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第二話 アルディー視点(訂正済み)

私の名前はアルディー・ヴァンシェイナ。

ヴァンシェイナ王国第一王子で今年で5才だ。

私は今まで苦労したことはない。

帝王学だって私には簡単だった。

剣術も私はすぐに会得してしまった。

すべてにおいて簡単にできる自分にとってそれはひどくつまらなかった。

それは何故かわからなかったが兎に角私は才能に恵まれていたのは確実だ。


そんなある日、私に婚約者ができた。

相手はユグドシル公爵家令嬢、同い年だそうだ。

私は貴族で知らない人はいないと思っていた。

ましてや、自分に媚を売ってくる令嬢で知らない人がいるとは思わなかった。

まあ、令嬢はそうとは思ってなかったと思うがな。親が子の気持ちを利用したに過ぎんだろうことは明白だ。


「その令嬢はどんな人なのですか?」

とりあえず、私は聞いてみた。


今この場には父である国王陛下とユグドシル公爵と私だけだ。


私がそう聞くと父は困った顔をした。


「お前が嫌うような令嬢ではないし、頭もいいのだが・・・」


嫌いもなにも特に求めてないのだが。

勝手に令嬢がフラれてるだけだ。


「ルルイエが小さい頃に母は亡くなってしまい、私も自分で精一杯で一年くらい放置してしまったんですよ」

と、悲しそうにユグドシル公爵が言った。

きっと、小さい娘を大事な時期に放置してしまったことを気にしているのだろう。まだ遅くはないと思うのだがな。


それに、そのことは知っている。ユグドシル公爵の夫婦の仲のよさは貴族では皆知っていた。


「娘は変わってしまいました。一年たった頃に私は思い出して娘にあったのですが、私は驚きました。娘は貴族のマナー、今後、学園で学ぶはずの勉強ですら完璧になっていたのですから」


ほめるはずの言葉なのに後悔しているように聞こえるのは気のせいなのか?


「どうした?お前らしくもない。お前なら絶対に娘をほめるだろうに。ほっといてしまったならなおさら」

父が驚いたように言った。


「ええ、それだけを知ったときはほめようと思いましたよ。ですが娘は言ったのです『貴方は誰?』と、私のことを忘れていたのですよ。そして、近くにいた侍女がそっと娘に教えたのでしょう『おかえりなさいませ、お父様』。これを聞いたとき私は本当に後悔しました。もっとしっかりしていれば今も親として接することができたのに。娘は外では貴族らしく振る舞ってはいます。しかし、家ではいつも部屋に閉じ籠ったり、一人でどこかへ出かけてしまいます。私は娘のことを何も知らないのですよ」


と、悲しそうに後悔がにじむように言った。


「では何故私の婚約者になったのですか?」


「なんとなく、ですよアルディー殿下。私は娘に何も教えることが出来なかった。娘は王妃としての才能はあります。もし、アルディー殿下が他に好きな方ができた場合は婚約解消してかまいません。ですが、娘を不幸にすることはないようにしてください」


「そうですか。とりあえず話してみることにします」

わたしは、そう答えることしかできなかった。

それにユグドシル公爵の言葉を無下にしたくはなかった。










◆◆◆◆◆◆◆


婚約者との顔合わせの日


婚約者、ルルイエ嬢を初めて見たとき、私は驚いた。

まるで人形のように美しいと思った。

黒の髪と深紅色の瞳の組み合わせは見たことがなく、宝石のように見えた。


しかし、私を見たルルイエ嬢は何一つ顔色を変えなかった。

これにも驚いた。

私は自分で言うのもなんだが顔はけっこう整っていると思う。周りが言うので間違いはないはずだ。

令嬢は私を見るとすぐに顔を赤くするしな。

なのにルルイエ嬢はなんとも思っていないようだった。

それにルルイエ嬢の笑顔に違和感を感じた。

誰が見ても惚れるようなその笑みはまるで人形のように生気がない。

あぁ、そうか

ユグドシル公爵の娘の違和感はこれのことか。

この歳で仮面をつくったことがそもそもおかしいのだ。















あの日から私は影を使ってルルイエ嬢のことを調べさせた。


そして驚くことがわかった。


ルルイエ嬢はとてつもなく金遣いがあらかった。

毎日、馬車がユグドシル公爵家に止まっては大量の荷物を運んでいるそうだ。


私は怪しく思った。

もったいないといっていたのにこれはおかしい。矛盾がしている。これも貴族用の嘘なのだろうか。



だから、今日はユグドシル公爵家を訪れてみた。

もちろん公爵に許可をとっている。


「もうしばらくお待ちください」

私は応接室に案内された。

公爵家相応の調度品が集まった素晴らしい部屋だ。それでいて無駄がなく、すっきりとしている。


「遅くなり申し訳ありません」


今日の服は黒のワンピースドレスととてもシンプルなものだった。


「単刀直入に言うけど君はいつも何を馬車から受け取っているのかい」

と、聞くとルルイエ嬢はなんともない顔で言った。


「あぁ、あれですか。あれはユグドシル公爵家の領地の鉱山にある鉱石とか様々な材料ですよ」


はぁ?鉱石?材料?何に使うんだ?


私が驚いた顔をしていると説明をしてくれた。

「とある物を作っているのですよ。大丈夫です。公爵家のお金を使っているわけではありません。しっかり私が稼いだお金でユグドシル公爵家の鉱石を個人で買い取っているだけですよ」


え?私と同い年の令嬢が金を稼いでいる?

何で?

しかも話してるときは初めての顔合わせの時とは違い素の笑顔だ。それが年齢相応でとても可愛く思えた。


「どうやって稼いでいるのだ?」


「ですから、物を開発したり・・・・・・そうですね。ひとつだけ教えましょうか。これ私の父も知らないので内密に願いますよ」


何を言われるのだろう。

ニコニコとしていて本当に楽しそうだ。

私は緊張しながら次の言葉をまった。


「私、情報屋をしているのですよ」


「なっ!それはつまり、お前は他人に公爵家の情報を売っているのか!?」

そんなことが本当なら私はルルイエ嬢を捕まえなくてはならない。


しかし、ルルイエ嬢は落ち着いている。

いや、相変わらずの無表情に戻っただけだが。


「そんなことありませんよ。私、個人がそうですね。貴方が情報収集するように私も潜入したりして情報を集めているのですよ。もちろん我が公爵家の邪魔にならないようにね」


令嬢が潜入?なにそれ意味わかんない。


「何を驚いているのです?王家の影もよく私のところに情報を買いにきますよ?対価はお金だったり情報だったり」


マジか、お前らも利用してんのかよ。


えっ?お前ら王家の情報は売ってないよな?




はぁ、今日はもう疲れた。

帰って影に本当か聞いたらもう寝よう。

俺の婚約者マジで凄すぎだろ。

俺も負けないようにしよう。


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