魔王退治を頼まれるババァ
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ヨネ レベル10
職業:魔法使い
HP:26 → 70
MP:48 → 103
装備:ぬののふく
所持金:4274ゴールド
スライム狩りを繰り返して経験を重ねレベルを上げ続けたババァは、辺りでは泣く子も黙ると言われるぐらい、とんでもない有名人になっていた。そんなとき、その辺一帯の国を治める王様にババァは召しだされた。
「魔法使いヨネよ。お前の噂は聞いておるぞ。是非遥か西の島に住む魔王を倒して欲しい」
「にひひひっ、王様ぁ、まさかタダってわけじゃないんでしょうね」
「わかっておる。それ相当の褒美と、魔王に攫われたイケメンの王子を与えよう」
「にひひひっ、金と権力と男。そいつはいいね。にひひひっ」
「ああ、それといい忘れたが、他にも魔王退治に出発した者たちがいるから、賞品は早い者順じゃ。くれぐれも先を越されないようにな」
「にひひっ、わかってるよ王様ぁ!」
邪悪なババァの笑いにすげー幻滅する王様だったが、それはそれ。
まあどうせこんな奴が魔王倒せる可能性なんてミジンコクラスだろうと、期待せずに待つことにした。
一方ババァはというと…
「おい!あんちゃん!転職だよ!転職!一通り魔法も覚えたしね!攻守完璧な戦士に転職だ!」
「は、はあ…またあなたですか」
転職所で職業を替え
「おい!おめえさんの家で一番攻撃力の高い武器と防御力の高い防具をよこしな!」
「は、はい…」
武器防具屋で武器防具を揃え
「薬草買占めだ!!ええいまどろっこしい購入台詞なんてどっかに置いておゆき!いいから、あるだけよこすんだよ!!!」
「は、はいまいど」
道具屋で薬草を買い占めていた…。
ヨネ レベル10
職業:戦士
HP:70 → 131
MP:103 → 42
装備:はがねのつるぎ
:はがねのよろい
:はがねのかぶと
所持品:やくそう×78
所持金:6ゴールド
「にひひっ!イケメンとゴールドは誰にも渡しゃしないよ!」
ババァは意気揚々と街を出ると、橋を渡って一路魔王の城を目指していった。
それにしても、攻撃力と防御力重視のガチ装備に、宿屋いらずの薬草の数…
どう考えても、ババァ本気すぎるだろ…