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二人の勇者と一人の魔王  作者: 瑠璃石
2/2

芽生える疑問

とりあえずここまで



「何で何時も勇者が勝って魔王が負けるんだろう」



手にしていた本を閉じてふと呟く少年リュート。


彼はアレイダ王国と呼ばれる世界でも上位に入る大国に属する小さな村『レイト』で生まれたごく普通の少年である。


父『ザイド』は元冒険者であったが、大きな依頼を受けた際の大怪我により冒険者を引退し、チームであった母『レイン』と生まれ故郷であるレイト村に帰ってきて結婚。


その後リュートを授かり畑作業の傍ら村の用心棒をしながら生計を立てている。



「母さん、何で勇者は何時も魔王と戦争してるの」



リュートと共に絵本を読んでいた母レインにかねてもの疑問を尋ねてみた。


どうして子供に見せる絵本の題材の多くが魔王を倒した勇者の物語なのかと。


するとレインは困った顔をしながら



「勇者様が戦争をしてるというよりも、魔王が攻めてくるから迎え撃ってるんじゃないかしらね」



そう答えるだけだった。



「でも魔王が攻めてきたっていってもお姫様を攫っていくのがほとんどでしょ?何で魔王は毎回毎回どこかのお姫様を浚って自分のところへ勇者を呼び込もうとするの?普通ならこういうのって弱いところから攻めていくのが戦いの定石だし、誘拐したから勇者がきて魔王が負けてお姫様と勇者が結婚するでハッピーエンド。こればっかな内容が本当にあったのかな?」



リュートの疑問にますます困り果ててしまうレイン。


確かに子供向けの勇者の物語の大半というか9割以上がこの内容で占められている。


実際の口伝など人から人へ伝わるごとに脱色されたり都合よくなるものだから仕方ないにしろ、リュートのように疑問をもたれてしまうと親としてはどう答えていいかわからない。


かといって勇者が魔王領に攻め込み征服しようとしたなどという与太話があったとも思えないし、どういうのがいいのか返答できそうもなかった。



「物語って言うのは実際にあった出来事を本にする際、読みやすいように微妙に表現を変えてるからな。大雑把な流れはあってるだろうが実際にそういう結末いくまでには大変な戦いがあったんだろうよ」


「あっ、父さん」



レインが返事できないのを見た父ザイドが助け舟を出す。



「じゃぁ、これって実際にはなかったってこと?」


「そうとは言わないさ。ただ今日魔王がきてお姫様が浚われました。事の知らせを受けた勇者が名乗りを上げ、真っ直ぐ魔王城目指して旅をしてお姫様を助け出し世界が平和になりましたって流れにはならないだろ?」


「うん」



実際に現存している魔族の住む領土へ行くのには海を越え森を抜け雲の上までそびえる山を越えて行かなければならない。



「勇者の旅を全部絵本にしたら小さな子供たちは呼んでくれないしつまらなく感じる。だから本を書いた人たちは小さな子供たちにも楽しみながら読んでもらえるように多少話を変えたりするんだよ」


「なんだぁ、子供向けの話って事なんだね」



子供の夢を壊す身も蓋もないザイドの言葉に冷や汗を流すレインとは裏腹にリュートはある意味納得したようにうなずいた。



「実際の歴史書なんか読めばもう少し詳しく書いてあるだろうが、こういうのは研究機関か王都にある大きな図書館なんかにあるからな。王都に行く機会があればよんでみるといい」



ザイドは『多分ガッカリするだろうがな』と笑いながらリュートの頭を撫でてくる。



「それよりもリュート、そろそろセフィーナのところに行く時間だろ?」


「あっ、忘れてた」



リュートは本を棚に戻し上着とナイフを身につける。



「今日はセフィーナさんのところで何を教わるの?」


「占いだよ。精霊に呼びかけて色々な出来事を教えてもらう占術を教わるんだ」



レインの問いかけに笑顔で答えるリュート。


今日まで色々な師匠に弟子入り(教えを受ける)して技術を磨いているが、現在力を入れているのが、天気や豊作などを占える占術だった。


リュート自身父と母が冒険者であることは知っているが、現在は基本農家として暮らしている。


天気を占ったり凶作の兆しなどを早い段階で見極められれば対策を取れるだろうとかなり本腰を入れて勉強していた。



「勉強するのはいいが、詰め込みすぎじゃないのか?」


「無理しちゃだめよ」


「これくらいなんでもないよ。じゃ、いってきまーす!」



両親に見送られリュートは師匠である占い師の元へ走っていった。













時間が出来次第書いてあげます

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