思ったら、ねぇねのご機嫌がもう直ってます。
よく分からないけど、シェス達は、アンナマリア様といっしょにお仕事することになりました。
いっしょにお仕事してみると、アンナマリア様――はダメって言われたので、アンナさん――は、ノーネ様のお話以上にスゴい人でした。
「――燃えてしまいなさい!」
ねぇねは今日も敵を燃やします。アンナさんの前だから、やる気もマンマン。
何回かいっしょのパーティーでお仕事したことあるフロイトさんも、アリさんをバッサリです。
もちろんシェスだって、応援の合間にパンチパンチパンチ。
ポンポンは鈍器なのです。キリッ。
その間をふよふよと、きいろの珠がいくつも飛んでいきます。
飛んでく先には、アンナさん。
「なんですかー?」って聞いたら、珠のひとつを口に入れてくれました。
珠の正体は、アリさんの集めたミツでした。うまうま。
ミツを集めていたアンナさんは、今度はしゃがんて、ボソボソお話しています。
よくよく見てみると、何もなかった床に、お花が咲いてます。しかも動いてます!
あのお花は、シェスも知ってます。メディカスミレです。
アンナさんは、お花から葉っぱをもらって、チャチャっと回復薬を作ってました。
シェス達だって、回復薬は持ってきてますが、経費削減は大事です。傭兵さんの常識です。
ちなみにこの時、シェスもフロイトさんも、アンナさんの行動に夢中です。
がんばって戦ってるのは、ねぇねだけでしたが大丈夫。
ねぇねは強いのです。エッヘン。
この部屋のアリさん退治が終わると、ミツの珠をまとめた丸を後ろに浮かせて、アンナさんは床の一部をホリホリ……。
何だろーと思っている間に、アンナさんは土をツボの形にしてました。
フロイトさんの壁でそのツボを覆ってもらい、ねぇねに火をお願いしてました。
「……私がやるの?」
「炎の扱いは、私よりもフランメが上だ……」
「任せなさいっ!」
ねぇね、速答でした。
ミツをふよふよ集めたり、お花にお願いして回復薬を作ったり、ツボ作りにねぇね達を手伝だわせたり――。
こんな活躍、ノーネ様から聞いたことないのです。
たしかにスゴいけど、シェスが見たいのはノーネ様の物語に出てくる、主人公の活躍。……ちょっと違うのです。
お気付きでしょうが、サブタイトルに「壱」とあるんで当然続きます。
そりゃぁもう、面倒臭いの何のって!(二回目)




