幼女の弟
これにて二章完結です。
お付き合いありがとうございました(*´ω`*)
今後も、引き続き楽しんで頂ければ幸いです。
……どうでもいい事ですが、わざと「幼女」表記にしておきます。
9歳は「少女」のような気もしますが、スルーでお願いしますm(__)m
「――うぅー……」
エルヴィンの家の一日は、姉・アンナのうなり声から始まる。
父さんと母さん、姉さんと犬のヴァイスが、揃ってテーブルを囲む朝ごはん。
僕が生まれる前から、姉さんは毎朝、料理の練習をしているらしい。
でも、あんまり上手くいってないみたいで、今日も卵を割るのを失敗して、父さんが殻を除けてオムレツにしている。
ちなみに、僕もヴァイスも卵はちゃんと割れる。
別に、姉さんをバカにしたい訳じゃない。
母さんは、そんな姉さんが「可愛い」っていつも言っているし、父さんも「仕方ないな」って言ってるけど、姉さんのお世話を出来るのが楽しそうだ。
姉さんも、僕が卵を割れるのを「凄い!」って素直に褒めてくれるから、僕も嫌な気はしない。
僕の割った卵を、父さんに目玉焼きにしてもらったら、姉さんはすっごく羨ましそうな顔をする。
姉さんのオムレツと交換したら、僕の目玉焼きを宝物を見るみたいに眺めてた。さすがにちょっと恥ずかしい。
そんな姉さんだけど、料理じゃない事になると、僕なんかよりも、ずっとすごい。
「お待たせした。日替り定食とフライ定食のご飯大盛、ミックスサンドのセットだ」
僕の家の一階は、【ワンコの垂れ耳亭】って定食屋をやってる。
今日も、姉さんは父さんが作った料理を運んでいる。一度に三人前。
バランスが取れれば、手に持てなくても腕に乗せて運べるって、姉さんは言っていた。
四歳の僕が運べるのは一品だけだし、ヴァイスは二人前が限界だ。
「ヴァイス、散歩の時間だ」
「ワンっ!」
お昼の営業が終わると、姉さんはヴァイスと散歩に行く。
たまに母さんが、おつかいをお願いする事もあるけど、今日は特にないみたいだ。
帰って来るのは一時間くらい後だと思う。
「ただいま」
「…ゼェ。…ゼェ」
散歩から帰ると、姉さんは変わらないのに、ヴァイスはすごく疲れてる。
どんな道を通ってるのかは分からないけど、姉さんの方がヴァイスよりも体力あるのは間違いない。
でも、ヴァイスも姉さんとの散歩が嫌な訳じゃない。
いつも帰ってくるとまず、後ろ足で立って、前足を膝の上に置いて前屈みになって、息を整える。
疲れがとれると、前足を腰に当てて反り返る。
そして、伸びをしながらスッキリした顔をする。
多分、ヴァイスはかなり楽しんでると思う。
散歩の後は、夕方の営業が始まるまで、姉さんは自由時間だ。
ヴァイスも基本的に自由で、ほとんど自分のベッドで昼寝をしている。
この時間に姉さんは、よく近所の友達と遊んでいる。
騎士の人が多く住んでるこの辺は、当然、騎士の子が多くて、おもちゃの剣で一対一の勝負をして遊ぶことが多い。
姉さんは、その子達の中で一番強い。
負けるところなんか、一回も見たことがないから。
たまに、神さまから力を貰った、十歳以上の子と勝負をしたりするけど、やっぱり負けない。
姉さんと違って、僕は全然強くないけど。
ヴァイスも剣を持つと、へっぴり腰になる。
「小さい頃から凄い子は、それだけ凄い神さまから凄い力を貰える印なんだよ」
前に、母さんがそんな事を言っていた。
神さまから力を貰った人よりも強い姉さんが、明日で十歳になる。
いったい、どんな凄い神さまが、姉さんに力をくれるんだろう。
そして、僕からのプレゼントを喜んでくれるのといいんだけど――。
【ざっくり二章の登場人物まとめ】
◆アンナ
主人公。
【白の戦乙女】アンナマリアから生まれ変わり、定食屋【ワンコの垂れ耳亭】の娘となった。
いつか結婚して、家族に手料理を振る舞うのが野望。そう、野望(ここ大事)。
◆アンナママ
アンナの母親。名前は不明。
おっとりの皮を被ったハイテンション。
【ワンコの垂れ耳亭】のウェイトレス兼経理担当。
多分、アンナとエルヴィンなら目に入れられる(真顔)。
◆アンナパパ
アンナの父親。同じく名前は不明。
【ワンコの垂れ耳亭】の調理担当。
カメラを向けられると、口数が減るタイプ。
◆アンナばあば
アンナの祖母。以下同上。
セリフ描写がないから、おそらく父方。
【ワンコの垂れ耳亭】専属派遣社員。
◆ヴァイス
(自称)行き倒れそうになっていた、白い毛の元野良犬。たぶん犬。
芸の幅が広く、ラマーズ法を知っている等、知識も豊富な犬。おそらく犬。
【ワンコの垂れ耳亭】の立ち耳の看板犬として、身を粉にして働いている。きっと犬。
◆エルヴィン
アンナの五歳下の弟。
生まれた時から側にいるヴァイスを、一般的な犬だと思っている。
料理の才能で頭角を表しつつある、【ワンコの垂れ耳亭】期待の星。
◆フロイト
アンナの二歳上の友達兼兄貴分。
アンナの事は、意地でも名前で呼ばない。
腕っぷしは同年代の中でも強い方だが、アンナに勝った事はない。
◆フロイトママ
フロイトの母親。名前は不明。
騎士の夫と二人の子を持つ、肝っ玉系専業主婦。
両親とも騎士だったり片親家庭の騎士の子を、任務中預かったりしている。
カレー等、一度に大人数分作れる料理が得意。
◆クライン
アンナマリアだった頃の後輩騎士。【ワンコの垂れ耳亭】常連。
口は悪いが、根は真面目。
今後も出番が有るかは不明。




