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戦乙女の帰還  作者: 鷺草
乙女の再出発
16/44

乙女は怒涛の再会を果たす 弐


【よくある質問3】

Q.この世界に神様は何柱居ますか?


A.知りません。とにかくメニーメニー居ます。





彼と再会するために、生まれ変わったと言ってもいい。

聞きたい事も言いたい事も、たくさんあった。


「……それは仮装か、ハル」


しかし実際に会って、私の口から出たのはその言葉だった。

我ながら可愛いげのない事だとは思うが、似合わない物を着ている向こうが悪いと開き直る。


騎士の礼服は、騎士となった者ならば誰でも一着は用意される、主に式典等で着用を義務付けられている衣装だ。

戦場での鎧や、街中での任務で普段から着用する一般的な騎士服とは異なり、騎士の礼服には、これまで自分が授かった勲章を着ける必要がある。


【近衛騎士団】の団長ともなると、少なからず勲章を授かっている。

加えて、ベルンハルトは元々【遠征騎士団】の所属である。

魔獣の討伐や戦地での活躍は、【近衛騎士団】の比ではない。


つまる所、ベルンハルトは勲章の宝庫だ。


ただでさえ一般的な騎士服よりも豪華に作られている礼服が、更に勲章で飾り付けられ、正直目が痛い。


且つ、ベルンハルトの顔立ちは悪くはないが、爽やかさというよりも、粗暴で雄々しい感じが勝っている。

その結果、「野生の熊にデコレーションしました。」と言われても、反論しにくい姿が出来上がっている。


感動の再会というのは、何とハードルの高い事か。


クロンツ王子は、まだ肩が震えている。

【恩寵】に関する謁見は、作法に疎い庶民も招待されるので、半ば無礼講の場ではある。

しかしこれは、場の空気が緩み過ぎただろうか。

事前に正直に言う許可は頂いていたので、私に非はない、と思いたい。


パン、と澄んだ音が空気を引き締め直す。モナルーシャ女王の拍手だ。

クロンツ王子も表情を引き締め、再び前を向いた。


「私をルーシャと呼ぶのも、ベルンハルトをハルと呼ぶのも、私の知る限りアンナマリア一人です。ベルンハルト、貴方の意見は」

「……雰囲気は変わりましたが、アンナマリア本人で間違いないと思われます。念のため、戦の女神に尋ねられるのがよろしいかと」


自覚はないのだが、私はそれ程変わっただろうか。

それが良いのか悪いのか。私としては、アンナで在ることを楽しんでいるので、良しとしておく。


「アンナマリア、戦の女神のご都合は如何ですか」

「……私は愛し子なのでしょうか」

「貴女以外、誰がいると言うのです。恐らく、私達の【恩寵】と同じ原理でしょう」


そこまで言われ、納得する。


この国の王は代々、【愛の女神の愛し子】の【恩寵】を賜っている。

しかしこれは、十歳の時に賜るものではない。

王の即位と共に【愛の女神の愛し子】となり、退位と共に次の王へと譲られる【恩寵】の名である。


モナルーシャ女王も、即位の折りに【愛の女神の愛し子】という【恩寵】の名に変化したが、元は【愛の探求者】という【恩寵】だったと記憶している。

王女だった頃でも度々、愛の女神と一緒にいる所を見た事があるので、愛し子と同等の【恩寵】である事は間違いないのだろう。

それでも本人は、早く王位に就きたくて仕方なかったようだが。

統治意欲が高くて、何よりである。


もしも私の【戦乙女の帰還】が、彼女と同じく愛し子同等の【恩寵】であるなら――


「……リーナ、居るのか」


胸に手を当て、静かに問いかける。

すると――


「はーい、ご指名ありがとーございまぁす!アナタのクリーナ、愛称リーナちゃん、ここに参上(さーんじょう)っ!!」


突如として、妙齢の女性が現れる。

紛うこと無き戦の女神、クリーナである。


「久しいな、リーナ。元気そうで何よりだよ」

「十年でしょ?言うほど久しく無いわよ。今はマリリンじゃなくて、ただのアンナなんだっけ?」


神とは私達とは比較にならない程、長い時を生きる存在である。

十年など彼女達にとっては、それ程気にする年月では無いらしい。


ちなみにマリリンとは、かつてクリーナがつけたアンナマリアの愛称である。

個人的には気に入っていたのだが、結局彼女以外から、その愛称で呼ばれる事はなかった。


新しい愛称は恐らく今、彼女が考えている最中だ。


「……ご歓談中に申し訳ありませんが、よろしいですか。戦の女神様」

「あ、【愛の女神の愛し子(愛の子)】じゃん。やっほー、元気?」


モナルーシャ女王は、意を決してクリーナに声をかける。

何故だか彼女は、クリーナを苦手としている節がある。


「えぇ、私は息災に過ごしております。それよりも……やはりその少女はアンナマリアなのですか?」

「そそ。この子は百パー【戦の女神の愛し子(アタシの子)】。ただし、マリリンはアンナ(なっちゃん)として第二の人生謳歌中だから。そこんとこヨロシク」


分かりにくい言い回しだが、要は私がアンナマリアである事、そして今はアンナという名である事を説明してくれたわけだ。

私としても、意思疏通が出来るので特に何も言わなかったが、今更アンナマリアと呼ばれるのも不思議な感じであった。


ついでに私の愛称は、なっちゃんに決定したらしい。

中々良い響きではないだろうか――。





【よくある質問4】

Q.何故、アンナが「なっちゃん」なのですか?アンナが「なっちゃん」なら、クリーナも「なっちゃん」じゃないんですか。


A.知りません。あの二人のフィーリングです( ´_ゝ`)


【よくある質問5】

Q.「愛の探求者」って…w


A.そっとしておいてあげましょう。それが本人のためです。


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