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戦乙女の帰還  作者: 鷺草
乙女の再出発
23/44

乙女の愛犬?


今回は、アンナちゃんが傭兵に……


「なーなー。皆さんわっちの言葉分かるようになったんでしょ?わっちに喋らせてー!」


えー……(´Д`)←今ここ。




皆さん、まいどおおきに。ご機嫌いかがです?


……あ、待って、うてます。

【戦乙女の帰還】です。間違ったページ開いてませんよ。

お願いです、帰らんといてー。


コホン。皆さんどうも、ヴァイスです。


僭越ながらわっち、【ワンコの垂れ耳亭】で看板狼を任されとるんですよ。

狼ですよ。犬ちゃいます。更に言えば、シュトゥルヴォルフいう狼の魔獣です。


魔獣のわっちが何で人間さんのお店で働いてるのか。

それはもう!聞くも涙語るも涙の……あ、待って。帰らんといて!

お願いですから聞いてってくださいー!!


さて、皆さんの最初の記憶って、大体いくつ位のもんなんでしょう?

わっちの場合は目が開いた時、白いモフモフが最初です。後にこのモフモフが、わっちの母親やと判明しましたんよ。

わっちには、一緒に産まれた兄弟が居ったんです。

三兄弟で、わっちが一番下でした。

でも、兄達には出来てわっちに出来んことが、そりゃあもう大量にありました。


まず、わっちは空を駆け回れません。

兄や他の仲間の皆さんも、自由に空中を移動出来るのに。

どっかの人間さんは「二段ジャンプ」なる手法で空中を跳べるそうですが、わっちにはそれも出来ません。


次に、わっちは風を自由に操れません。

兄達は、風で木の葉を巻き上げたりして大はしゃぎしてはりました。

あ、でも、わっちもローソクの火やったら風で消せます。こう、口でフーって。

この間、わっちが【ワンコの垂れ耳亭】に招かれて五周年のお祝いの時に試しましたんで、間違いありません。


最後に、わっちは風で刃を作ることも出来ません。

これはわっち達兄弟も練習中やったんですけど、大人の皆さんは大木を見事に切断しとりました。

兄達も木に傷つける事は出来てたんで、今頃はスパッといけるんちゃいますか。

わっち?木は鉈で割りますよ。

アンナ(姐さん)が斧で豪快に割った薪を、使いやすいサイズに整えるのも、今のわっちの仕事の一つです。


まぁ、出来んことは多々ありましたが、それなりに楽しく過ごしてたんですよ。

あの日まで。


いつも通り、仲間の皆さんとワイワイやってましたら突然!おっきい物がグワァー!!って襲って来たんです。

おっきい物はおっきい物です。

こう、目がギョローっとして、口がガバァーってした物です。

何かは知りませんから、皆さんの想像に任せます。


当然、皆さん逃げました。わっちも、それはそれは必死に。

立ち向かった仲間さんも居たような気がしますが、少数です。


この時初めて思いましたわ。「ズルイ!わっちも飛びたい!!」って。

ですがまぁ、そんな都合よく奇跡なんて起きません。

わっちは一人寂しく、地上を逃げ回りました。


一人で逃げ始めてから気づいたんです。

「わっち実は、二足歩行の方が速く走れるんちゃうやろか……」と。

仲間の皆さんと居った時は、合わせて四足で行動してたんですけど、こんないっぱい走ってたら、段々と後ろ足の前に立ちはだかる前足が邪魔になってきまして。

試したところやっぱり!めっちゃ爽快に走れましたんよー。


後ろに迫っていたおっきい物も、「何ぃ!?」ってビックリして止まってはりました。

きっとわっちの俊足に驚いたんやろねー。


そうやって無事に逃げられたんは良かったんです。

でも、気が付いたら地面は綺麗になってるし、石が積み上がった壁はそこら中にあるし……。

何よりすれ違うんが皆、人間さん、人間さん、一匹飛ばして人間さん。

わっちはピンときました。「ここは人間さんの巣や……」と。

そう、おっきい物から逃げきったわっちは、人間さんの街に迷い混んでしもうたんです。


わっち達シュトゥルヴォルフの間には、鉄の掟がありました。

「人間に関わるな」です。

人間さんはシュトゥルヴォルフの縄張りは侵すし危害は加えてくるし、更にはわっち達の毛皮を部屋の飾りに使うんやそうですよ。


怖いやん!めっちゃヤバイやん人間さん!!


そんな理由でわっち達は、すっごい高い山の上で暮らしてたんです。

……今思えば、そんなすっごい高い山の上から降りてきたんですね、わっち。ちょっと凄ないですか?


話戻しますと、人間さんにビビってたわっちですけど、人間さんの方は逆にフレンドリーでした。

疲れてフラフラやったわっちに、ごはんくれたり雨の日は軒下に誘ってくれたり。お風呂よばれた事もありました。

シュトゥルヴォルフの掟も忘れ、わっちは人間さんの街でその日暮らしを堪能してました。


あの頃のわっちは、人間さんを舐めてました。

ちょっと可愛いアピールすれば、皆わっちにメロメロになってご馳走してくれる、と。

でも、それが効かない強敵が現れたんです。


皆さんご存じ、アンナの姐さんです。


あの日、姐さんは青果店でオマケを貰うてました。

街で暮らしていて知りました。オマケとは追加でお品を貰える事だと。

姐さんはまだ小さくて、自分の買い物をしてる感じではありませんでしたが、あれやったら貰えるんちゃうかなー思って、わっち十八番の可愛いアピールをしたんです。

したんですけど……。


「すまない。中の物を譲るわけにはいかないんだ」


姐さんはそう言って、颯爽と過ぎ去って行きました。

可愛いアピール連戦連勝やった、わっちのハートはズタボロです。

でも、わっちは見てました。別れ際の姐さんの悲しそうな顔を。

あと一息やと踏んだわっちは、姐さんの匂いを追跡しました。


そうしてわっちは一足先に【ワンコの垂れ耳亭】に着きました。


何ですのここ!?スッゴイええ匂いなんですよ!


まぁ、匂いの正体は姐さんが帰って来たら分かるでしょう。

それまでわっちは寝て……


「ウソやん!」

「何っ!?」


ビックリしました。さっきまで何も匂わなんだのに、急に姐さんの匂いが急接近なんやもん。

でも向こうは向こうで、わっちが先に居る事に驚いてはったみたいやね。

ここはわっちが余裕な態度を見せんとね。


そうこうしてる内に、わっちは姐さんのお家の中に招かれ、あれよあれよという間にヴァイスという名前を貰って、何やかんやでわっち専用のベッドを用意してもらえました。

そこまでしてもろて、翌日に「はいサヨナラ」では男が廃ります。

次の日から、姐さんの見よう見まねで【ワンコの垂れ耳亭】のお手伝いに入りました。


◇◆◇


まいど、皆さん。儲かりますか?

わっち?わっちはウハウハですよ!


姐さん真似てお客さんのお相手を勤め始めたんですけど、これが大当たりで!

あっちから「ヴァイス!」の声がした思たら、こっちから「ヴァイス君ー」の声。


【ワンコの垂れ耳亭】にやって来るお客さんは、日に日に増えてきました。


いつからかわっちは、【ワンコの垂れ耳亭】の立ち耳の看板犬と言われるようになりました。

……まぁ、犬じゃなくて狼なんですけどね。


今日も今日とて、わっちは【ワンコの垂れ耳亭】で働いとります。

皆さんも王都にお越しの際は、ぜひ寄ってってくださいねー。





【よくある質問7】

Q.ヴァイスは何弁ですか。


A.シュトゥルヴォルフ弁ヴァイス訛りです。日本の方言に近いものはあっても、完全一致するものはないと思います。


【よくある質問8】

Q.ヴァイスの仲間はどうなりましたか。


A.立ち向かった仲間はともかく、逃げた仲間は無事…なんじゃないかと(´-ω-`)今のところ不明です。


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