乙女は傭兵登録をする
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「そんなんダメです。もっと腰入れて、本気で踊らんと伝わりませんよ!」
……さいですか(´-ω-`)
信用第一。
いかに傭兵が自由度の高い職業だとしても、最低限守らなければならない事である。
自分本意な傭兵など、それこそゴロツキと変わり無いのだから。
だから、彼が怒り心頭なのは理解出来る。
理解は出来るが――
「――頼むから、もう少し広い場所でやってくれ」
何も入口を塞がずとも良いのではないか。
私は今正しく、この建物の中に用があるのだ。
「あ?何だ、嬢ちゃん」
「ただの新規登録希望者だよ。説教は入口から離れて続けて貰えると有り難い」
「……あぁ悪ぃ。ちょっと待ってろ」
ようやく自分が何処に留まっているか、理解してくれたらしい。
男は【ツンフト】の本部から出てきて――
「ゥオラッ!!」
――そのまま掴んでいた二人を投げ飛ばしてしまった。
投げられた方角には池があったはずなので、恐らく無事だろう。
もっとも、無事でなくとも興味はないが。
「……良いのか、アレで」
「アレぐらい出来なきゃ、傭兵としてやってけねぇよ」
果たしてそうだろうか。
傭兵はアンナマリアの頃に経験済みだが、あの頃の私に出来たかどうか……。
人を投げた経験など無いので、詳細は分からないが、案外出来たのかもしれない。
「で、新規登録だったな。ついてこい、嬢ちゃん」
男に続いて中に入れてもらう。
日が傾き始めたばかりの時間帯なので、それほど人は多くはない。
それでも依頼を見繕う者や、依頼の完了報告を行っている者もいる。
更に奥の部屋から時折話し声が聞こえるし、「訓練場」という名の隣接している空き地からも、威勢の良い声と模擬刀を打ち合う音が届く。
現在でも、傭兵稼業は繁盛しているようで何よりだ。
「嬢ちゃん、読み書きは出来るか?」
「問題ない」
「楽で助かるね。じゃあ、これ読んで問題なきゃ下の所にサインしてくれ」
渡された紙に目を通す。
初めに言ったが、いかに傭兵が自由度の高い職とは言え、守らなければならない事がある。
この紙は、それを簡潔に纏めた事が記されており、一番最後には署名するスペースが用意されている。要は同意書だ。
一.自分の力量に応じた仕事を選ぶ。
一.任務中の不測の事態は自己対応。
一.それに関する報酬の交渉も自己対応。
一.でも後でちゃんと報告してくれ。
一.受けた依頼は責任もって完了させる。
一.それでも無理そうなら帰って来い。安全第二。
一.人様に迷惑は絶対かけるな。信用第一。
一.傭兵の名を落とす行動を取った奴は、池に沈める。
「……随分と砕けた文言になったな」
アンナマリアの頃にも当然、同意書にサインはしたが、この様な話し言葉では書かれてはいなかった。
おまけに、最後に一項目増えている。
これに従って、あの二人は投げ飛ばされたのか。
実際に沈められなかっただけ、良かったのかもしれない。
「内容が頭に入りやすくて、良いじゃねぇか。つーか何だその言い方。前にも傭兵登録した事あんのか?」
「ああ、まぁな」
「おいおい、二重登録は困るぞ!登録証の再発行なら別でやってやる。確認するから名前言え」
慌てた男に同意書を取り上げられてしまった。
署名は済ませていたので、特に問題はないが。
「既に死亡処理されている筈だから、問題はないだろう。あの頃は、アンナマリアの名で登録していたよ」
「アンナ、マリア……」
「戦乙女の情報は、とっくに届いてるんじゃないのか?ルドー先輩」
そう、私は彼を知っている。
この男――ゼルドナは、アンナマリアに傭兵の仕事のイロハを教え、時にはパーティーを組んで一緒に依頼をこなした人物の一人である。
今年四十五歳になる彼は、【水神の申し子】の【恩寵】を賜る現役のAランク傭兵であり、現在は【ツンフト】の本部長を兼任しているようだ。
「……ぉぉお前かぁぁぁーー!!!!」
本部長殿の絶叫は、王都の広い範囲に響き渡ったと言う――。
【よくある質問9】
A.この回で、アンナちゃんは傭兵登録出来たんでしょうか。
Q.アンナちゃんのサインが入った同意書を、ゼルドナ氏が受け取ったので、登録完了……なんですかね(´-ω-`)?登録証を貰ってないので、まだとも言えます。




