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ぐだぐだエッセイ集

ゾンビって増殖出来るんでしょうか?

 ゾンビものを書いてみようかと、設定を練り始めたら、ハタと行き詰まってしまいました。


 ゾンビといったら、なんと言っても数の暴力。

 一体一体は、某ヒーロードラマの悪の戦闘員並みのショボさでも、数を頼みに人海戦術で押してくるのが醍醐味だいごみでしょう。

 なんというか、映画『北京の55日』で城壁に殺到する義和団とか、『カーツーム』でハルトゥームの街を襲撃する反乱軍とかのスペクタクルシーンみたいなものですね。


 まあ、古式ゆかしいミイラ映画みたいに、一体のよみがえった死者が大暴れする映画も個人的には大好きなのですが、スピード感が好まれる昨今、ハマーホラーみたいな物は受け入れられ難い時代です。

 (もっとも初期ゾンビ映画の傑作『生ける死者の夜』なんかは、既に古典に分類されるのでしょうけど。)

 だから、噛まれた人もゾンビに変身して、敵がどんどん増えて行くというのは、緊張感を絶やさないためにも上手いなあ、と思ってしまいます。


 仲間の中に噛まれた人物が紛れ込んでいて、誰がゾンビ化するか分からないという部分と同様のサスペンスを最大限に生かし切った作品としては、キャンベル原作のSF『影が行く』が挙げられるでしょう。カーペンター監督で『遊星からの物体X』として映画化されています。

 この『影が行く』を原作とする映画としてはハワード・ホークス監督の『遊星よりの物体X』が先ですが、ホークスらしい西部劇みたいな対決映画となっていて、原作とは全然違う方向に走っていった映画です。(好きだけど。)


 それと味方が敵と置き換わっていくSFだと『狙われた町』がありますね。こちらは『ボディ・スナッチャー』として何度も映画化されています。

 ジュブナイルものだと、豊田有恒が複製人間の侵略を描いた『0から来た敵』が白眉でしょうか。


 なんだか、どんどんゾンビからズレて行ってますので、話を元に戻しますと、ゾンビの楽しさというのは『制御不能で増えちゃう』という点であり、増える要素の無いブードゥーゾンビは、ホラーの主体として今イチ「インパクト」が弱いという事です。


 しかしですよ、一体のゾンビが複数の人間に噛み付くというサイクルを繰り返さないと、ゾンビって大して増えない訳なのです。

 それで困ってしまいました。


 死人がどうやって、物を飲み込んだり、消化したりするんだよ? と。


 脂肪やタンパク質を分解する酵素が十分に働き、かつ腸の蠕動ぜんどう運動が正常に行われないと、食べたものが排泄されず、詰まってしまいます。

 その為には、アミノ酸から酵素を生成する過程も機能し、酵素が正常に働くための体温管理も成されていなくてはなりません。

 また、同時に腸の不随意筋を動かすために、G3PからATPを取り出すための水素伝達系が作動していないといけないと言う事になります。


 それ以前に、食べ物に食らいつく『摂食せっしょく』の後、口に入れた物を飲み下す『嚥下えんげ』という動作が、難物です。

 ゾンビ化していない普通の人でさえ、お餅を喉に詰まらせて救急搬送されたなどというニュースが流れるほど、非常に複雑なプロセスです。


 口に入れたパンを、喉をごくりと動かさない様意識して、食道から胃に送り込めるか実験してみたら、死ぬ思いをしました。

 良い子も悪い子も決してマネをしてはいけません。


 私には、以前シャンプーしながらクシャミをしたら、反動で泡を吸い込んでしまい、泡が気道に入って窒息しかかり、バスルームでのた打ち回った恐怖体験が有りますが、同様のエグい状態になりました。

 繰り返しますが、決してマネをしてはいけません。


 ゾンビは「生きてはいない」という設定だから、窒息する事はないのかもしれませんが、呼吸をしないでよいのであれば、どうやってATPを生産しているのでしょうか?


 酸素呼吸をしてクエン酸サイクルを動かさずとも、エムデン‐マイヤーホフ経路(EM経路)で無酸素的にATPを作り出す事は出来ます。

 酵母なんかは、有酸素条件下では、糖を二酸化炭素にまで化学変化させる過程で生じた水素でADPをATPに還元し、ATPを得ていますが、無酸素状態では糖をアルコールに変換する過程で生じた水素を利用して同じくATPを得ています。

 そして両工程とも生じたATPをADPに酸化することでエネルギーを得るわけです。


 ただ、クエン酸サイクルとEM経路を比較した場合、圧倒的にEM経路は「効率が悪い」のです。

 どの程度効率に違いが有るのかは、生物の教科書にでも当たってみて下さい。

 熱くなってグダグダ書き綴ってしまいましたが、多分途中で読むのが面倒になった、あるいは知ってる事ばかりで詰まらないという人ばかりだろう、と正気を取り戻しました。


 なので、この後は、どうせ読んでくれている人は居ないものとして、とりあえず最後まで書きます。


 ATP生産の効率が悪いと言う事は、言い換えれば「舎利しゃりバテ」を起こしやすいという事でもあります。

 舎利バテというのは、空腹で激しい運動を続けたら、エネルギー不足で動けなくなってしまう状況です。


 百歩譲って、ゾンビは既知の生命体とは異なり、魔力かなにか未知のエネルギーらしきモノで動いているので自力でATP生産を行わないですむとしましょう。

 つまり、消化のみならず、口に入れた肉の嚥下も行わないとするのです。


 するとゾンビは、口いっぱいに肉を頬張ってしまうと、口の中の肉が腐敗によって液化し流れ出すまで、それ以上の攻撃能力を事実上失ってしまうと言う事になってしまいます。


 噛まれた人はゾンビ化しますが、噛んだ方のゾンビはその時点で無力化されるわけですから、行動するゾンビ数は差し引きゼロです。

 一人の人間に複数のゾンビが襲い掛かった場合には、むしろマイナスになってしまうのです。


 これは、困る。

 ゾンビが増殖するために、「噛まれて感染・噛んで増殖」以外のプロセスを考えなければなりません。


 『悪魔の赤ちゃん』というC級ホラー映画があって、一作目と二作目は、妊婦に投与された変な薬剤のせいで凶暴なミュータント赤ちゃんが生まれるという設定だったのですが、三作目では流石にその薬剤の使用が禁止になったために、ミュータント赤ちゃん同士が生殖行為を行い、赤ん坊を生むという、なんだそれは的なお笑い映画に成ってしまっていました。(ちなみに、インフルエンザか麻疹だかのせいで、ミュータントは親子共々、全滅してしまいます。)


 真面目なゾンビ映画の中にも、妊婦がゾンビ化し、生まれた赤ちゃんがゾンビだったというエピソードを含むものもありますが、新生児のゾンビって脅威に成り得ると考えられますか?


 この様に考察すると、ゾンビって思ったより増えないね、という事になってしまいます。


 別な考え方としては、ゾンビウイルスなるモノが有って、それをテロリストがばら撒くという筋もありますが、そもそもウイルスというものは自己増殖出来ず、生きた細胞に間借りして細胞の複製プロセスを借用する事で増殖します。


 ですから、宿主がゾンビ化して死んでしまえば、ウイルス自身も増殖する事は不可能です。


 宿主を生かしておいて、ウイルスが増殖しながら「ゾンビみたいなモノ」として行動するならば、頭を撃つ必要は無く、身体のどの部分を攻撃されても、出血多量や単なるショックで死んでしまいます。

 これでは、あまり強いとは言えないゾンビより、更に弱体化してしまう事に他なりません。


 こんな事を考えていたら、局所的かつ小規模なパニック以外は書き難く、しかも短期間で制圧されてしまうわな、と構想が全然先に進まない次第です。

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、ゾンビが弱すぎるわけですね あたりまえですが 動く死体がどうすれば動かなくなるかを決めるのは作者です。 ゾンビがどうすれば感染してどの程度の時間でゾンビになるかも決めるのは作…
[一言] うーん(━_━) 埋没ネタか 釣りネタかな? まあ そうでないと考えて感想を書いてみます ゾンビを増やす理屈ですか フィクションなのでどこまでもリアルに考えれば 存在しないものを存在…
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