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戦乙女の帰還  作者: 鷺草
乙女の再出発
21/44

乙女は愛犬と出掛ける


あーたーらしい 朝が来た♪


「本当に朝を迎えただけだぞ」


……それな(´Д`)

ここ二、三話に比べたら短めです。申し訳ない……。





アンナの十歳の誕生日は、【恩寵の儀】をきっかけに、ゴタゴタした一日となった。


しかし、どれだけ慌ただしくても必ず一日は終わり、次の日を迎える。

私も例外ではなく、今日もいつもと変わらぬ朝を――


「あぁ、姐さん。おはようございますー」

「おはよう、ヴァイス」


変わらぬ――


「なっちゃん、おはよー……あーアンナママぁ、お水ちょうだい。昨日飲みすぎちゃた~」

「パパさーん!僕のオムレツはふわふわでよろしく」


変わ――


「おはよう、ルヴィ。昨日はありがとう」

「うん。おはよう姉さん。……せまいね」


――訂正する。

私が十歳を迎えてから二日目の朝は、今まで以上に賑やかになった。


まず、私は二つの【恩寵】を賜った。

これはアンナマリアとして過ごした魂のまま、転生をした弊害のようなものらしい。

尚且つ、その【恩寵】は二つとも愛し子(最上位)の物のため、二人の神に懇意にして頂く事となった。


一人が、戦の女神クリーナ。

アンナマリアの頃から共にいる、気心知れた仲である。


もう一人が、最高神レギリオ。

名前は立派だが、神の力から生まれたばかりの存在らしく、私とも一悶着あったのだが――


「馴染んでるな、レギリオ」

「昨日、姐さんが騎士さんとお話し中に、パパさんに餌付けされとりましたよ」


なるほど。

昨夜、ちゃっかり食事会に参加していたのは知っていたが、父の料理をこれ程気に入ってくれたとは思わなかった。

私が死ぬまで、長い付き合いになる予定なのだ。これを機に、是非お近づきになりたいものである。


次に、【恩寵】に関する謁見が終わり帰宅すると、我が家で暮らす犬のヴァイスと意思の疏通が図れるようになった。

おそらく、レギリオの【恩寵】による効果なのだと思われる。


これが不思議なことに、ヴァイスはほぼ「ワン」と一度鳴くだけなのに、同時に聞こえる人の言葉が、二言三言と続く事が度々ある。

意思疏通がとれるようになっても、ヴァイスは変わらず謎の多い奴である。


かくして、私の十歳と二日目の朝は、四人と二柱、一匹とで囲む食卓からスタートした。


エルヴィンの言った通り、我が家のダイニングスペースでは、少々手狭であった。


◇◆◇


「――よし。ヴァイス、出掛けるぞ」

「わっちもですか?構いませんけど、どちらまで?」


朝食後、出掛ける準備を済ませてから、ヴァイスに声をかける。


昨夜の食事会で、私と会話が出来ると発覚したヴァイスだが、その折に自分が魔獣である事を溢していた。


魔獣討伐も、騎士団の立派な任務である。

それでもヴァイスが騎士団御用達の【ワンコの垂れ耳亭】で看板犬をやって来れたのは、「シュトゥルヴォルフ」という魔獣が既に絶滅扱いされて久しい事。

そして、ヴァイスから魔力が全く感じられない事が挙げられるだろう。


そもそも魔獣とは、魔力を持つ人間以外の生き物全般を指す。

獣という字が使われているが、魔力を持っていれば虫も魚も、等しく魔獣扱いである。


シュトゥルヴォルフは狼の魔獣だが、おそらくヴァイスは魔力を持っていない。

それ以前に、ヴァイスは狼というよりは、ただの白い大型犬といった風貌である。


しかし本人は魔獣を自称し、飼い主()もそれを認知してしまった以上、放っておくわけにもいかない。

今のままでは、ヴァイスが騎士や傭兵に斬られても文句は言えないのだ。


「――という訳で、ヴァイスが斬られても文句が言えるよう、手を打ちに行く」

「そこを何とか!斬られん方向でお願いしますー!」


冗談はさて置き、ヴァイスが危害を加えられないように、もし万一があっても物申せるように、私はヴァイスと【ハオプト役所 魔獣課】に足を運んだ――。





【よくある質問6】


Q.アンナちゃんは、レギリオとヴァイスには愛称を付けてないんですか。


A.レギリオの愛称は、既に用意済みです。本人は呼ぶタイミングを窺っています。ヴァイスはヴァイスです。


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